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叛逆の魔術師〜属性が無いと蔑視されたので開き直って金持ちになることにした〜  作者: シロナガスクジラ
第1章 駆け出し冒険者編
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2.指名依頼はミーティングから

四月中は一日二話の投稿でいきたいと思っています



「というわけで、最後の一人、連れてきたぞ!」


冒険者ギルド酒場スペースから少し離れた場所に位置している、ミーティングスペース。

冒険者は基本、依頼を受ける時に、その依頼を成功させるために作戦を開く事が多い。

……もちろん、俺みたいなソロだったらミーティングなんかする必要はないんだけど。

ただ、今回のように多くの人数が必要になる場合、特に臨時のパーティを組む場合は、十全なミーティングが必要になってくるだろう。

パーティーメンバーは、俺を入れて七人。

全員が首から鉄製のギルドカードを提げているので、多分Dランク冒険者が集められているのだろう。

革製の鎧を着た剣士風の男(名は、バルディと名乗っていた)は、どうも今回の指名依頼には、七人という定員が設けられているようだ、と言っていた。


「へぇ〜、そいつが最後の一人、ね。そいつ、使えるんでしょうね!?」

「ちょっとカルテさん!?いきなり、失礼ですよ!」

「え〜〜、だって、なんかスゴイ冴えない顔してんだもん」


最初の俺に失礼な発言をしているのが、治癒魔法を得意としているらしい魔術師、カルテ。

赤髪をツインテに結っていて、服装はゆったりとした白いローブを着ている。

ローブのお陰で体型はよくわからないが、多分貧乳。

そして、そんなカルテの発言を諌めたのが、ほんわかした感じの金髪の女性(……だよな?)は、リーマ。

肩にかかっている程度の天パ気味の髪の毛を揺らし、空色の綺麗な瞳を大きく見開いてカルテを叱っていた。

服装はバルディと同じく革製の鎧を身に纏っており、綺麗なレイピアが腰に付けられていた。


「……ども」

「はははっ、この子ちょっと人見知りなところがあって……。よろしくってことだよ。私もよろしく!」

「わたくしもよろしくお願いしますわ」


無口な女の人は、見た目がちみっこいせいで小学生と見間違いそうになるが、フードから覗く長い耳が、彼女の存在を長命で有名なエルフ族だと伝えてくれる。

緑色の髪を三つ編みにして背中に流している風体だ。

服装は少し長めのブーツを履いていて、ズボンは太ももが丸見えになるくらい短いホットパンツのような出で立ちだ。

上には白い半袖のワイシャツに、鉄製の胸当てをしている。

……胸は微乳ってところか?

太ももがすごい綺麗で引き寄せられそうになるものの、なんとか見ないようにしないと、とどうでもいいことを俺は考える。

ちなみに、お名前はフィロというらしい。

フィロの少なすぎるよろしくの挨拶を丁寧にも補完して伝えてくれたのは、ピンク髪の巨乳な女の子で、名はイエーリというようだ。

眠たげな目を擦っているフィロとは対照的に、イエーリは俺に快活な笑みを浮かべて、元気に挨拶してくる。

イエーリは盾職ということで、身体中に鉄の鎧を身につけ、手には大楯と槌を持っている。

いや、今は席についているので、大楯と槌は壁に立てかけてあるのだが……。

巨乳とわかった理由は、ミーティングには邪魔だからと、イエーリが胸当てを外したために、そのダイナマイトボディが露わとなったからだ。

ちなみに、イエーリのダイナマイトボディにバルディが鼻の下を伸ばし、カルテがそんなバルディの頭を引っ叩くという絵面ができたわけだが、傍目から見ている分には面白かった。

最後の一人は、藍色の髪を結わずに、ただ垂れ下げている、深窓の令嬢という雰囲気が似合う、女の子だった。

首元にはネックレスを一つ、それ以外はただのお嬢様の服としか言いようがない風体で、彼女の役割が何なのかがわからない。

俺が疑問に思っていることが伝わったのか、藍色の髪の少女、ルラキは口を開く。


「こう見えても、魔術師ですわ。……攻撃系統の」

「攻撃系統の!?」

「ええ……」


魔術師は、大体三系統に分別される。

一つが付与系統、二つ目が治癒系統、三つ目が攻撃系統である。

まぁ、魔術師ならば皆どの系統も扱えるようになるのだが、大抵自分の系統を名乗る場合は、自分が最も得意とする系統を言う場合が多い。

そうなると、ルラキは自分が扱う魔術もしくは魔法の中で一番得意なのは攻撃系統、ということになるが……。

攻撃系統は、魔力の暴発や不発など、失敗がとにかく多い。

そのため、敬遠する魔術師が多いのだが、ルラキは敢えてその攻撃系統を集中的に鍛えたということなのだろう。


「すごいな……あんな、危険なものを進んで習得するなんて。尊敬に値するよ」

「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいですわね」


俺の素直な賞賛に、ルラキも嬉しそうに頬を赤らめる。

……あまり褒められ慣れてないのか?

俺たちのそんな会話を聞きつけただろうと思われるバルディが、少し下衆染みた顔をして俺の肩に手を置き、耳元で囁く。


「おいおい、もしかしてルラキちゃんを口説いてんの?」

「いや、そんなつもりはないが……。あくまで素直な感想、と言った感じなんだが?」


バルディは少し間を空けて俺の顔を見るものの、俺の表情からして嘘は言っていないと思ったのか、ちょっとした忠告を口にした。


「……あいつら、全員俺が狙ってんのよ〜、わかるか?言ってる意味……」

「ぁあ、なるほど。……あまり強引に迫るのはどうかなとは思うけど、単純にハーレムを目指す分には良いんじゃないか?」

「ぉお!お前、結構物分り良いな!」

「まぁな、気持ちはわからんでもないし……」

「だろ!……今までのやつは全員、俺の邪魔しかしそうになくてな。お前はそんなんじゃなさそうで安心したぜ」


「これが成功したら、今度誰か良い奴でも紹介してやるよ」と、そんな軽口を叩いてバルディは俺から離れる。


「何を話していましたの?」

「いや、ただの世間話さ……」


俺とバルディの会話を不思議そうに見ていたルラキが、何の話かと尋ねてきたが、たった今バルディから忠告を受けたばかりなので、会話が続かないように軽めに答えると、バルディに目で依頼内容を促す。


「よぉ〜し!じゃあ、今から指名依頼の話を始めるぞ!」


俺が忠告をしっかりと守っていることに気を良くしたバルディは、上機嫌に依頼内容を話し始めた。

指名依頼は以下のようになっていた。



ーーーーーー


指名依頼

階級:Cランクもしくは、準Cランク

内容:最近、王都『リノン』の近くに存在している湿地帯に、強力な魔素溜まりが観測された。もしかしたら、新しい迷宮(ダンジョン)が出現したのかもしれない。その調査を頼む。


報酬:一人頭、一万アルマ。迷宮(ダンジョン)発見時はその倍。

構成人数:七人


ーーーーーー


準Cランクというのは、ランクアップ試験を受けている途中のDランク冒険者のこと。

ランクアップ試験には期限がないので、クリアしたときに報告すれば、いつでもランクアップすることが可能である。

しかし、調査依頼か……。


「へぇ〜、迷宮(ダンジョン)の調査依頼じゃん!スゴイね、よく見つけてきたね!」

「調査依頼ですか……。僕たちで務まるかどうか……少し、心配ですね」

「おいおい、そんな調子じゃ困るぜ?……俺たち二人しか剣士いないんだからよ?しっかりしてくれなきゃな。……まぁ、もしものときは、俺が何とかしてやるからよ」

「お、お願いします……!」


「……ねむい」

「いや、眠いって今から依頼なんだけど……っていうか、ココで寝ちゃダメだよッ!?せめて家で寝ようよ!!!」


「そういえば、貴方の名前を伺っていませんでしたわね」

「それ、今更気にするのか?」

「お名前は……?」

「(無視ですか……)……レイトだよ。ジョブは……ナイフ使い?かな」

「……なんで疑問系ですの?」

「……」


……俺のジョブは一般的ではない。

それは俺の体質に関係するのだが、そんなことを口にしてせっかくのランクアップの機会を逃すのは惜しい。

どうせこの一回きりの関係なんだ。

そこまで、深い話はしなくともなんとかなるだろう。

俺は、そう高をくくっていた。






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