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37.属性が与える恩恵と差別

ブクマ、ポイントありがとうございます!






属性。

この世界『コロル』では人々に……いや生きとし生けるもの全ての存在にあるもの。

属性の色合いによってその人(もしくは生物)の特性が変わってくる。

火属性ならば攻撃力、風属性ならば敏捷力、土属性ならば耐久力、水属性ならば回復力。

と、このようにそれぞれの属性によって性質というものがある。

これは人が成長する上でのステータス的なものにも関係してくる。

火属性の人間ならば象を投げ飛ばせるほどの力持ちになるし、風属性ならばチーターよりも速く走れるようになるだろう。

土属性ならばバッファローの突進にもビクともしない強靭な肉体が育ち、水属性ならばそれこそ体をペチャンコにされても回復できるほど。

そう、この世は属性で成り立っている。

この四大属性のように使える属性ならば出世コースは間違いない。

その代わりに、四大属性の派生になってしまい、もしそれが使えない属性だったら……。

まずもってマトモな生活は送れないだろう。

そんな属性差別が激しい国、『レーグナム』である一人の男の子が産まれる。

灰色の髪に灰色の目が特徴的なその男の子の名はーーー


ーーー『レイト』





属性差別が激しいこの国では当然ながら、俺のような無能はほとんど人権がないに等しい扱いを受ける。

今もそうだ。


「闇よ、強化せよ!『闇の補強(ダーク・アップ)』!」

「……ガッ!?」


ニグレが身体にかけた闇属性下級魔術『闇の補強(ダーク・アップ)

ニグレの周りから黒っぽい煙のようなものが噴き出し、彼の身体能力を上昇させる。

いくら下級魔術と言っても、俺の身体能力はそこらの十歳時とほとんど変わらない。

一応緊急に備えて多少鍛えていたお陰で、まだ耐えられるレベルではあるものの、これ以上の威力は耐え切れそうにないな。

ニグレのタックルをもろに喰らって地面に叩きつけられながら、俺はそんなことを考える。


「さすがニグレさん!無能が紙クズみたいですね!」

「当たり前だろ!なんて言ったってニグレさんの属性はあの“闇”だぜ!?そこらのクズにゃ負けるわけないじゃん!」

「それもそうか!」


取り巻き達の嘲笑が頭に響く。

ニグレは、地面に這い蹲った俺の姿をその黒い瞳に捉えると、副院長の方に向かっていった。


「よし!良くやったぞ、ニグレ!私の教えた通りに魔術を使えるようになってきたな!」

「いえ、これではまだまだ威力が足りません。もっと……あのクズが壁に叩きつけられるぐらい強くないと……」

「そうか?まぁ、向上心があるのは良いことだしな。……そうだ!ちょうどそこに灰色の人形が有ることだし、闇魔術の訓練に使ってみたらどうだ?」

「良いんですか!?」

「ああ、一応院長のこともあるし、壊さない程度に、だぞ?」

「はい!」


何だかニグレと副院長の話し声が聞こえる。

しかしニグレのタックルを喰らい、頭がクラクラしている今の俺では何を言っているのかよく聞き取れなかった。

ただ、わかることはその会話が地面に這い蹲っている俺を心配しているわけではない、ということだけだ。

俺はそのまま瞳を閉じた……。





翌朝。

昨日の夜に行われた訓練は、俺が自分にかかっていた負荷と疲労に耐え切れずにその場で寝てしまったために、そのままお流れになってしまった。

しかし訓練は基本的に毎日午後からすることになっているので、決して逃げ切れるものではない。


「何とかして殴られないように出来ないかな〜」


そう独り言を呟いて、俺は朝の清掃区画へと向かった。








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