33 セクハラな問題
突然ですが、問題です。
「ちんちん電車から電車を取ったら、何が残る?」
正解はCMのあとで!
( CM )
──きっと、来てくれると信じてた。
燃え盛る炎、渦巻く煙。緩やかに崩壊を始めたビルの最上階。
秋穂は絶体絶命の危機に陥っていた。
──だって修一は、私の……。
しかし秋穂の瞳に絶望の色はない。
それは、立ちこめる粉塵の奥から、ずっと待っていた懐かしい声が近づいてきているから。
──私だけの、ヒーローだもの。
降り注ぐ瓦礫の中を駆けてくる影に向かい、秋穂はあらん限りの声で彼の名を呼んだ。
「シュウイチーーーーッ!」
修一も叫ぶ。
「ラーーーーン!」
「ら、蘭て誰や!」
えらいところで浮気がバレた!
鬼の狩り場と化した災害現場に、なんかカッパが取り残されとる!
〈女湯へ動力降下〉から十年、衝撃の続編が今ここに!
進化とは何かを問うSF超大作〈洗濯板へ硬着陸、近日公開!
……はい、嘘CMが終わったところで正解を。
「ちんちん電車」から「電車」を取れば、残るのはもちろん──
そう、「線路」。
間違えたアナタ、一体なんだと思ったのかね、んん?
さて。
あるとき自宅での宴会中に、キッチンで洗い物だかつまみの用意だかをしていたら、こんな感じの引っかけ問題が子供の頃に流行ったなあと、脈絡なく思い出した。
そうすると出題してみたくなるわけで。
筆者はちょうど通りかかった女友達に、さっそく出題してみた。
喰らえ大人のふんわり仄かな、理由なきセクハラ攻撃!
「制限時間は五秒、はいどうぞ!」
邪悪な笑みを浮かべる筆者に、彼女は「あんたの魂胆は分かってるわよ」とばかりに不敵に笑い、元気に答えた。
「ち○ち○!」
「違うわっ! あからさまに引っかけ問題やろ。さっきのいかにも分かってるって顔はなんやったんや」
思わず素で突っ込んだ筆者に、そいつは優しげに微笑んだ。
「分かってるって。言わしたかってんやろ」
「は?」
瞬間、筆者の思考が白く染まった。
……しまった、コイツおれより高位者だ。
コイツはカモではない、狼だ!
狙う相手を間違えた!
「待て待て、誰がそんな小学三年生レベルの下ネタで喜ぶか!」
「ああ、もっと恥じらいながら言えば良かった?」
「いやそういう事ではなく」
「じゃあどういう風に言うて欲しいん」
「だから違うと。その〈言うてあげる〉から離れろ。セクハラかお前は!」
「先に仕掛けといてなに言うてんの」
そうでした。
おのれ、なんてヤツだ。
軽いジャブに渾身のカウンターで返すか普通?
というわけで、今回の教訓。
「don’t shoot it at people, unless you get to be a better shot. 」(撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ)
──フィリップ・マーロウ
※ 大人のふんわり仄かな、理由なきコラボ
今回の嘘CMの前作である
「女湯へ動力降下」
(10 「冷蔵庫にゾウが入っていたら、びっくりする」より)と、
「聖羅 無雲」
(07 「黒歴史ご開帳」より)が、
マグロアッパーさんの青春劇
「僕たちは、笑いながら失い、泣きながら得る」
http://ncode.syosetu.com/n9622cc/
の最新話「二章 新たな友達、新たな仲間」より、
動力降下(下)
http://ncode.syosetu.com/n9622cc/18/
に、作中作として、ほぼ原文のまま登場しています。
こんなアホなネタでも違和感なく許容する名作です。こちらも是非どうぞ!




