三十撃目
警官は、私に近づいてくる。
「見たことか、この世界の人間は愚かなのだよ」
私は、砂を握りしめ起き上がろうとするが警官に頭を踏まれた。
起き上がれない、口の中に泥が入る。
「その愚かさゆえ自分らを一番偉いと勘違いをし他の生き物を蔑ろにする。
場合によっては、同種である人間同士でもだ」
ぐぐっと、足に力が篭る。
到底人間の、重みではない。
私は、私の頭と警官の足の隙間に校庭のすなで作った防御壁を形成する。
それと同時に頭の周辺の土を柔らかくする魔法を唱える。
「そんなこと、他の動物だって同じだ!
生きるために他を食い殺し、同士だって、争い場合によっては共食いもするでは無いか!
それに、我々が元いた世界でも同じ人間だっていたはずだ!
なぜこの世界なのだ?」
「なぜだと?他の生物は、他の生物にこれほどまでに干渉しないではないか。
地球人どもも分かっているはずだ、いらない種なのだと。
分からぬか?我は、我がこの世界に来た時に直ぐに分かったぞ。
我はこの世界の人間をほぼ無害な存在になるまで減らすために召喚されたのだとな。
この世界自身に呼ばれたのだよ」
「何を血迷った事を、単なる手違いか何か…次元の歪みか何かで呼ばれただけだ」
「馬鹿だな。それならば何故其方はここの言葉が何の不自由もなく使える?
不思議に思わんかったのか?」
確かに…私は、この世界の全ての言語を問題無く話せる。
話せるどころか読み書きも自由だ。
「この世界の神が呼んだのだよ」
「貴様の思い込みだろう!
ならば何故私は、ここにいる!
何故貴様と敵対している!」
「お…お前ら何を話している!
何故、踏みつけいてる!
早く拘束しろ!」
SPの声が足元から聞こえる。
ジリジリと近づいて来ているのか砂利の音がする。
「面倒な奴らだ
少し黙ってろ」
警官が、手を無造作に振った…。
私は、目をギュッとつぶる。
…
……
………。
アレ?何も起こらないけど?
「なっ…」
警官が、私の頭から足をどかし2、3歩後退する。
私は、頭を上げた。
身体を起こすことが出来ないのでなにが起こったのかよく分からないけど、SPや田中は生きているようだ。
警察官は踵を返したと同時に烏になりどこかに飛んでいった。
何が?何がおきたのだろうか?
私は、痛む身体を無理やり起こそうとしてつんのめる。
「大丈夫ですか?」
田中が駆け寄って来て身体を反転させながら、抱き起こされる。
抱き起こされると共に頭からすーっと血が引いたのが分かる。
あ、コレ意識を失うパターンやで。
そう思うと共に私は意識を手放した。
よろしくお願いします




