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37 長年の疑問

今回は漫画「北斗の拳」のネタを含みます。

 ネットの掲示板か何かで、次のような記述を見かけた。


「どうしてくつ下は片方ずつなくなるのかと思っていたが、よく考えてみたら両方いっぺんになくなったときは、それに気付いていないだけなのではなかろうか」


 おおう、なんてこったい。そこに気付くとは、あんた天才だな!

 言われてみればそうである。


 例えばあなたの部屋に誰か侵入者があったとして、その痕跡があればそうだと分かるが、完全になければ気付きもしないのだ。

 犬に仏性はあるが、あることを知らなければないのと一緒だ、というのと同じである(だんだん話がズレてきた)。


 というわけで、今回は意識の盲点というか逆転の発想のお話である。



 先日、我が妻がこんなことを言った。

「左の盲腸が痛い」

 妻は以前、虫垂炎を患って薬で散らした経験があるので、よもや再発したのかと思ったが、彼女は続いてこうも言った。


「左に盲腸はないけど」


 ……言われてみればそうでした。

 おのれ、このわしともあろう者が、痛いという言葉に引きずられて本質を見失うとは。

 悔しかったので、筆者は「サウザーかお前は」と返した。


「サウザーって何?」と妻。


 聖帝サウザー。

「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」

 との名言を持つ、「北斗の拳」の名キャラクターである。


 身体的特徴として、心臓と秘孔の位置が逆にあるという設定であり、筆者はこれをして妻に「サウザーか」と言ったのだ。


 このような説明をしたあと、筆者は、でも、と続けた。

「秘孔が左右逆にあるっつっても、正中線上にある秘孔は効くんとちゃうのっていうツッコミはあるんやけどな」


 すると妻は、こう返した。

「前後も逆なんじゃないの」


 ――なんだと!?

 そうか、そうだったのか。盲点だった。納得だ。

「じゃあ天地も逆で、脳天にある秘孔は足の裏にあるのかも知れんな」

「それか肛門な」


 ――なん……だと!?(二回目)

 言われてみれば、そちらの方が適切だ。

 なんてこった、お前、天才か!

 こんなところにも天才がいたとは。


 いや、あるいは自分は人の意表をつくのが好きだと思っていたが、まだまだ発想が硬いだけなのかも知れぬ。


 我が身の未熟を思い知った一幕であった。


 ただ、まあ、そんなトコを思い切り突いたら、秘孔のあるなしに関係なくめっちゃ効くんじゃないの、とは思うんですがね。

ケンシロウにカンチョーされて身悶えしつつ、それでも

「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」

と雄々しく立ち上がる聖帝サウザー。


哀しい男よ

だれよりも深く入ったがゆえに。

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