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十五撃目

近い現場を、探して驚愕した。

ニュースによると山手線沿いが狙われているとの事であったがほぼ江戸川橋駅を中心に約4.5キロの線を繋ぐよう円状になっている。


割と人口の多そうなところは丸っと東京を囲んでいるようだ。


ネットのまとめサイトをチラ見するとネット住人達は円状になっていることについて色々考察している。


中には私のように魔法陣では無いかとか何かしらの儀式的なものでは無いかとかほとんど的を得ているとようだ。


そして…その円からかなりズレているが犯行手口が全く一緒の為に同一人物が犯人と思われる場所が一箇所。

はじめての犯行現場。


その場所は、東京国際展示場。

しかも、私がこの世界に来た次の日である。


先ほどの現場に到着した時、いや田中から話を聞いた時からそうでは無いかと思っていた。


だが、ほぼ確信に変わる。

犯人と思われる者は、私がいた世界から来た者だ。


そして、この行動力…人間では無いと考えられる。

たぶん…アレだ。


私は身震いをした。

画面を見ながら硬直していると、田中が覗き込んで来た。


「なんか、この円見てるともうすでにラファ氏の予測通りの様ですが一応現場行きます?」

私は、被りを振った。


「どうやら…この件は私の手に負えない様です。先ほどの現場よりそう離れていない場所にここがあるので今から引っ越しましょう。

大丈夫、魔法陣発動までまだ時間がかかりそうです」


「へ?」

田中を見ると鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。

「どうした田中殿、面白い顔をしているぞ」

とりあえずツッコミを入れてみる。


「いやいやいやいや」

田中は、手首から指先にかけてのみを顔の前でブンブンと振った。


「どうした田中殿?時間はあると言ったがボヤボヤしていたら死ぬぞ」

「は?」

「うむ、説明しておらなんだか。

この魔法陣、推測であるが円内の全ての人間が死ぬ様に出来ている」


「円内の全ての人間!?」

「あぁ、人間の血で魔法陣を描いているからな…人間に的を絞っているだろうし。

魔法陣に何を描いたのかを見ていないので憶測に過ぎないが」


「何か、分かんないけど…ほら転移魔法とか他の魔法じゃないんですか?」

「うーん、他もある可能性もあるのだが魔力の種類が…わかりやすく言うと先ほど見た現場に悪意ある魔力が滞っていた…と言えば伝わるかな。


はっきりとした殺意というか。

無論、人を殺してから魔法陣を描いているので殺した時のものもあるのだが、そう言ったものは一瞬で消える。

魔法陣からは、発動するまで消えないものなのだ」


それに…ここよりも範囲はかなり狭いが似た様な魔法陣を見たことがある。


ここの規模を考えると術者はかなり能力が高い。

厄介なヤツが一緒に来たものだ。


「ほら、死にたくなければ早く引っ越しの準備をしよう」

と言っても私は田中について行くだけだが。


「待ってください」

田中が、私の二の腕をガッと掴んだ。


「ラファ氏は…貴方は何もしないのですか?」

「まぁ、ここは田中殿の家だからな。どうするかわからぬし…指示してくれれば引っ越しを手伝うぞ」


「違う!ほら、犯人を倒すとか、魔法陣を壊すとか…いろいろあるでしょ」

はぁーっとため息をつく。


「これだけの巨大な魔法陣を描くのだ。力の差がありすぎる」

「だったら、だったら警察とか…ともかく誰かに伝えないと」

「今の話を聞いて信用する人間がどこにおる?」

「でも、昨日貴方のことを信じた人は多くいましたよ?」


「だから田中殿に話したくなかったのだ。お人好しも過ぎる。

人間は、そもそも自身に都合の良いことしか信じない。


だから、災害が起こると言われても危険だと言われても自分だけは安全だと…災害が起こりはしないと間違いを起こす。


そして、いざ自身が災害に見舞われた時、非難する人間を探し出し罪だと言う。

まぁ、大概は、危険だと声に出して避難を叫んだ人間を標的にする。


わかるか?

我々の出来ることは何もない。

出来るだけ遠くに逃げることだけだ。


私は、先ほど円内の…と言ったが実際はもっと大きいかもしれんしな」


「そんな…そんな冷酷な人だとは思いませんでした!」

ドン!

田中がテーブルを、拳で叩いた。


「冷酷も何も事実を受け止め冷静に判断したまでです」


…。


しばし沈黙が流れる。

田中はうつむいたままこう言った。

「出てってください」


「…そうか。

田中殿、世話になった。

迷惑ついでに今着ている服はそのままもらうぞ」

田中は何も言わない。


私は立ち上がり玄関に向かう。

家を出る。

バタンとドアが音を立てて閉まった。




よろしくお願いします

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