モノローグ …何故?なぜ?(過去)
はい、急にシリアスです。
“乙女ゲーム世界”
ここはそんな『ふぁんたじー』な世界でもあり、『現実』の世界でもある。人にはそれぞれの意志があり、心がある。それはゲームに関わる全ての人も同様である。
その世界の人は何も知らないまま生きて、実はその人の行動次第で誰かの人生が変わるなんて普通考える訳ない、まずそんなことが起こりうると知りもしない、それが当たり前、そんな神様の描いたシナリオ通りの世界だった。
…ただ一人『高校一年生春以降の柏葉りりあ』を除いては…
りりあは5歳の誕生日の時にもらった大きなクマの人形が大好きで、とても大切にしていた。
…ある意味大切にし過ぎていたのかもしれない。
りりあは大好きなクマの人形に毎日語りかけて、楽しいことや嬉しいこと、時には愚痴を言ったり…そんな風に、愛情をこめて友達のように大切にしていたのは、持っている人形の中でもクマの人形だけだった。
ある日、そんなりりあの喜怒哀楽の全て感情を一心に受けていたクマの人形に、この世界を取り締まる神さまの魂が宿った。膨大なる感情を、偉大なる心を持ってしまった。
本来そんな事は規則違反なのだが、この世界の神様ならば常識だってある程度ならば変えることができる。何よりクマの人形という、りりあの絶対的な存在になることを神様は望んだ。
Q1,何故?
それだけりりあはクマの人形という物に依存していた。だからそんな、「最初からりりあに愛されている物」になってでも彼女に愛してもらいたかったから、そう、神様はりりあを愛していたのだ。(愛してる=loveじゃなくてlike)
ありえない事…そうかもしれない。けれど本当の事なんだ。
クマの人形は言った。
初恋で失敗し、恋心に蓋をして、人を信じなくなってしまったりりあに、素敵な恋をさせてあげたい。例え決まった運命があったとしてもその人生の中で幸せになって欲しい、と…
幸いここは自分が管理している乙女ゲー世界。攻略対象者ならば顔も金も権力だって十分あるだろう。そう考えてクマの人形は高校一年生の春に始まるこの乙女ゲーを舞台とし、りりあに恋をさせようと考えた。
しかし、そうするにはある問題があった。
それは、りりあがこの乙女ゲー世界の主人公ではないということだ。
Q2、なぜ?
何故…?考えて見れば分かる。クマの人形は人の心を操れない。自分が人形になることはできても、シナリオをクマの人形自身で書き換える事はできないからだった。
だから、必ずしも攻略対象者がりりあに好意を向けるとは限らない。それにりりあは主人公ではないのだ。一生彼らとりりあは、話すことがないのかもしれない。
そうなると攻略対象者とくっつけて幸せになってもらうというクマの人形の勝手なあらすじは、現実には出来ないことになってしまう。
だから考えた。
誰かがりりあのサポート役となり、りりあの本来の乙女ゲーでの役割を完全無視して、攻略対象者とくっつければいいのではないかと…、それならば信頼のおける部下にその役を任せよう、そうしよう。
部下の天使はすぐにその提案を了承した。
何故なら上司であるクマの人形を愛していたから。それ以外に理由などなかった。
反対に、天使と対になる悪魔は異論を出した。
何故なら本人であるりりあが攻略対象者と恋をする事が、必ずしも幸せになるとは限らない、失恋という苦しい思いやつらい思いをするかもしれない…とそう思ったからだった。
しかし、クマの人形は決断を変えなかった。
最後まで抗議していた心配性の悪魔は、天使がりりあに対し彼のトゲトゲしい言葉で傷つけるようなことしないように見守るストッパー役を任された。
それで悪魔も渋々了承した。
正直あのどす黒笑顔を止めるのは苦労するだろうが、天使よりはまだ真面目な悪魔に、りりあのサポート役を頑張ってほしい。何よりあの天使の子守りを引き受けてくれて感謝したいくらいだ。
こうしてりりあの元に二つの人形は集まったのだった。
・・
りりあがこの乙女ゲーム世界の悪役だということを、天使と悪魔は聞かされずに…
観察データ4
クマの人形は強引でした。
次の話に関わるメモです↓(ドゥリィのメモ)
・ここは乙女ゲーム世界
・世界観はどこにでもあるような乙女ゲー設定(現代で、企業の御曹司や令嬢が通うようなお金持ち学校)
・柏葉りりあは主人公のサポート役
・主人公は東城希で高校一年生
・攻略対象者は全員で7名
・一年生3名
・二年生2名
・三年生2名
以上
あと…
閲覧ありがとうございます!!!