スリング
掲載日:2015/06/03
どんな身近なものだっていい。
片方の手に持って、投げる。
投げる。
投げる。
目標ははるか向こう。
届かない。
届かない。
どこまでも遠く。
届かない。
言葉を刻む。
一文字ずつ。
一文字ずつ。
爪がはがれても。
刻むのをやめない。
指先が削れても。
投げるのをやめない。
人の力なんて、たかが知れてる。
それでも、みんな、投げることをやめない。
ずっと、ずっと、投げ続けている。
ずっと、ずっと、投げつけている。
誰に対して。
何に対して。
もう、身近なものがなくなったとしても。
それでも、その血を投げつけている。
片方の手に結ばれたスリング。
赤く染まったスリング。
どこに続いているとも知らない布。
その布だけは、今まで投げた物を、数えていると信じて。
今日も、投げる。
どうしてこんなに、投げることにみんな興味を持つのかと。
ほら、ここだって、投げてるじゃないか。
目的と目標と理由を見失ったって、投げることは、とりあえずできる。




