始まり
。シトシトと雨が降るなか、その日も僕は銃を構えていた。
僕の町は隣町と戦争をしている。
理由なんて学生の僕にはどうでもいいことだった。
ただ銃をもち隣町の兵士たちを射つ、それだけだった。
高校三年生の僕は普通だったら6月のいまごろは就職や進路にむけて頑張っているはずだった。
だが今の僕には進路なんてどうでもよかった。
この町に住んでいるだけで他の町とは全く事情が違うのだ。
女、子供はいない、みんな他の町に疎開してしまっていた。
この町と隣町は他の世界からは隔離された別の世界のようだった…いや、別の世界とよんだほうがいいだろう。
僕たちの町の戦場には中隊が10こ小隊が7こあった。中隊には兵士が30人小隊には7人いた。 僕は第5中隊に所属する二等兵だった、この戦争では中隊の指揮官は少佐、小隊は軍曹だった。この戦争では小隊が普通で言う分隊だった。 使っている銃はM16と拳銃だった。約半年みっちり銃の使い方や戦場での過ごしかたをたたきこまれたから銃の腕はそれなりにあった。隊のことは詳しくは知らないが小隊は特殊な任務を担当しているらしい。僕たち第5中隊はひたすら南下し敵の基地やらを破壊していた。今日も約5km先の敵の基地へと向かっていた。基地と言ってもビルや会社を基地として使っているだけだった。今回の敵の基地は大型の三階建てのスーパーだった。 敵の数は約30、中隊と同じくらいの数らしい。僕たちはひたすらアスファルトの道路を歩いていた。そして敵の町の境界線をこえた。敵の基地まではコンクリートの道路一本でいけたがさすがにそれでは敵の格好のまとになってしまうので脇の林をそっと歩いた。
「ったくいつになったらこの雨やむんだよ」と戦友のトシが隣で愚痴をこぼしてした
「しょうがないさ、今は梅雨なんだし雨だってふるさ」と僕が言った、
「でももう三日くらいふりつづいてるぜ、」
「そんなこと言われたって僕にはどうすることもできないよ」と僕たちが話していると前にいた先輩の二等兵が
「無駄な口をたたくな!」と一喝した。そのときだった林の何処からかいきなり銃声が響いた。僕たちは直ぐに身をかがめて辺りを見回し銃をかまえた。隊のみんなが回りを見回しても何処から射ってきたのかわからなかった。だが弾は確かに僕たち中隊に向けて発泡されたものだった。
「うわぁー!」誰かの声が響いた、僕たちがそろって声の方向に顔をむけると先頭にたっていた兵士が一人血だらけで倒れていた。
「おい!誰か撃たれたぜ!」と焦りながらトシが言った、
「わかったてる!けど敵の姿が見えないんじゃどうにもならない…」と僕言った次の瞬間また別の方向から銃声が響いた。しかも一発ではなかった。背後にいた兵士たちが次々倒れた、僕たちた後方の見えない敵に向かって銃をうちつづけていた。




