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叛逆の魔術師〜属性が無いと蔑視されたので開き直って金持ちになることにした〜  作者: シロナガスクジラ
第2章 学院劣等生の家庭教師〔前編〕
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27.全属性チートって、呪文覚えるのが大変そうだよな

すいません、土曜日の分の投稿が遅れました。

あと一話分、投稿します。





結局の所、プールというかあの血の池地獄での水泳はしなかった。

ただ単に、あの程度のことで怖気付くような家庭教師ならば必要ない、とはムスクさんのセリフである。

いや……アレは誰だってビビると思いますけど?

ちなみに剣山に刺されてもんどり打っていた囚人の様な方はここの従業員だそうだ。

人はビビらせるんだったら一人ぐらい刑に処されている人間の様を見せていた方が効果的だ、とムスクさんは言っていた。


「と言うわけで、これが本来の適性審査で御座います」


そう言って先ほどの高圧的な態度を解除したムスクさんが丁寧に俺に説明する。

高圧的な態度もビビらせる一環だったとか……。

ムスクさんが取り出した物は、黒くて四角いペンケースの様な大きさの物だった。

何の機材なのか、見当もつかないが……。


「これ、何ですか?」

「これは人の属性力を測る機械で御座います」

「へぇ〜、これで属性力をねぇ……」

「その感じですと属性力についてはご存知のようですな」

「まぁ、多少は……」


属性力。

人には魔法を使う上で重要な器官が二つある。

それは属性付与の器官と魔力保有の器官だ。

魔力保有の器官は、その容量が大きければ大きいほど一般で言うところの魔力量が多い、ということになる。

属性付与の器官は、付与力が高ければ高いほど属性力が強くなる、ということだが……。

これだけでは属性力が何たるかをあまり説明できていないだろう。

例を挙げるとするならば、魔法の威力についてだろうか?

同じ階位の魔法を使っていても実は人によって威力が違う。

例えばAランクの魔術師が火属性上級魔術『火の砲弾(ファイヤ・シェル)』を使ったとすると、その名の体をなすようにまるで火でできた砲弾のような物が放出される。

しかし、この魔術を使った者がBランクだったとしたら?

砲弾というよりもラグビーボール程度の大きさにしかならないだろう。

最悪形は整ったとしても、威力の差が歴然だろう。

Aランクが山を破壊したらBランクでは岩が精々といったところ。

まぁこれは例に過ぎないので実際はそこまであからさまではないと思うのだが……。

とりあえず行使した術が同じだとしても人によって威力が全く異なるということは理解できたと思う。

さて、属性力が魔術の威力と関係していることは理解できたとは思うが、ここで属性力と魔力量の性質の違いについて言っておこうと思う。

魔力量は先天的な差こそあれど、努力をすれば大抵は上昇する。

とは言っても、その魔力量の伸びにもポテンシャルの高さが関わってはくるのだが……。

どちらにせよ努力すればある程度高くなることは変わりない。

そんな魔力量とは打って変わり、属性力は先天的なものが十割を占める。

これ即ち完全な才能ということだ。

そして属性力が低いということはそのまま魔術師としての格の低さにも繋がる。

大抵の人間は自身の属性力が低いと知ると、魔術師の道を諦めるものだ。

まぁ、属性力がないってことは魔術の効果を十全に発揮できないということなのだから、普通考えたら魔術師を選ぼうとは思わないだろう。

さて、話は逸れたが結局のところは才能の話だ。

この属性力の数値がどれだけあるかによって魔術師としての有能さを知ることができる、と。

つまりはそういうことなのだろう。


「あぁ、もちろんレイト君だけにさせるつもりはないよ?なんて言ったって相手のプライバシーをある程度侵害するわけなのでね。私も……そしてカエルラも君に属性力の数値を見せよう。……良いね、カエルラ?」

「ムスクさんがそう仰るならば構いません」

「と言うわけだ。見慣れないレイト君から先にさせるのも可哀想だし……私から先に見せてあげよう」


ムスクはそう言って黒いペンケースみたいな物に手をかざした。

するとムスクの魔力を勝手に吸い出し幾何学的な文様を映し出した。

しばらくムスクがペンケースに手を翳していると、やがて文様は収まり文字が浮かび上がる。


「ふむ……出来たようだね?ほら、レイト君見てみなよ」


ペンケースを投げ渡され表示されている数値を覗き込む。



ーーーーーー


火:38

水:58

風:126

土:0

光:0

闇:0

非:0


ーーーーーー


これがムスクの属性力だ。

……。

いやこんな機械使ったことがないから、こんな数値だけを見てもどこが凄くて何が悪いのか全然わからないんだけどな?

俺のそんな困惑顔が伝わったのか?ムスクは俺に属性力の目安的なものを教えてくれる。


「レイト君、良いかい?これは最新式じゃないから派生属性は全て非で表されるけど……基本的な四系二極の属性の属性力はしっかりと記すことが出来るんだ。……そう言えば派生属性については知っているのかな?」

「何となくは……」


基本的に世の中には四系二極の属性が主流とされている。

しかし人間が……いやこの世界に生きている全ての生物は、そんな六つの属性で表されるほど単純ではない。

当然その六属性以外にも派生属性と呼ばれる属性が存在している。

最近俺が目にしたもので言えば、リーマの雷属性であろうか?

……マイナーなことには変わりがないんだけどな?


「そうか……。レイト君は貴族でもないのに結構博識なんだね?」

「いや、このくらい一般常識ですよ」


ムスクのお世辞を軽く流す。

貴族からすればこんなことは常識だ。

なのに一般人()が知ってはならない道理はない。

まぁ、この国は貴族至上主義的なところもあるから、知識的なものは基本的に貴族が独占しているんだけど……。


「それで、この数値の見方なんだけど……。一般人が大凡属性力四十程度。魔術師の平均が大凡百程度と言ったところだね。……まぁ、魔術師のトップともなると属性力の数値はまた全然変わってくるんだろうけど」

「……なるほど」


そうなると、ムスクは火、土、光、闇(ついでに非)の属性力は一般人以下だが、その代わり水属性と風属性……とりわけ風属性の方は魔術師以上の属性力を誇って言えるだろう。

ヤベェな……ムスクさんマジ有能。

俺がムスクの属性力に慄いていると、ムスクがカエルラに声をかける。


「よし、次はカエルラ……やってみなさい」

「はい!」


ゴクリ……。

無意識のうちに俺は喉を鳴らしてしまう。

ムスクでもこれほどの属性力を持っているのだ。

一体、カエルラはどれほどの属性力を秘めているのだろうか?








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