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叛逆の魔術師〜属性が無いと蔑視されたので開き直って金持ちになることにした〜  作者: シロナガスクジラ
第2章 学院劣等生の家庭教師〔前編〕
33/38

33.変態じゃないよ!変態と言う名の紳士だよ!

昨日、忙しくて無理でした。

すいません……。






今、俺は男して最大の禁忌を犯しているのではないだろうか?


「はぁはぁ、はぁ……はぁ、はぁ……ふぅ〜」


荒くなった息を抑え、できるだけ静かに呼吸するように努める。

しかし眼前に広がるパンツ(お宝)を前に、俺の呼吸は益々荒くなるだけだった。

そうして俺はパンツ(白い布切れ)を右手に握りしめながら、この部屋に備え付けてあるシャワー室に顔を向ける。

そこには扉越しに身体を洗っているカエルラのシルエットが浮かび上がっていた。


「はぁはぁはぁはぁッ!……はぁ、はぁ……ふぅ〜……はぁ」


更に呼吸が荒くなる。

それを抑えようと深呼吸をしてみると、女の子特有の甘酸っぱい部屋の香りが……。

俺はまたしても悪循環に陥ってしまっていた。





俺が変態行為をする一時間前、即ち模擬戦直後まで時は遡る。

俺は両腕に確かな重みを感じて目を開ける。

するとそこには俺の両腕にすっぽりとお姫様抱っこの態勢ではまっているカエルラの姿があった。


「よかった……。大丈夫だったか?あんな危険な魔術を行使したりして……」

「…………」


驚き、というよりも少し冷めた視線を向けてくるカエルラ。

多分ボディタッチのことでセクハラに訴えたいのだろうが、お生憎様。

今回は完全に俺の悪いところはない。

と言うかむしろカエルラを助けるために行動した結果なのだから、褒め称えられても可笑しくはないのではないだろうか?


「…………」


しかし、いつまでもお姫様抱っこをしているわけにもいかない。

時が経つにつれてカエルラの視線はドンドン冷めていく。

コレはあれだろうか?

どさくさに紛れて胸揉んでんじゃねぇよッ、て事か?

だがな、だからと言って他に掴むところがあの一瞬ではなかったのだ。

カエルラを地面に叩き落とさないだけマシだと思って欲しい、と思う。


「…………」


しかし、アレだな?

カエルラの体操着姿を見る限りだと身体の凹凸が乏しく、少し触っても痛そうだなぁという印象の躰つきをしていたが……。

案外女の子の身体は柔らかいのだな?

超ど貧乳なのにふにょん、というマシュマロのような柔らかさを確かに感じた。

も、もう少し味わってみたいかも?

と言うかこの際お尻もどさくさに紛れて……。


「……死ねっ!」

「うぉっ、危ねっ!?」


俺が完全なるセクハラをする寸前で、カエルラが懐に隠していた護身用のナイフを俺の頸動脈目掛けて切りかかってきた。


「お前ぇ!危ないじゃねぇかッ!」


お前、今完全に寸止めする気なかっただろッ!

俺は憤懣遣る方無いと言った様子でカエルラに怒鳴った。

しかし、その数秒後にきた絶対零度の如きカエルラの冷たい視線を受けて半歩後ろに下がった。


「……百歩譲って、腰までは我慢しようと……思いました。私をあの状態から救ってくれたのは他でもない貴方ですし?こういったちょっとしたボディタッチも致し方ないことかな……と。私もある程度までは許容するつもりでした」

「あぁ……」


先ほどの冷たい視線とは真逆の、仏の如き暖かい視線に俺は逆に何か薄ら寒いを感じた。

カエルラはそのままのアルカイックスマイルで「……でも」と話し続ける。


「……でも、流石に………………胸は、我慢出来ませんでした。コイツ何触ってんだ?死ねよ!と、思いました。……しかし、相手は一応とはいえ恩人です。だからせめてコイツの両腕から降りた後に軽い説教で済まそうとっ……そう、思っていたのにッ」


そこでカエルラの怒りは絶頂まで来ていたのか、熟したトマトよりも真っ赤になった顔で俺を睨みつける。


「コイツはッ!ここで殺すべきだ!……と、私はそう思いました」

「ヒェエエエエッ!!!」


ジャキン、と構えたナイフの数々に流石に俺もやり過ぎた、と遅まきながらに気づいた。

ヤバいっ、早く逃げないとっ!

俺がそう思ってカエルラに背を向けたところで、カエルラの行く手を阻んだ者がいた。

……ムスクである。


「ふむ……カエルラ、元気なのは良いことだが……。今はまだ止めてくれるかな?」

「な、なんで止めるんですかッ!?」

「ん?いや、私がレイト君に話があるからだよ……」

「…………」

「まぁ少しだけ待ってくれよ。私の話の後はレイト君を好きにすれば良いから」

「……わかりました」


ふぅ〜、よかったよかった……。

ムスクが何とかおさめ……って何!?

お前何勝手なこと言ってんの!?

コレじゃあ、俺の生命の危機が後回しになっただけで何の解決にもなってないじゃん!

俺がそう思っていると、体操着姿のカエルラに「着替えてきなさい」と言ったムスクが、俺の方に話しかける。


「なるほど……。ルラキお嬢様が何故、君をここに連れてきたか何となくだけどわかってきたよ……。無属性の魔術師さん?」

「……」


俺は、ムスクの邪悪な笑みを見て何かまだ一波乱ありそうだなぁ……とそう思った。







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