二十四撃目
「さて、次なる手なのだが、それに関しては田中殿、小林殿ここまで協力していただいたのに誠に申し訳ないのだが同行を許可するわけにはいかない」
「なぜ!?」
2人のの方が被る。
ジュージュー
目の前では肉が音を立てながら焼かれていた。
夕飯に某有名高級焼肉店に来ている。
「ネットの安価で、ドラゴンに説得しろと指示されたからだ。
2人を同行させるには危険過ぎる」
「え?まだその安価やる気だったんですか?」
「他に方法はあるまい。
幸いドラゴンの位置は現在20箇所の魔法陣を元に把握できている」
「他に有益な方法も無いしな。
なので、2人は2人の大事だと思える人を連れてできるだけ遠くに逃げるのだ」
田中と小林はお互いを見あったかとこちらに目を向ける。
「確かに一理あるな」
「ああ…ドラゴン相手に何もできる気がしない…」
すぅーっと2人は息を吸う。
「だが、断る!」
ハモった。
明らかにワザとハモらせている。
「ふざけている場合ではないのだ」
ため息が漏れる。
頭が痛いというように手で押さえかぶりを振ってみせる。
「ふざけてらわけじゃありませんよねぇ小林氏」
「そうだぞ、さっきも言ったかもしれないがドラゴンに直接殺されるなら本望だ」
「だいたい、ドラゴン凄いスピードで移動しているんでしょう?ラファ殿どうやって移動するつもりです?
徒歩で何とかなるとおもってるんですか?
交通費何とかなるんですか?」
「そうだ!連れてってくれないとこの肉食わせないぞ」
ゴクリ…と生唾を飲む。
こ…この肉が食えないだと…!?
このジュージュー言っている肉が…。
田中と小林が目の前で焼けていた肉を全て掻っ攫う。
「ああっ!」
箸を伸ばしたがもう遅かった。
「大事に焼いていた肉!」
「連れてかないなら知りませんよねー」
「ねー」
2人はもぐもぐ咀嚼する。
「くっ…」
「くっ殺古いですから」
「なっ!言い切る前にツッコミを入れるな!」
「ほら、小林氏次の肉を焼きましょう…あ、ラファ氏は肉いらないんでしたっけ?」
私は震える手で拳を握り締める。
「やり方が汚いぞ田中殿!小林殿!」
「お前が意地汚いだけでは?」
小林にも、ツッコミを入れられる。
泣ける。
ジュージュー
目の前の肉が…肉が…。
「ほら、何か僕たちに言うことは?」
「くっ…す…すみません…でした」
私は2人に屈した。
「ほら、肉だぞ」
小林が上から目の前で肉を差し出して来た。
ぐぬぬぬっ!
最後に足掻こうとするが身体がいうことを聞かない。
パクっ!
じゅわぁと肉汁が口の中いっぱいに広がる。
甘辛い焼肉のタレがまた肉に合う。
思わず白い米を、口の中にかっこんだ。
「あぁっ…んっ、はぁん」
私がっ、私がこの世界に転移したのはこの為だったのかっ!
「声だけ聞くとやたら色っぽいが、現状見ると色々萎えるな…田中日々こんなん耐えて来たのか?」
「言わないでください」
「さて、説得してダメだったときの策はあるのか?」
「ふひっ」
口いっぱいに肉と米を詰め込んでいるのでまともに答えられない。
「無いと言っています」
田中が、補足する。
「一応、朝のネットの掲示板も再度目を通して見ましょう」
田中が、スマホを操作する。
「うーん…ざっと見たところ有益な方法はまた出てないようです。
ちょくちょく動画あげてみましたとか、コメント入れといたんですが…
自衛隊と協力しろとか総理大臣動かせとか中々無茶振りはありますが、ソレができたらどんなに心強いか…」
田中は、ため息をついた。
「ため息を吐くと幸せが逃げるんだぞ」
「懐いな。小学生の頃そんな話ありましたね」
「だから俺はため息を吐かない」
「さっきため息ついてませんでした?」
「そんなこと…」
ピロリロピロリロ…
小林の電話がなった。
「はい…えぇ…いや、まだ…マジか…頼む…今肉食ってる…あぁ、すぐ出る…どこに行けばいい?…分かった」
電話を切ると、小林は店員の呼び出しボタンを押した。
何か追加するのだろうか?
カルビの追加が欲しい。
店員のが来ると小林は店員にありえない言葉を伝えた。
「すみません、用事ができたんでお会計お願いします。
もちろんまだ来てない料理も支払います」
「かしこまりました。お急ぎですね?今回に限りですが未提供のお代は結構でございます少々お待ちください」
背中がさあっと冷えた。
「な…な…」
声が出ない。
「親父からの連絡だった。内閣と今から会うことになった。チャンスだぞ!」
「総理大臣!?マジか!」
「に…にくぅ!!!!!!!」
心の中心で肉と叫んだ。
よろしくお願いします




