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ニョーイの星  作者: 木端 貴史
第四章 闘尿の果てに
14/21

4-2

 少女は物心ついた頃から並はずれて聡明だった。

 また、時に未来予知ともいえる能力を見せた。


 それゆえ周囲からは変わり者扱いされ、使用人もどこか少女を避けるように振る舞っていた。

 父親は事業で家を空けることが多く、

 ただ一人、母親だけが少女をいつも(そば)において愛した。

 少女も母親が大好きだった。


 そんなある日、ふとした誤解から少女は「(かあ)さまなんて死んじゃえ!」と言ってしまう。

 頭を撫でてくれようとする手も払いのけた。

 母親はやさしい顔でほほえみ、夫の事業を助けるため財界人が集まるパーティーに出かけた。


 直後、少女には未来がえた。

 避けようがない自動車事故のイメージ。

 大破した車の窓から力なく垂れ下がる、あのやさしい人の白い手が見えた。

 ――はたして未来は現実のものとなった。


 それまで娘の能力に半信半疑だった父親は、

 肉親の死まで見通してしまう少女に戦慄した。

 今まで以上に娘と距離を置くようになり、

 代わりに休眠会社(ペーパーカンパニー)の経営権を一つ与えた。

 これであり余る時間と才能を消費しろと言うのだ。

 何かに没頭したかった少女はそれを受け入れ、

 とてつもないスピードで会社を成長させた。


 少女は今でも時おり未来が()える。


 この異能(ちから)はこれからも彼女を勝利者とするだろう。

 この異能(ちから)はこれからも彼女を縛り続けるのだろう。

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