31 「お前の常識が世間の常識ではない」
妻と話しているとき、ふと「クラリネットを壊しちゃった」という童謡? が話題になった。
♪僕の大好きなクラリネット パパからもらったクラリネット~
というやつである。
「ドからシまで全部音が出ないとか、完全に破壊してるよな」
そう言う筆者に、「違うよ」と妻。
「あれは壊したんじゃなくて、大事にしまってたから練習してなくて、音が出せなくなった(※リコーダーなどとは違い、ただ息を吹き込むだけで音が出る楽器ではない)のを壊れたと勘違いししてる歌やで。だからちゃんと練習しましょうっていう」
なぬ?
「え? 嘘、そーやったん?」
「知らんかったん?」
「知らんわ。なんでそんなん知ってんの。学校で教えられた?」
妻は学生の頃、クラシックをやっていたので、そこで教わったのかと思ったのだ。
「子供の頃から知ってたけど。みんな知ってるやろ」
「えー? 普通は知らんて」
「えー、知ってるって」
我々はお互いに対して思った。
「お前の常識が世間の常識ではない」
というわけで、ちょいとネットで調べてみた。
すると「実は〈クラリネットをこわしちゃった〉はこんな意味だった!」という記事がちらほら。
やはり誰もが知っているというわけではないらしい。
(もちろん記事主と筆者が特別に無知だったという可能性は残る)
さらに調べてみて分かったのだが、原曲のフランス民謡「J'ai perdu le do de ma clarinette」では、そもそもクラリネットを壊してなどおらず、「上手く音が出せない」という子供に対して父親がアドバイスをする、という内容だった。
そしてこの父親のアドバイスパートが、日本語バージョンではメロディごとカットされているのだ。
具体的には 日本語版の「どうしよう どうしよう」と、サビの「オーパキャラマド~」の間に父親のアドバイスが入るのだ。
ちなみに「オーパキャラマド」というのはフランス語で、意訳すると「一歩一歩進め、友よ」というような意味で、この曲を日本に持ち込んだ人が「語感が面白いからそのまま使った」ものらしい。
次々と浮かび上がる意外な事実!
さらに調べていくと、現在、日本ではこの曲は歌唱禁止にされているらしい。
理由は原曲の研究が進むにつれてR18な背景(解釈)が浮かび上がってきたからなのだが……。
ちょっと下世話な内容なのでここでは書かないが、少なくとも日本語版には関係ないことなのに、こんな名曲を棄ててしまうとは勿体ないことをするなあと思う。
最後に。
国立芸術大学の某教授によると、有名な「オーパキャラマド」のフレーズは、
「おっぱい、毛、マラ、おっぱい、毛、マラ、おっぱい、
おっぱい、おっぱい、おっぱい」
と聞こえるらしい。
……ちょっと待て。
筆者は我が妻よりも先に、この教授に言いたい。
「お前の──」




