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叛逆の魔術師〜属性が無いと蔑視されたので開き直って金持ちになることにした〜  作者: シロナガスクジラ
第1章 駆け出し冒険者編
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3.冒険者にとっての必需品

ブクマ、ポイントありがとうございます!



「ところで、行くルートは決まっているのか?」

「あぁ、それに関しては何の問題もない。言っただろ?これは貴族様からのご依頼なんだぜ?当然、俺たちの足も用意してくれているさ」

「……と、言いますと?」

「どうやら運送屋ギルドに、僕たちの移動用の馬車を用意させているみたいだよ?」

「……用意周到」

「あははっ、楽しみだね!依頼」

「ふんっ、そこのバカが何かヘマでも起こさなければイイけどねッ」


……そのバカって、もしかして俺のことか?


「そうよっ、アンタ以外に誰がいるのよッ」


……もしかしなくても、俺でした。

どうもカルテは会った当初から俺に辛く当たる傾向にあるな。

何か悪いことでもしただろうか?と思ったものの、俺に思い当たる節はないので、とりあえず今は依頼を達成させることを優先させるとしよう。


「今日の午後、つまりギルドで飯を食ったらすぐに出発する予定だ。準備がまだ住んでない奴がいたら、早めに備えておいてくれよ?あ!ああ、後な、一応今回の依頼は泊まり込みでやる予定だからよ、テントはこっちで用意しているが、飯と寝袋ぐらいは自分で用意しとけよぉ?」


最後にバルディがそう締めくくって一応の解散と相成った。

バルディとカルテ、リーマとフィロとイエーリの二組が固まってミーティングスペースを出て行く中、その場には俺とルラキが残った。


「少し、付き合っていただけませんか?」

「……なんで?」


この場に残る以上、どう考えても俺に用事があるのだろうことは察せられるが、一体どんな用件なのかが俺には予想できなかった。


「いえ、ちょっと今回の依頼に必要になるであろう、冒険者の道具というものを教えて欲しいんですの……」

「……わかった」





所変わって冒険者ギルドの売買スペース。


「なるほどですの、それでこちらの長靴が必要になるのですね?」

「うん、まぁ今回は湿地帯にいくようだしな。地面の泥濘にも気をつけた方が良いだろう、ってのが俺の見解なんだけど……」

「はい、その通りだと思いますわ」

「……」


俺は今、ルラキの必需品集めに付き合わされていた。

どうやら彼女は、いつも依頼受注の際には下男(本人は爺やと呼んでいたが……)に下準備を全て任せていたようだ。

正直、どこの令嬢様だよ……とツッコミそうになったが、仕方がない。

人間、生きている以上は色々事情なんてものが存在しているのだ……。

俺も野暮なことは言わないようにしている。

話は戻すが、そんなお嬢様然としているルラキ様は、どうも今回の依頼で何を持っていけば良いのかがよくわかっていなかったようだ。

それで、誰か経験者の方に聞きたかったようなのだが……。


「だったらバルディの奴に聞けば良かったんじゃないか?あいつ、Dランク冒険者の中じゃ、大分上の方だぞ?」


それに、あいつだったらこんな綺麗な娘が聞いてきたら、手取り足取りとご丁寧に説明することだろう。

暗に、バルディの方が確実だぞ、といった念を込めてルラキに聞いたが、そんな俺の言葉を即座に否定する。


「いえ、あの方は……何というか、下心のようなものを感じましたわ」

「あぁー……なるほど」


……バルディ、無念!

とまぁ、冗談は置いておくとして。

ならば、リーマとフィロとイエーリの三人娘ならば、如何だろうか?と、そう聞こうとする前に、さらにルラキが言葉を重ねる。


「それに……あんな風に何人かで固まられると、少し聞き辛いと申しますか……。少し、聞くのが恥ずかしいですわ」

「なるほどね……」


確かにルラキの言う通りなのかもしれない。

俺自身、ソロでやっている身ではあるが、今までどこに行っても殆ど一人だったため、こういった疎外感などは慣れっこだったが、ルラキのようにいつもは誰かと行動を共にしている人間ならば、少しばかりあの空気は辛いかもしれない。

あの、何と言えば良いのだろうか?

身内だけで固まっている感のある、少し纏まりのないパーティーみたいな?

俺は都合上、もっと関係が冷え切ったパーティーを幾らか見てきたのだけれど、パーティーを組むこと自体が初めてだったらしいルラキからすれば、少し戸惑ってしまうのも仕方のないことと言えるだろう。

まぁ、だからと言って俺を巻き込むのはあまり関心しないんだけど……。

……今回だけの付き合いだと思えば、少しはマシな気もするな。

パーティーメンバーが、不甲斐ないと自分の依頼成功率にも影響を及ぼすので、俺も努めて丁寧に説明し、不足分のアイテムを購入させた。


「じゃあ、これで大体揃ったな。……おっと、そういえばルラキは魔力回復薬とか体力回復薬とかは持ってるのか?」


大体、揃ったかなと思ってアイテムのリストを見ていると、不意に自分が初歩的なアイテムの購入を促していないのを思い出した。

それが、魔力回復薬(マナ・ポーション)体力回復薬(エナジー・ポーション)である。最早、冒険者にとっての生命線と言っても差し支えのないこの薬品類。

効果は読んで字の如く、といった感じだが……。

少し魔物から手傷を負った時や、魔力量が底をつき始めた時などに、この薬品を口にすると、少しずつではあるが、自身の体力や魔力が回復するというものだ。

この二つはさすがに揃えておかないとマズイだろう……とそう思って忠告したのだが、ルラキはそんな俺の言葉に、不満気に頬を膨らませる。

……えっ、俺何か間違ったことでも言ったか?


「さすがにわたくしもそこまでバカじゃありませんわっ!」


……そうか。

さしもの俺も、先ほどの言葉はルラキを舐めすぎだったようだ。


「ごめんごめん、いや殆ど準備するのは初心者だって言うからさ……てっきり……」


てっきり魔力回復薬(マナ・ポーション)体力回復薬(エナジー・ポーション)の存在を知らないものかと思った……とは、流石に相手を舐めすぎか?

そう思った俺は、開いた口を押さえ、無駄口を封じる。


「むぅ……」


相変わらず頬を膨らましたままのルラキは、少しばかり赤面した顔つきで、「早く、次の場所へ案内してくださる?」と言い、俺に次の準備作業を促す。


「だから悪かったって……」


俺は、そんな怒ったままのルラキをなだめすかしながら、次の購入場所へと移動した。






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