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二十一撃目

朝の都内は交通量が多い。

だが、江戸川橋を中心に半径4.5キロの範囲内なのではじからはじまで車で進んだところで30分とかからない。


また田中友人宅は、円の反対側でもない為ドアツードアで20分とかからない場所にあるらしい。


その間田中から質問攻めに合ったが、今回はちゃんと会話のキャッチボールが出来ているので田中もだいぶ落ち着いているのだろう。


「割とはじめの方で起きた現場だし、敷地内だから洗い流しているみたいですが魔法陣消えてないんですか?

ずっと気になってました」


「あぁ、魔法陣は物理的に一度は描く必要があるのだが一度書いてしまえば…こちらの世界風に言うと霊的に跡が残るので発動まで壊さない限り残るのだ」


「では、魔法陣を壊せば発動しないのでは?

例えば、これから行く場所とか壊せばもう発動しないのでは?」


「魔法陣とはそう単純なものではないのだ。これだけの規模だし一箇所壊したところで何の問題にもならん。


そもそも壊すには、直接触れなければならないし、一つ壊せば術者にそれが伝わる。


伝わった時点で…これだけ多く魔法陣を設置しているのだすぐに発動される可能性だってある。

不十分でも十分な威力になるハズだ。


全ての魔法陣を一気に片付ければいいのだが、現状魔法陣を壊せるのは私だけだからな」


「魔法陣をどうこうするって言うのは現状不可能なんですね」


「そうでもないぞ、魔法陣を壊すわけには行かぬがこっそり違う魔法陣を上書きして多少狂わせる方法がある。


魔力の差がありすぎる為上手く行くかは分からぬが田中殿の友人宅では一応ソレを行っておこうと思う。


まぁ、他の場所の魔法陣に触れることが出来ぬゆえ一箇所だけの子供騙しの足掻き程度だがな」


「あと、そのドラゴンは、何でいちいちバラバラの場所に移動して魔法陣を設置しているんですか?


多くの魔法陣を描くならはじからぐるーっと描いて円状にすれば良いのに…移動が面倒に思えます」


「先ほど伝えたものに、答えがあったのだが…


まぁ、威力を増すためと言えば分かるか?

例えば五箇所…いや、二箇所魔法陣を描いたとしても発動はするのだ。

だけどソレだけだとあまり効果が得られない為何箇所にも設置する必要がある。


またはじからぐるっと描いていけば、魔法陣を知らなくてもその先に犯人がいる…もしくは犯人が現れることが安易に想像つくだろう」


「考えがおよびませんでした」


「いや、魔力があっても魔法の知識や使い方を知らないから仕方がない」


「あ、それについてですが僕が魔法を扱うことができるようになるんですか?」


「それは無い…無いと思うが、可能性はゼロでは無いが…限りなく難しいと思え」


「そっかぁ…残念。でも、何でですか?」


「コントロールの問題と素質だな。

貴族や王族は産まれたばかりの頃より魔法の英才教育が成される。

それ故魔法のコントロールを自らが立って歩くようにできるようになるのだ。


だから、そうだな…歩いたことのない大人が今から足の感覚を覚えて動かし方を覚えて力を入れられるようになってバランスを取るようになって初めて立てつ。


という段階を魔法で行う事になるのだ。


それから、生まれ持っての才能だが…田中殿は昨日の現場でどの程度感じ取れた?どう感じた?」


「何となく近づきたくないと思いました」


「私は、明らかにゾクリと身震いした

その違いだ。

私より魔力が高い人間はさらに何か感じるハズだ」


田中が首を垂れる。


「ちょ!ハンドル!ハンドル!」

よろしくお願いします

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