表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/63

十一撃目

今日は、日曜日。

私がここに来て丸1週間経つ。

田中曰く私の適応能力は半端ないらしい。

それから、情報収集も。


情報収集に関しては絶対ネットのおかげだと思うのだが、それだけでは無いと…私の努力が半端ないとの事だ。


褒められ慣れていないので田中にこんなに褒めて貰えるのは嬉しい。


褒め上手の田中が祖国の貴族であればモテモテであっただろうと思う。

本人曰くモテた試しがないとの事だが…きっと影で泣いている娘はいるのではないかと想像する。


昨日ネットに動画を上げて失敗し、夕方には削除したのだがその間に四万円程稼いだと言うことで田中は朝から換金しにどこかに出かけている。


四万円…1日で稼ぐにはかなり多いと思う。

だが、1週間田中にお世話になった金額を考えると全然足りていないのではないかと思う。


私は、私用にあつらえて貰ったスーツをチラ見しため息を吐いた。

コレもそれなりに高いに違いない。

このままここでお世話になり続けるわけにはいかない。


いっそ何も言わずに出て行こうかとも思ったが、行き着く先はその日のうちにホームレスだ。


この世界には魔獣はいない。

この世界の戦争は、私のやり方と違い過ぎるゆえ役にもたたない。


この世界に、私の存在意義などないのだ。

私は、この世界で無力すぎる。


クックックッと、皮肉な笑い声が口から漏れた。


単にたまたま偶然に拾ってくれた田中が良い人なのだ。

田中だったからこそ、平穏無事に生きているし、様々な情報を学ぶことができている。

単にラッキーだったのだ。


数日前に読んだラノベに異世界に転生して成功を収めた…という話を読んだのだが現実世界はお話のようにはいかないのだ。


…私のいた世界での転移者と私のこれからの末路は…きっと同じだろう。


実は、私の世界にもどこかから来た転移者は幾人かいたらしい。


私の様に原因不明で転移したのではなく、魔術儀式によって強制的に呼び出した過去が記録されている。


ラノベにある様に、表向きは勇者召喚である。


ただ、、本当のところはちょっと違う。

他の世界の、住人から知識や技術を盗む、さらにはその召喚自体が実験だったりしたらしい。


さらにほぼ転移者はたいして役にもたたないので戦争などの、補給要員として戦地に送り込まれあっという間に死んでしまったという。

中には死ぬよりも惨たらしい末路を辿ったものもいたそうだ。


転移には沢山の魔力がいるし、儀式も特殊。

失敗すれば肉片が届くだけだし、とんでもないモンスターが出ることもある。


そして、儀式中にこちらの賢者レベルの魔術師が死ぬ事もある。

また、召喚したはいいが帰省される術もないなどの理由から今ではどの国でも禁忌となっている。


きっと地球人も、転移者の中にはいたので無いかと思う。

昔から日本には神隠しと言われ突然一瞬で人が消えることがあるらしい。


もしかすると、どこかのマッドな魔術師が今だに秘密裏に、異世界召喚魔法を使っているかもしれない。


そんな人が私を、再び元の世界に戻してくれはしないだろうか…?

いや、そんな危険人物戻れたとしても禁術発覚の隠蔽の為に即殺されるであろう。


こちらに転移した時点で完全につんだのだ。泣けてくる。


自分が転移者だと気付いた時点で私は、心の奥底でそんな事を考えいた。

だからこそこちらの世界の情報を必死で集め馴染もうとしていただけに過ぎない。


田中に適応能力が高いだとか情報収集に関しで努力家だとら褒めて貰らったが本当のところ褒めてもらえる物など1つもないのだ。


よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ