三十五撃目
ドラゴン…タルッタを誘導する為東京国際展示場に向かって護衛含め三基のヘリが空をかける。
はじめは上手い事タルッタがヘリに向かって来たが、国際展示場が近づくにつれ離れて行く。
まぁ、そう上手くは行くまいと今度はタルッタに向かいヘリを飛ばしてもらっう。
タルッタは、こちらがついて行くことがわかったのかスピードをあげた。
ヘリの運転手に、その旨を伝えるとヘリの運転手がおかしいと言ってきた。
「ドラゴンの事でよくはわからないんですが、どうやら富士山の方に向かっているみたいです。
普通は…民間人を、無差別に攻撃しようと特攻する輩は人の多いところを狙います。
何か罠を仕込んでいる可能性が!」
なるほど…と言いたいところであるが、タルッタは今朝まで自分が危機に陥る可能性があるとは露ほどにも思っていなかったはずである。
それにコッコアルットと対峙したから富士山方面に移動した形跡はない。
私が押し黙っていると運転手は続ける。
「もしくは、大切な何かから敵を離したい時にも似た様な行動に出ます!」
大切な何か…確かにタルッタは、何度も国際展示場方面に出向いている。
何かがあるかもしれない。
「では、国際展示場に向かって戻ってください!」
一かバチか…どうせ富士山方面には自衛隊を配置していない。
私が単体で出向いたところで今朝の二の舞いである。
ヘリが方面を変えるがタルッタはそのまま富士山の方に向かって飛び続けている。
失敗かと思い始めた時タルッタは高速でヘリに向かって来た!
さすが、自衛隊員!ヘリの運転だけで無く座学も考察もしっかりしてる!
にしてもスピードが速すぎる。
このままでは国際展示場に到着する前に追いつかれてしまいそうだ。
「もっとスピードはあがらないのか?」
「これ以上無理です戦闘機じゃないんですから無理言わないでください!」
私がヘリの窓から後ろを振り返るとドラゴンの姿が見えた。
「追いつかれる!」
タルッタは、コッコアルットと違い西洋の絵に出てくるドラゴンそのものだった。
紺色だったコッコアルットと色も違い白に近い黄色である。
違う種なのだろうか…。
そんな悠長なことを考えてしまう。
人間焦ると以外に落ち着くものだな。
後ろを確認しているとヘリの一機がドラゴンと私のヘリの間でホバリングをしていた。
どうやら銃で応戦するつもりらしい。
「ダメだ!」と叫んだが無線の向こうでバババババとヘリの音とは似て異なるおとが響くだけだ。
ドカァ!バーン!ガガガガガ!
チューン!
高音をあげてドラゴンに、対峙していたヘリが黒煙をあげて落ちて行く。
「あぁ…」
声が出たが、ヘリの音にかき消された。
「らしくありませんが、このまま突っ込みます!脱出の準備は出来ています!」
もう一機のヘリであろう無線でそんな声が聞こえる。
「やめろ!危険だ!」
私は再度叫んだがもう一機もドラゴンに向かって飛んで行く。
目をそらしてはならない。
ドーン
と大きな音が聞こえる。
ドラゴンは、ヘリを避けきれなかった様で思いっきりぶつかった様に見えた。
ドラゴンは、ヘリとともに爆発なら巻き込まれる。
「やったか!?」
私の隣に座っていた自衛官が感嘆の声を上げる。
だが、ドラゴンはふらついたかと思うと体勢を立て直しこちらにむかってくる。
ただ、二機のヘリコプターのおかげで東京国際展示場に到着できた。
本来ならタルッタが守っていたものを探ってからヘリコプターから降りたかったのだが、このままだとヘリコプターごと落とされそうだ。
自衛官に続き私はヘリから身を乗り出し飛び降りた。
パラシュートが直ぐに開く。
初めての経験なので落ちるのに必死で上手くバランスは取れない。
さらに高度も低かったのか…単にバランスが悪かったのか、私は地面に叩きつけられた。
…結構痛い。
もう2度とパラシュート使わないと心に決めた
よろしくお願いします




