05 イマドキのコドモ
デパートの催事場を巡る宣伝販売をしていた頃のこと。
大阪のとあるデパートの休憩所で一服していたら、小学4年生くらいの男の子集団が5~6人、慌ただしく駆け込んできた。
どうやらケンカをしているらしい。
一対多、というのがちょいと気に入らないが、事情もわからないのでリンチになったら止めようと静観していると──
追手側の親分格の男の子が、逃げる男の子を捕まえると、襟首を締め上げながらダンッと壁に叩きつけた。
それから接吻せんばかりに顔を近付け、
「おうコラ、なめとったらあかんぞ、ああ?」
と言った。
ドスのきかせ方といい、たまに軽くボディブローを入れたりするところといい、かなり堂に入ったヤカラっぷりである。
推定小学4年生なのに。
おいおいマジか。最近のガキぁ恐ェなあ。止めた方がえーんやろかコレ? 世も末やなあ……。
などと思っているうちに、親分格の男の子が「ボケがっ」と言いつつ捕まえていた男の子を乱暴に突き放した。
そのまま子分どもを引き連れて立ち去ろうとする……が、二~三歩ほど行った辺りで振り返り、
「ええかワレ、二度と俺にそのツラ見せんなよ。もし今度見かけたら……」
とここで一瞬タメる。
見事な演出に、何故か筆者まで身を固くして最後の台詞を待つ。
──果たしてその親分格の男の子は、ドスをきかせまくってこう言った。
「絶対泣かすからな」
ああ。
日本はまだ大丈夫だ。
そう思った。