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三十一撃目

「ラファ殿!ラファ殿っ!」


田中の声がする。

もう朝か…もう少し眠りたい…。


「ラファ殿っ!」


「大丈夫ですよ、もう傷はふさがってます。

時期目を覚ますでしょう」


聞いたことのない女性の声が聞こえる。


「全く、お前が本気出せばはじめからこんな目に遭うことなかったんじゃねーか」


小林の声も聞こえる…ん?


「小林っ!」

ガバッと起き上がる。


目の前に、田中、小林、見知らぬ女性、SPが私を囲むように立っている。


田中がガバッと抱きついて来た。

「よがっだーぐすんぐすん」


んんんんん???


「えっと…ちょっと待て、何がどうなっている?」

私の頭は混乱している。


ここは、確か小林達が襲撃され倒れていた学校だ。

校庭の真ん中ではなく、はじによせられ木陰の下に寝かされていた。


「ラファージュラン・キタノ・オンターラさんですね。

はじめまして、私小林様の家で家政婦をしていますコッコアルットと申します」


黒髪の日本美人って感じの女性が私の前にしゃがみ自己紹介をする。

服装は、紺の着物に割烹着だ。

コッコアルット…日本っぽく無い名前な気がする。


「はじめまして」

とりあえず挨拶を返す。


コッコアルットはニコリと微笑むと私が足蹴にされてからの顛末を話しはじめた。


「驚かないで聞いてくださいね、私も貴方と同じ世界から来たドラゴンです。


タルッタ…貴方が先ほど対峙していたドラゴンとは顔見知り程度の知り合いで特に元の世界では交流はありませんでした。


私は、貴方達よりずっと以前に地球に転移し小林様の先祖に拾われ、それ以来ずっと小林様の血縁者を保護してまいりました。


普段は、特にこれと言って正体を晒さないのですが…今回は小林様に危機が迫ったの小林様を助けに参った次第でございます」


…小林おそるべしである。


「まぁ、なんだ。

そう言うことらしい。

初めて知った事実だ、隠してたわけじゃ無いが…なんかすまん」


小林が、こうべを垂れる。


「いや…なんと言うか驚きはしたが…助かりました」


色々とんでもな事実だが…この1週間ちょっと驚きの連続過ぎてこのくらいのことすんなりと飲み込める。

…頭が麻痺してるだけかもしれん。


「一応、小林様には何かしらの衝撃があった場合のみ身体を保護できるように、軽く人体をいじらせていただいておりますが、


今回貴方が小林様に渡したゴーレムが居なければ小林様は死んで居たでしょう。

お礼申し上げます。


まぁ、そもそも貴方に、出会わなければこのような事態にはならなかったでしょうが」


サラッと怖いことを色々言う…ドラゴン怖い。


「お…おぃ、人体いじるってどう言うことだよ?っか、親父にもやってんのかソレ?」


「あら?何のことですか?」

コッコアルットは、手を頬につけ首を傾げる。

優雅だ。


「にしても、こんなに好意的なドラゴンが近くにいるとは思わなかった。


単に、自分から苦労を買って出て居ただけなんて…まぁ、全て済んだから良しとしよう」


私は、ため息を吐く。

気が抜けると何だか眠くなって来た。

欠伸が出る。

このままこの木陰で寝てしまおうか…。


「何も済んでらっしゃらないですわ」

コッコアルットが呟いた。


「え?」

「私は、この件に関して何の干渉もしないと決めております」


「ど…どう言うことだ?」

「そうなるよな」

「僕もそこは納得できてません」


小林と田中が続く。

SPのみなさんも声に出さないがうんうんと頷く。


「今回は、小林様の危機に対し私が来ただけの事です」


「な…なんと…では、今後小林殿を危険なところに連れてくというと、コッコアルット殿は同行してくれるのか?」


「いたしません」


「なっ…それではまた小林殿に危険が及ぶでは無いか」


「いえ、しばらく危険と言うことでこれから小林様を監禁…いえ危険のないところで保護します」


「マジか…親父と2人きりとかは嫌だぞ」


「お父様は保護いたしません。私が加護するのは直系の第一子のみでございます。

貴方様がお生まれになった時点で私は貴方に仕えるのです」


「そんな…おれが子を為さなければ…」


「その時はその時ですわ」


なんと言うか…ドラゴンの考えはわからない。

しかし、コッコアルットが助けてくれないとなると…タルッタ(?)もう一匹のドラゴンはどうしたらいいのだ…。


「コッコアルット殿、いまのこの状態でタルッタを倒すすべはあるか?」


「さぁ、どうでしょうね…私も少々この世界の人間は多いと思いますのでわざわざ貴方方に助言する必要性はありませんわ」


「なるほど、その点に関してはコッコアルットとタルッタ…だったかは、同意見なのだな」


「同じかどうかは分かりませんわ」


「なら、なんで安西…いや、コッコアルットは人を滅ぼさないんだ?」


「小林様は、安西のままで呼んでくださいませ。


…なんでと言われても…私にとってメリットがありませんわ。

怨みもございませんし」


コッコアルットは、わからないと言ったように首を傾げた。


「それでは、そろそろ私達は行きますわ」


コッコアルットは唐突にドラゴンに姿を変えた。


その姿は、日本の昔話に出てくる龍そのものである。


「コッコアルット殿はいつからこっちに来ているのだ?」


「レディに年齢を聞くような無粋な事はやめてくださいませ。

ちょっと昔からですわ」


ドラゴンの姿であるので表情が分からないがニコリと笑った気がする。

もしかすると…昔話にとうじょする日本のドラゴンはコッコアルットではないか…なんて事を思ってしまう。


ドラゴンの生態はよくわかっていないがかなりの長寿であると考えられている…が人が想像する以上なのかもしれない。


「なぜこの世界に来たのか、知っているか?」


「ええ…私は自らこちらに来ましたし」

「帰る方法はあるのか?」

「無きにしも非ず…ですわ」


そう言うとコッコアルットとヒィと叫ぶ小林の腰のあたりの服を噛むとそのままどこかに飛んで行ってしまった。



よろしくお願いします

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