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二十六撃目

「ここが…総理官邸…」

「テレビでしか見たことがなかったな」

「SPってやつか?こんな人達に囲まれたことも無かったぞ」


小林の父親に連絡をとり中に入ることができたが、未だ内閣総理大臣にも小林の父親にも会えていない。


2〜30人は座れる長いテーブルのある部屋に通されたまま5分は経過していた。

その間ずっと眼光鋭い10人の黒スーツを着た男に囲まれている。


カーペットは、細かい柄が入っており、装飾品も少ないが高価そうな物が置いてある。


正直私は、似たような広さの場所で似たような品質のある屋敷で過去生活をしていたしボディーガード的な人が2〜3人常に張り付いたまま幼少期を過ごしていたので特段何も感じないが、田中と、小林はずっとそわそわしていた。


先ほどまで私の事を心配していたのだが、今は逆に彼らの方が心配である。


もうしばらく、待っていると小林の父親とその後ろから総理大臣とら思われる人物ともう1人やたら恰幅のいい5〜60代の男性も入室してきた。


一度立ち上がり会釈する。


「お待たせしました。

私が、現総理大臣の内藤です」

総理は一見穏やかそうな人柄に見えた。


「警視総監の、柳瀬です」

恰幅のいい男性が名乗った。

なるほどやたら威厳がある。


「ラファージュラン・キタノ・オンターラと申します」

田中と、小林も挨拶するものだと思っていたが2人は名乗らず一歩下がった。


まるで、従者のようだ。

だが、総理は気にせず着席する。

小林の父親と警視総監も総理の隣についた。


私達もそれに続いて着席した。

一体何を話したら良いのか困惑する。


「ネットの動画を見させていただきました。

ちょっと、信じられないので話を進める前に今魔法を見せていただくことは可能ですか?」


総理がやんわりと話す。


「もちろん可能だが…どの程度のものが良い?

小林殿の親に見せたものだとこの部屋が炎上しかけないし、小ぶりなものは信用にかかるのであろう?」


小ぶりな魔法は、正直手品と罵られても仕方ないと思っている。


「そうですね…小さい傷なら瞬く間に治せると聞きましたが」


「可能だ」


「では、ナイフを」

そう言うと総理がお付きの者よりナイフを受け取り指先を切る。

切り口からじんわり血が滲む。


「コレを治せますか?」


私は立ち上がりテーブルの反対に座っている総理のもとまで近づいた。

SPが僅かに体制を変えるが気にしない。


手を取ると頭の中で呪文を唱える。

ほんのり手のひらが光り傷が消えた。


「ほぉ」

「ははぁ」

総理と警視総監が、感嘆の声を小さくあげた。


「なるほど、試すような事をして申し訳ございませんでした」


「いや、にわかには信じられない事だろうと想像はつく。

私もこの世界の全て…特に機器類においては驚かされる事ばかりだ」

そう答えて元の席まで戻る。


「では、ドラゴンがこの東京を破壊しようとしていると言うのも事実なんですね?」

確かめるような言い方だ。


「あぁ」

短く答える。

こう言う席では長く説明すればするほど信用性が落ちるからだ。


「それに対し貴方は何かしらの対策がらできる」

「いや、できない」

間髪入れずそこは否定する。


安易に希望を持たせてはいけない。


「私としては、最低限江戸川橋半径4.5キロの人間を明日の朝、ないし昼には完全に避難しておく事をオススメする」


「明日の昼まで…全員…ですか…。

不可能ですね」


「なぜだ?貴殿が日本で一番偉い人間なのであろう?命令すればいいではないか」


「一番偉いと言うわけでありませんよ。それに、全員移動となると大きなパニックが起こります

危険です」


「何が危険なものか!ここにいれば全員死ぬんだぞ!」

私は声を荒げた。


ぐいっと、田中がスーツの端を引く。

「落ち着け」

小声で話しかけてきた。


「落ち着いていられるか!

危険とわかっていながら!死ぬとわかっていながら見殺しにしろとこいつは言っているんだぞ!」

私は田中に振り返り罵倒する。


「だから、少し落ち着け。

話はまだ終わってないだろう?」

今度はスーツの端ではなく腕を引かれた。


「他に方法はないのですか?」

今はこのおっとりとした話し方が鼻に付く。


「あとは、ドラゴンを説得しやめてもらうか殺すかの二択だ。


それに、もし殺そうとした場合ドラゴンが魔法陣を発動させこちらが全滅する可能性の方が大きい」


私は苛立ちを隠さないまま答えた。


「なるほど…では説得と言うのは可能なのですか?」


「やってみなければ分からないが可能性は、限りなくゼロだ」

そう…ドラゴンに言う事を聞かせるなんて野生のワニの口の中に手を突っ込んで噛むなと言っているようなものである。


無事にすむ可能性なんてほとんどないチャレンジだ。


「そもそも、あくまで明日の昼、夜というのは私の推測で、場合によっては今この瞬間発動されるかもしれないんだぞ」


私はら総理をキッと睨んだ。


「貴方が日本を代表する人物なのであれば今すぐ人々を移動させるべきだ。


しかも、ドラゴンは頭がいい。

頭が良いからなるべく悟られないようにしなければならない。


それしか救う方法は無い!」


総理は、こめかみを抑えはぁーっと、息を吐いた。


よろしくお願いします

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