表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

爆弾編

ツッコミどころは山ほどあります。細かいことは気にしないでくれると嬉しいです。

「こちらファルコン。目標地点上空到着まで残り10分。指示を乞う。どうぞ」


『こちら作戦指令室。高空に風無し。ただ想定より低気圧が近づいているため、下方気流に注意されたし。突発的雷雨の危険性もある。視界に何か見えないか、どうぞ』


「特になし。航空機の影もなし。平和な空だ。全く、嫌になるくらい。どうぞ」


『ハハハ、そう言うな。この仕事が終わればあとはワイキキビーチでのんびり昼寝ができるぞ。上層部との根回しもきちんと終わってる。楽な仕事だ』


「楽かもしれないけれど、気が重いよ。親父とお袋になんて言えばいいんだ。本当にここまでしないといけないのか?」


『おい、ちょっと待て。音声記録はここまでとする。以降、作戦開始まで録音を切る。作戦指令室、音声記録194508160803、繰り返す194508160803……おい、それ以上言うと大統領批判になるぞ。気を付けろ』


「悪い。でも、こっちだって喜んでやってるわけじゃないんだ。本当に嫌になる仕事なんだぜ、こっちとしては」


『気持ちはわかる。俺もお前の立場になったらバーボンでもやりながら大統領批判でも嫁さんの愚痴でも言ってないとやってらんないよ。だから、まあ作戦開始までは付き合ってやるよ』


「サンキュー。帰ったらお前がご所望のバーボン奢ってやるよ。でも、これ本当に落とすのか? 人里のど真ん中に落とすなんてあり得ないくらいヤバイだろ?」


『ああ、だから威嚇で良い、って指示されてるんだ。って言ってなかったか? 作戦決行ポイントについては指示されてるだろ?』


「ああ、(ベイ)の中央に落とせばいいんだろ? それだって死人は出るだろうが、まあそれくらいの数は仕方ないって判断なんだろな。戦争中だし、諦めるしかないのか……」


『まあ、戦争中、だしな』


「……はぁ、嫌になるね。殺し自体は否定しないが、こうやって仕事として作業的に殺すってのは、正直気に食わない」


『これでも慈悲はあるんだぜ? 効果だけで言えば、都市部のど真ん中に落としちまうのが早いんだけどさ。でもこいつの威力は知っての通り折り紙付きだ。国土の近くで使われれば、それだけで交渉材料になる。戦争はこれで終わるんだ。その際の犠牲者については……仕方ないよ。諦めようぜ、な?』


「……クソッ、神よ」


『言うな、俺も神に祈りたくなっちまうからな……そろそろ時間だ。いい加減雑談はやめだ。仕事はクールに、良いな?』


「ああ、わかってる」


『……作戦指令室、音声記録194508160812、繰り返す194508160812。作戦開始3分前。ポイントBの上空通過に際し、作戦を決行する。ファルコン、状況説明を乞う。どうぞ』


「状況変わらず、特に問題なし。気流の乱れがわずかにあり、主翼がわずかに揺れているが作戦決行には支障なし。どうぞ」


『了解しました。トリガーは報告した後にファルコンに一任されている。タイミングは任せる。間違ってニューヨークに落とさないように。オーバー』


「こちらファルコン、間違ってもお前の家の上くらいにしか落とさないよ。オーバー、通信終わり……さて、嫌な仕事を始めますか……それにしても、綺麗な国だ。俺は、こんなところにあんな物を落とさなきゃいけないのか……くそっ……くそっ……」


『……こちら作戦指令室。そろそろ時間だ。爆弾の投下を実行せよ、ファルコン。どうぞ』


「こちらファルコン。了解した。免責条項を読み上げる。現在時刻0815。0815。現在位置広島湾(ヒロシマ₌ベイ)。大統領権限による戦略兵器リトルボーイを投下する。この際に生じる死傷者はすべて戦時協定に含まれるものとされることを確認する。投下する、確認どうぞ。どうぞ」


『確認した、投下を許可する。どうぞ』


「了解、投下します……投下、失敗。繰り返す、投下失敗。マーカーが消えない。目視確認、爆弾は現在積載場所から動いていない。故障だ、対処方を求む。どうぞ!」


『把握した。何があったかこちらでも確認できない。すぐに引き返せ。このままではヒロシマ中央で爆弾が落とされてしまう。死傷者が大量に出るぞ! すぐに方向転換を!』


「了解! すぐに引き返す。高度1200を維持したまま東向きに戻る! 可能ならその際、太平洋にリトルボーイを投棄する。作戦失敗! 作戦しっぱ、あっ!?」


『どうした、ファルコン。返答を。どうぞ』


「わからない、何かが外れたような衝撃を感じた。もしかしたら爆弾のカーゴが今動いたのかもしれな……あ、あっ、マズイ、あっ!!」


『……こちらでも確認した。ファルコン、即座に退避せよ。繰り返す。退避せよ』


「しかし! 街の上で! あれが、あれが落ちて、落ちてしまったぞ!? ど、どうしよう、どうしたら!?」


『落ち着け、ファルコン。爆弾の投下は作戦行動範囲内だ。作戦は成功した。お前に責任はない。爆弾の効果を距離を稼いでから確認せよ。各種データはこちらに転送するように。復唱せよ。どうぞ』


「……ただちに戦域を離脱した後、リトルボーイのデータを取ってそちらに送る。カメラの使用の許可をもらいたい。許可を。どうぞ」


『許可する。どうぞ』




…………





「……戦争は、終わったのか。そうか、終わったのか。俺の落とした爆弾は、無駄ではなかったのか」


 一人の兵士が夕日の夏の空を見上げながら立ち尽くしていた。日の沈む方を見る。そちらの方に、彼が大量に人を殺した国があった。

 彼は手元にあるモノを弄びながら、手紙を読んでいた。大統領署名の感謝状だった。


「……リトルボーイ投下作戦は大成功。敵国は想定以上の威力と被害の大きさに恐れをなして、無条件降伏に同意。死者は想定で最大10万人。戦争終結の為には100点の結果、か。フフフ。100点、100点か」


 兵士は笑いが堪えられないというように口元を押さえ、身を震わせていた。鍛え上げられた腹筋がフルフル震える。目には涙。手元の紙がくしゃくしゃに潰れる。

 兵士は片手で弄んでいた黒いソレを持ち上げると、楽しそうにそれを眺めた後、自分のコメカミにソレを持って行った。ガチャリと引き金を引く。


 兵士は空を見上げながら最後に呟いた。


「お母さん、ごめんなさい。100点取っちゃった」


 バァン!


 夏の夕闇が訪れるその際で、一発の銃声と人間が一人倒れる音が響き渡った。セミの鳴き声が一瞬だけ止まって、すぐに再開した。

 戦争にも兵器にも歴史にも詳しくないので、その範囲でのツッコミはしないでください。お願いしますm(_ _)m

 物理と数学は好きだけど社会関係の勉強は昔から苦手なんです……いまだに都道府県全部言えないくらい苦手なんです……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ