十四撃目
部屋に戻ると玄関で質問責めにあった。
内容は要約すると何故話せないのか…と言う事だけである。
田中は、普段そうでもないが一旦興奮すると話を聞かずに一方的に話し始めるようだ。
田中の興奮が収まるまで時たま『すまない』と相槌を打ちながら待つ。
「全く!これからはちゃんと事前に話ししてくださいね!」
ふんっ!と鼻息を吐くと田中は玄関から中に入る。
どうやら落ち着いた様だ。
「で、なんで現場に行きたいんですか?」
田中は、お茶の準備をしながらこちらを伺っている。
ふむ…まだ確信ではないが…確信ではないがほぼ確定なきがするので話ししても問題無いか。
しかし、まったく無関係の田中を巻き込むわけには…
うーんと唸っていると田中がお茶を出しでテーブルの向かいに正座した。
「話をしても良いが、無関係の田中が事件に巻き込まれる可能性があるぞ」
「ラファ氏は、連続殺人事件に関係しているって事ですよね?どうして、引きこもりの貴方が関係してるのですか?」
「今はまだ関係していないが…これから関係するかもしれん」
「なら、話を聞くだけなら無関係って事ですよね?なら僕の耳にも入れていいはずです」
「そうは言うが田中殿はお人好しだ、話を聞いたら関わってしまう可能性の方が強い気がする」
「関わる関わらないは僕の自由です。ただ、情報が手に入るのに手に入れようとせず知らなかったですませたくありません」
田中が真っ直ぐにこちらを見据えた。
はぁ…ため息が出る。
田中は、まるで物語の主人公のようだな。
私は、ため息を再度ついた。
「これは…あくまでもまだ考察…可能性の範囲の話しなのですが…」
一旦唾を飲み込む。
手に力が入る。
ここで話したら田中はお人好しだ、絶対行動する。
危険な目に合うだろう。
…そもそも私を拾ったこと自体がこんな状況を産む出すことになったのだ。
私が疫病神なのだ。
私は、下を向いてフッと笑う。
そして、話す決意をした。
「この連続殺人事件は、魔法陣の形成…発動させる下準備であると思われます」
田中は何も言わない。
ただ、真面目に聞こうとこちらを見据え続けている。
「まず、私がそうでは無いかと思った理由ですが、二点あります。
1つが、近づきたく無いと思っても近づいてしまう場所。
もう1つが、現場を見て確信してから臭う臭いです」
田中は、大人しく聞くことに徹底していた。
「この2つ、一見すると別に単に野次馬精神のなさるわざや、思い込み…と、勘違いしてしまいそうですがそうではありません
はじめに、私や田中殿はこの世界に魔法は無い、もしくはこの世界の人間は魔力がないと思っていました。
だが、どうやら違う様です。田中殿は現場に近づいたとき嫌な感じがしましたね?」
田中うなずいた。
「まぁ、日常そんな事も少なからずあると思いますが、それが魔力か魔力じゃないか違う点があります。
全ての魔法ではありませんが、魔法陣特有の物として魔法陣の魔力は生き物を引き寄せる性質があります。
つまり、嫌な予感があるけど近づいてしまうのはそこに何かしらの魔力を感じ取った…と言うことです。
まぁ、そもそも論ですが魔力がこの世界にも無ければ私が魔法を使えないので魔法自体はこの世界にも存在するってことなんですが」
田中はアッと口を押さえた。
私は、続ける。
「そして、第2に魔法陣を作る際術者がやりたがる事として、魔法陣を描くものが臭いを発生するものの場合その発覚を抑えるため現物を見ないと臭いに気づかれないように抑える魔法を別にかける事です。
もし、誰かに見つかって魔法陣の形成を潰されないようにするためですね」
「でも、魔法陣ってさっきの嫌な感じがするのに近づいてしまう…って言うので匂いよりバレやしないですか?」
田中がはじめて質問をしてきた。
「いい質問ですね、でも、何か嫌な気がして近づいてしまったけどそこに何も見つけられなければ気のせいだと思いませんか?
それに一定の範囲内に入らなければ嫌な感じはしないのですから臭いの方がより他に届く可能性もあります。
まぁ…今回のような魔法陣を描くものを生物にしたりする場合は特に。
そもそも田中殿にいたっては両方気のせいだとおもいましたよね?」
「なるほど」
「魔法に関してあまり詳しくない平民も似たようなものです」
まぁ、本当はもっと細かいあれやこれもあったが、これだけで十分納得と理解をしてくれたようだった。
「ただ、私は今回現物を見てないので他の現場を確認したいと思ったのです。
臭いに関して…ね」
田中はうなずいてくれた。
よろしくお願いします。




