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三十七撃目

汗が背中を流れる。

日本人は、平和ボケをしている。

確かなにかにそう載っていた。


…私もだ。

この世界に、日本に来て1週間と少し。

私も日本人に、染まり平和ボケをしていた。


魔法陣だって、発動する事を抑制つつ、このドラゴンを何とか出来るのでは無いかと考えてしまっていた。


余りにドラゴン達が、普通の人間の様に話をするので敵意が本当はないのでは無いかと勘違いをしていた。


そうだ、タルッタは今朝まで魔法陣を、描くために人を殺して回っていたでは無いか。


私は、いつもそうだ。


自分の楽な方へ楽な方へと逃げ出してしまうのだ。


コレでは元の世界にいた時と変わらぬでは無いか…

田中に、逃げようと言った時と変わらぬでは無いか…。


さあーっと頭が冷えるのを感じる。


いけない。

冷静になれ。

狼狽えるな。


大丈夫、ほとんどの魔法陣には、細工してあるし、今朝だって避難を呼びかけたでは無いか。


私がこれからただしき行動を、行わなくてはこの、ドラゴンは世界中で同じ事を繰り返す。

そうなる前に止めるのだ。


いや、そうなる前に…アメリカ合衆国の大統領なら、即座にミサイルを、日本に発射するのだろうな。


そう思うと何だか後ろ盾ができた気がして心が…地に足がついた気がする。


「どうした?愚かな人間よ。

先ほどまで饒舌に話をしていたでは無いか?

話を続けないのかな?」


表情はわからない…わからないがニヤニヤしてるに違いない。


「そうだな、話を続けよう。

なぜ貴様は、この世界の人間を減らしたい?


確かにコッコアルットも多いとは言っていたが、減っても増えてもさほど気にしないと言わんばかりであったぞ」


「それは今朝答えたでは無いか、、この世界の人間は他を犯しすぎるのだ」


「それは、そうかもしれんが…異世界から来た貴様には、関係なかろう」


「神の思し召しといったでは無いか。

我らはこの世界に呼ばれたのだ。

お前の頭は鳥なのか?話した内容をすぐに忘れおって」


挑発に乗る必要は無いし、頭も先ほど冴えた。


「神か…では、これも今朝問いただしたが、なぜ敵対する私も一緒にここに呼ばれたのだ?」


「そんな事我にはわからぬ」


「神の考えがわかって行動したのでは無いのか?なぜわからぬ」


「神のみ心全てなど私に分かるわけなかろう」


「ならば本当に貴様がこの世界の人間を殺すために呼ばれた…と言うわけでな無いのでは無いか?


神のみ心などわからぬのであろう?

貴様が勝手に想像しただけであろう?

神の名を勝手に使い自分を正当化したいだけでは無いか


だいたいお前の言う神とは何なのだ?

自分の自由に出来る神などいるわけなかろう?

それとも自分が神だというのか?


それならば、なぜ私をここに呼んだ?

むしろなぜ私なのだ?

もっと優秀な人間でもよかろう?」


興奮した田中の様に一方的に話をする。


「そもそも、お前は知っているのか?

コッコアルットは、自らこの世界に来たそうだぞ。


ドラゴンなら自由にこの世界と元の世界行き来できるのではないか?

どうなのだ?」


「なっ!」

タルッタが反応した!


今度は何も言わずおし黙る。

タルッタの、様子はそわそわし私なら言葉に反応したのが分かる。


タルッタは、人型に変身した。


見た目は、白髪の耳の長い長身の男性。

長い髪をゆるくひとまとめにまとめ、衣類は白いローブを身にまとっている。

顔立ちは、私が、元いた世界の住人によく似ていた。


元いた世界で、よく変身していた姿なのだろう。



「どうした?ドラゴンの姿の方が威圧しやすいのではないか?

わざわざエルフになるなんて、友好的に話を進めたいのか?」


エルフは、比較的穏やかな人種だ。

耳が長いし、毛先まで痛覚がある為髪が長いのが外見的特徴である。


「フン、ちょっと気になった事があっただけだ。

それに、我らは同郷の身、お主に危害を加える気は元々ない」


「私を足蹴にしといてよく言う」


「その方が勝手に倒れただけであろう?」


タルッタは、目を細める。

何か思案している顔付きだ。


「コッコアルットが…」


そう言って言葉を切った。

ふむ、引っ掛かる点はやはりコッコアルットか。


「コッコアルットがどうかしたか?貴様の言う通り、今回の事に関しては無関心を決め込んでいるそうだぞ」


邪険に払う。

何か気になるならハッキリと言ってもらおう。

その方が本音を聞き取りやすい。


本音を聞けば、もしかするとタルッタを止められるかもしれない。


自然破壊する人間が、許せないとタルッタは言っていたが…コッコアルットと、話をた後はそれに違和感を感じた。

何か理由がある気がする。


タルッタは、じっとこっちを見据える。

攻撃をしてこない。

話しかけもしてこない。

ただ、じかんだけが過ぎる。


タルッタの背後でキラリと光る光が一瞬見えた。


自衛隊か、警察が、銃でタルッタを標的に捉えているのだろう。


こちらが合図を送らない限り攻撃をしてこない予定だが…東京が攻撃を受けたのだ彼らが攻撃を仕掛けないとも限らない。


もう少しで本音が聞ける気がするのに攻撃を受けたら…。


そう思った途端に汗がぶあっ吹き出る。


「コッコアルットは、自らこの世界に来たのか?」


なるほど…やはりこいつも結局帰りただけなのか…。


「帰りたいのか?」


「帰りたい」


「ではなぜ攻撃をした?帰る方法を探せばよかっただけであろう?」


「…れないと…帰らないと思ったからだ」


「なぜ?そう思った」


しばし、沈黙が流れた。


「お前は、知っていたか?

我々がここに呼ばれた本当の理由を」


「どう言う事だ?

本当の理由?

また、神のせいにするのか?」


「神がいるかは分からん。

ただ…我々は、いたずらにこの世界の人間によって召喚されただけなのだ」


「召喚だと?この魔法の、使い方もわからぬ人々に召喚…しかも、世界と世界をつなぐ召喚魔法が使えたと言うのか?


もし仮に出来たとすると。

賢者の1人や2人…いや、10人がかりでも足りない莫大なな魔力と、豊富な知識が無ければなさない技であろう?


無理だ、あり得ない」


「くっ…ふははははは

我も初めはそう思ったが…あり得たのだ。

理不尽な事にな!


お前は知っているか?


我々が召喚された日ここでとあるイベントが行われていたことを」


「あぁ、知っている。

同居人の田中殿に聞いた。


ここでは年に数回色々なイベントが行われるのだがその日は、日本のアニメや漫画の祭典だったときいておるが…それと何の関係があるのだ?」


「その日行われた…そのイベントでどこもかしこも貼られていたそのイベントのポスターと言われる展示物に完璧な召喚魔法の魔方陣が描かれていたのだ」


「なっ!」


「それだけではない!

イベントに、参加した人々が口にしたいくつかの言葉によって呪文が形成された…ただの偶然だと思うか?


1人や2人の人間ではなく、大勢の人間の僅かな魔力が集まり膨大な力となって我々は召喚されたのだ!

まるで計算しつくされたかのように…


コレが偶然だと思えるか?」


私は、絶句した。


「コッコアルットか…?」


「コッコアルットが現れるまでは…我はただの偶然だと思っていた。

だから、人間が憎くて憎くて仕方なかった。

殺してやろうと思ってた…


いや、今でも憎い!

コッコアルットにけしかけられたとしても、人間が我々をここに呼び出したのだからな!


だから、殺しつくしてやる!

人間も、コッコアルットもだ!」


「待て!コッコアルットは元に戻る方法を知っているかもしれんぞ」


「そうだな…だから捕まえて吐かせてそれから殺す」


「殺すとは聞いてない。タルッタ、ダメ」


小鳥が喋った。

「誰!?」

よろしくお願いします

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