嘘予告『Destiny Bell ~刻の導き~』
運命の鐘が鳴り響く時、全ての刻が動き出す。
「運命の鐘を手にした時から、既にあなたも候補だったのよ」
祖父の骨董屋で古ぼけた鐘を手に入れた一ノ関刻夜には、不思議な事が起こるようになっていた。
翌日の出来事を夢で見る。
遅刻しそうだったのに学校に間に合った。
車に轢かれると思ったら歩道に戻っていた。
不思議に思いながら日々の生活を過ごしていた刻夜だったが、ついに運命は彼を導く。
「鐘をよこせ!」
そう叫びながら、刻夜に襲いかかる謎の狼男。不思議な力に助けられながら必死に逃げる刻夜だったが、ついに狼男の一撃は刻夜を捉えた。
絶体絶命のピンチに陥る刻夜。とどめを刺すべく動き出した狼男から刻夜を救ったのは、刻夜と同じ鐘を持った学校の先輩である水谷今日子であった。
鐘を鳴らし、ワープのように移動しながら狼男を追い詰める今日子。不利と悟った狼男は、特大の咆哮で衝撃波を起こし、逃走したのだった。
命の危機を救ってくれた今日子に感謝を告げる刻夜。
しかし、そんな刻夜に今日子は鐘を向ける。そんな今日子に困惑する刻夜だったが、刻夜はあることに気がついた。
今日子が持っている鐘。それは、刻夜が持っているものと全く同じものであった。
更に今日子が口にした謎の単語。刻の支配者。後継者。刻夜は困惑し、説明を求める。
そして今日子の口から説明されたのは、刻夜の知らない絶望的な大戦争であった。
刻の大戦争。
世界を創り変える力を持つ刻の支配者。
時間、因果、一瞬、永遠。刻という世界の流れを支配する刻の支配者の後継者を決める争いが、世界中で行われているのだった。
運命の鐘を手に入れたことで、刻の支配者の後継者候補として選ばれたと告げる今日子。これを持っている限り、刻夜は狙われ続けるのだと、今日子は刻夜にとって絶望的な事実を告げる。
一度手にしたものを捨てることは出来ない。刻夜が死なない限り、運命の鐘は刻夜を選び続ける。
逃げることなど不可能。死にたくないならば、選ぶ方法はただ一つ。刻の大戦争を勝ち残ること。
もしくは……。
「あなたが私のものになるのなら、私があなたを守ってあげる」
従属か死か選ぶ今日子に対し、刻夜は死にたくない一心で従属を選択。
この瞬間、刻夜は今日子の永遠の奴隷となったのだった。
運命の鐘は刻夜の手を離れ、水谷今日子を支配者として認めた。こうして刻夜には、平穏な日々が帰ってきたのだった。
しかし、運命は刻夜を逃さない。
数日後、刻夜は今日子の戦いに巻き込まれてしまった。しかも、今日子の敵は戦いに勝つことだけを考えており、刻夜の家族は戦いに巻き込まれたことで死んでしまった。
戦いは今日子が勝利し、戦いの余波で発生した被害は、今日子が全て戻すことで解決したように見えた。刻夜の家族の命も戻ってきて、確かに今まで通りの生活は始まった。
だが、家族が殺されたという事実は残り続ける。家族が殺されたという事実は、刻夜の心の中で残り続けている。
そして、家族を一度失った刻夜は決心する。もう二度と、自分の大切な人を死なせない。
その覚悟を胸に、刻夜は今日子に協力することを申し出るのだった。
今日子は刻の支配者となるために、刻夜は大切な人達を死なせないために、刻の大戦争を生き残ることを決めたのだった。
設定:
・刻の大戦争
クロノ・ウォーズ。
神にも等しい刻の支配者を決めるための争い。
運命の鐘に選ばれた者たちが、刻の支配者の後継者となる最後の一人を決めるまで殺し合うバトルロイヤル。
相手を殺害、もしくは従属させることで相手の運命の鐘を手に入れることができる。
・運命の鐘
初代刻の支配者が作り出した後継者を決めるための鐘。
刻の支配者に相応しい者のもとへ行き、強制的に刻の大戦争へと参加させるある意味呪われたアイテム。
自分が死ぬか、相手の配下になることに同意しない限り、運命の鐘を手放すことはできない。
この鐘を持っていることで、時間に干渉することが出来る。
運命の鐘を集める度に出来ることは多くなり、全ての鐘を手に入れた者は、刻の全てを支配することが出来るようになる。
・従属
相手に従属することで、相手の下僕となり、刻の大戦争から降りることが出来る。
ただし、主となった相手が死亡した場合は、従属した者も死亡する。
キャラクター設定:
・一ノ関刻夜
主人公。骨董品店を営む祖父の趣味が移ったのか、本人も骨董品収集が趣味。
将来は一ノ関骨董品店を継ぎたいと考えているが、祖父ほどの目利きはないため要修行。
全くの偶然により、運命の鐘に選ばれ、刻の支配者の後継者に選ばれてしまった。
祖父の刻人はごく小さな範囲だが、頻繁に刻を操ってきたため、いつしか刻の干渉に抗うことが出来るようになった。
ただし物語開始時は無意識。意識すれば刻の干渉への耐性の有効/無効を切り替えることができるようになる。
最初は死にたくない一心で今日子に従属することを決めたが、今日子と敵の戦いに巻き込まれ、家族を一度失ったこと。
また、主が死ぬと下僕も死ぬことを知らされ、自分と今日子、そして大切な人達を死なせないために協力することを決意。今日子の戦いに協力するようになる。
今日子と共に刻の大戦争をくぐり抜ける内に、今日子の目的に協力したいという思いが芽生えるようになる。
二度と刻の大戦争を起こさないためにも、今日子を刻の支配者にすること。また、刻の大戦争が起こらないためには何が必要なのかを考えるようになる。
・水谷今日子
いつの頃からかは不明だが、水谷の一族は代々運命の鐘を受け継ぎ、歴代の刻の支配者に従属することで生きてきた。
しかし、それは世界が創り変えられるのを一番間近で見てきたということでもある。
昨日までいた人間が今日はいない。今までの日常が明日にはそっくり変わっている。
何度も、世界は創り変えられた。何度も、人間は入れ替わってきた。何度も、全てが壊されて、創り変えられてきた。
水谷今日子は水谷の一族の末裔であり、はじめて刻の支配者になろうとした水谷の人間である。
今までの一族の人間は、世界が創り変えられるのを仕方ないと諦めてきた。
しかし、今日子は今が好きである。今のこの世界が大好きであり、それが崩れるのが我慢できない。
いつまでも今の世界を守り続けるために、今日子は刻の支配者となることを決めたのだった。
長年運命の鐘を使い続けてきたため、運命の鐘の使い方を熟知している。
親から子へ、子から孫へ、綿々とその技術は受け継がれてきた。
運命の鐘を使った戦いならばトップクラス。しかし、運命の鐘に頼った戦い方であるため、運命の鐘を奪われればまともに戦うことは困難になる。
刻の支配者となり、今を維持し続けることが目的。
・一ノ関刻人
刻夜の祖父であり、一ノ関骨董品店の店主。
刻夜にとっては優しい祖父だが、店主としては頑固者であり、値引きなどには一切応じない。
しかし、その目利きは確かであり、店で売っている品物には全て適正な価格がつけられている。
先代刻の支配者。運命の鐘が新たな所有者を見つけたことで、刻の支配者を強制的に引退することになった。
つまり刻の大戦争が起こる原因となった人物だが、本人に罪はない。しかし、自分のせいで刻の大戦争が起こることになったことには心を痛めている。
いずれ相応しい者が現れると思い、自らが持っていた運命の鐘を骨董品店に売りに出したところ、運命のイタズラなのか、孫の刻夜が後継者候補として選ばれることになった。
地獄のような大戦争に孫が巻き込まれることになったあの日を後悔しない日はない。しかし、今の刻人はただの老人。刻に干渉する力はない。
刻人に出来るのは、刻夜を見守ることだけであった。
・レビュアス
絶滅寸前の狼男の一族の末裔。運命の鐘に選ばれたことで、刻の大戦争に参加することになった。
目的は刻の支配者となり、一族の絶滅を回避すること。
それが達成できるのであれば、従属することも吝かではない。
余談だが、本来であれば狼男自体は存在しなかった。
何代目かの刻の支配者が人間以外の種族がいたら面白いという単純な理由で様々な種族を創り出した。
狼男は、その時に創られた種族の一つである。
・岡部兼継
敵候補。
何故か運命の鐘に選ばれた一般人だが、運命の鐘を手に入れた後は、様々な凶悪犯罪を繰り返してきた極悪人。
この世の勝利者のように振る舞っていたが、弱者を食い物にするゲスな姿がレビュアスの怒りを買い、四肢を砕かれ、胴体を破壊し尽くされた上で、頭部を吹き飛ばされて殺された。
それでもレビュアスの怒りは収まらず、運命の鐘の力で岡部の魂はこの世でもあの世でもないどこかへと飛ばされ、永遠の責め苦を味わい続けることとなった。
・クロノマスター
ラスボス候補。
初代刻の支配者の末裔。運命の鐘がなくても、刻に干渉する力を持つ。
運命の鐘は持たないが、刻の大戦争の参加者として、後継者を抹殺し、運命の鐘を回収している。
刻に干渉し、永遠の命を持つ存在となっている。また、過去と現在を感じ取り、世界の姿を見ることが出来る。
あらゆる過去を見てきたことで、世界が何度も創り変えられているのを目撃してきた。
過去を見ることで一方的だが親近感の沸いた人物が何度も創り変えられ、また消えていくのを目撃してきた。
世界が創り変えられ、創り変えられ、創り変えられ、その繰り返しを見ている内に、今の世界が間違っていることを確信した。
そのため、世界を創り変えるという、全てを否定する力を持つ刻の支配者に嫌悪し、憎悪している。また、自分が持つ刻の干渉力にも嫌悪を抱いている。
最終的な目的は運命の鐘を集めて自らの力を高め、過去へ跳んで初代刻の支配者を抹殺し、自らが刻の支配者となること。
そして、永遠に世界が創り変えられることのないように、運命の鐘を破壊し、刻の支配者の後継者が生まれることのないようにすること。
目的を果たした後は自分自身を抹殺し、刻に干渉出来る存在がいなくなるようにするつもりである。