09 花より団子
とある日のお昼前、仕事が一段落したとき、同僚のサメ子(仮)女史が、なにやら嬉しそうに話しかけてきた。
「すごいいい匂いがしますね」
「へ? どこから? 何の?」
筆者には特にいい匂いなど感じられなかったのだが、しかし彼女はすっと筆者を指差し、驚くべき台詞を口にした。
「布瑠部さんから」
「おれから!?」
筆者は何故かうろたえ、その直後にようやくあることに思い当たり、それでやっと安心したのであった。
「……ああ、柔軟剤の匂いか! あーびっくりした」
さて。
筆者が何故がびっくりしたのか、風雅なる諸兄には少し難しいかも知れないが、サブタイトルからぜひお察いただきたい。
そう、筆者がいい匂いと言われて思い浮かぶのは、それはもう確実に食物の旨そうな匂いなのである。食いもんのえー匂い、なのである。
なのであるからして、匂いの元が筆者だと言われたその刹那、我が脳裏をよぎったのは、
「まさかこやつ、おれが密かに隠し持っているチョコレートの匂いを敏感に嗅ぎとったのか? サメかお前は!」
なのであった。
サメ子よ、スマン。
漢・布瑠部、今日も絶好調である。
(追記)
ちなみに、我が家で愛用している
「食器用洗剤キュキュット・ピンクグレープフルーツの香り」
を、筆者はいつまでたっても
「食器用洗剤キュキュット・ピンクグレープフルーツ味」
と言ってしまうんだぜ。
なんか思わずジンとかに入れたくなるんだぜ!
よし、それ絶対やってみ――るのは覚悟がいるなあ……。