第二話 とある天使は外ずら詐欺師
ちょこっと長いです
「起きて下さい、りりあ」
「起きないとイタズラするぜ?」
瞼を開く前に二つの美しい綺麗な声が聞こえてきた。一つはさっき聞いた鈴の音色のような声、もう一つはその声より少し低いベルみたいな声。本当に楽器が話してるんじゃないかと思う位に綺麗で心を奪われてしまう…。
いやいや、目の前で不審な誰かが喋っているのに何悠長な事思ってんだ!りりあはとっさに目を開ける。
「…?」
ここは何処?…いや、周りは白い壁、パイプのベッドや薬品の棚…。行ったことなかったけどここが保健室だとすぐにわかった。でも、さっきまで教室にいたのに何故今は保健室にいるんだろう…まず保健の先生どこ行った?いや、そんなことよりさっきの声は何処から聞こえて…ううん、きっと空耳だよ、空耳。
「おい、コラそこ!現実逃避するなよ!?」
「あー何の事だろ、さっぱり分からなーい」
そうなのだ。私には何も見えてない。目の前に変な白い天使と黒い悪魔の人形が浮いてて、悪魔みたいな方が私に話しかけてるとかありません、はい。
そんな時、白い天使の人形が口を開いた。
「申し訳ありませんが、話を聞いていただけないでしょうか?」
「…」
「あの。。」
「…」
「黙ってんじゃねぇよ、クソ女。いい加減にしねぇとお前の耳ぶっつぶすぞ」
「はいっ!?聞こえてます!そりゃもう耳壊れるぐらい、音量ばっちりですぅぅうっ!!!」
え、ええ…何、何でこんな天使みたいな人形からこんな言葉が聞こえるんだろう。しかも真顔でいうとかやめてほしいんだけども!?(まず、人形に真顔ってあるのか?)
…天使はその姿(ふよふよした柔らかな白い人形)なのにどす黒い真っ黒な言葉を発した。
天使なら天使らしくして…ってありえない、ありえない!
「何でこんな妄想を現実として受け止めちゃってんの!私!?」
そうだよ、そう。こんなの現実な訳ないじゃん。ちょっとどこか頭打っちゃったのかも…だから心優しい誰かが保健室に運んでくれたんだと、そうであると私は願いたい!
「な訳ないよなーそれに、そろそろ帰ってきて貰わないと隣のフェルがヤバい事になってるからな」
「黙れ、ドゥリィ。」
そんな少し可哀想な叫びをした悪魔の人形の隣には一目見て分かるほど(というか見なくても分かるほどに)黒いオーラを発した天使の人形がいた。ある意味こっちが悪魔のような気がする。
「…ゴホンッ、では改めまして自己紹介を…」
「お、おぅ…そうだな。」
ん?なんか私が頭の中整理してる間に元のフェル(?)に戻った気が…うん、これで世界は平和になるね!
「失礼な事を考えていらっしゃいませんか、柏葉様」
後ろに怒りマークが付いてるのはフェルとかいう天使の存在ごと無視しようかな…!!(てか、名前が柏葉様って…こわいな!?さっきりりあだったよね?)
「…。」
「…テメェ、ベア様に選ばれたからって舐めた事し…『オレの名前はドゥスクーン・テリア・リィトル…神の悪の使いで、ドゥリィって呼んでくれ』」
「え、はい」
フェルが話している途中に、ドゥリィが自己紹介を始めた。
何だろう、こういうふうに途中から割り込んで話始める人いたよなぁ…
「…ゴホンッ、私は神の善の使いで、フェリア・ティ・ファリエルと申します。呼び方はご自由にどうぞ」
なるほど天使の方は咳払いで自分を取り戻すのか…
「あ、えっと…人間の柏葉りりあです…?」
とりあえず自己紹介されたらしかえすのが日本人である。
「知ってる」 「知っています」
「ですよねー…」
同時に言われてしまった。まあ最初に名前で呼ばれたもんね…。
こんな感じで私の日常は徐々に崩れていったのだった…。
観察データー2
妄想上の天使はどす黒であった。(悪魔は不明)