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フェイズ・ジョーカー  作者: ナイトレイド
つきのうさぎと魔法使い。
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四月二十八日

第二話続けて投稿

四月二十八日 草薙屋敷 PM17:30


 相馬ナイトが彼女、エイレーネと知り合ったのは八ヶ月ほど前。


 中学三年最後の夏休み、受験の為に塾の夏期講習の帰り道に人が通らないお化けビルの中を突っ切ってしまおうとしたのが全ての始まり。


 最強の魔術師を決めるバトルロイヤル。


 たった一人になるまで徹底的に戦う。どんな手段を用いても構わない。勝利こそが全てという戦争のような戦い。


 その名を夜闇決闘ナイトデュエル


 戦いに巻き込まれた相馬は参加者の一人であるエイレーネと一緒に戦いに参加することになった。


 参加といっても一人の魔術師に目をつけられてしまった為に身を守る手段として彼女と一緒に行動していた。


 その戦いの中で相馬は魔法使いとして覚醒して全てが変わった。



 半年後。色々なことがあって夜闇決闘は終わりを告げて相馬ナイトは普通の学校生活の中に戻った。


「どうして約束の時間に遅れたのか説明願いますか?相馬ナイト」


「だから約束なんてした覚えはないっていってますよね。メイドさん」


 戻ったはずだった。


 襲撃された場所から移動をして相馬を含めた全員はエレネの住んでいる屋敷に来ていた。


 外国人が屋敷といったら洋式の豪邸を想像するかもしれないが彼女が住んでいるところは武家屋敷のような日本昔ながらの造り。


 木造の門を閉めた途端、険しい顔をしていた安部が表情を緩める。


 聞いた話によるとこの屋敷は特殊な結界が展開されているために探知されることが難しい上に敵意あるものには迎撃機能がある。


「では、お茶とお菓子の準備をしてまいります」


 そういってメイドさんは相馬達をお座敷に送り届けると襖を閉めて去っていく。


「さて、安倍さん」


「は、はい!」


「ナイトさんになにをやらせようとしたんですか?」


「「・・・・・」」


 やばい、一難さってまた一難だと二人は同時に気づいた。


 エレネはにこにこと笑顔を浮かべているが背後に日本でいうなら鬼か修羅が立っている。


 相馬は安倍のわき腹を突いて話すように促す。こういう時の彼女は全てを話したほうがいいと理解している。


「えっと・・・・ただドライブに」


「本当なんですね?私はウソをつく人は大嫌い」


 精一杯の悪あがきをしようとウソをつこうとする。


「――すいません、ウソでした!」


――――変わり身はや!?


 ウソをついて誤魔化そうとしていた安倍は彼女に向かって土下座する。その時間、0.1秒にも満たない。


 呆れている相馬の横で安倍は話し始める。


「実は・・・相馬ナイトに護衛をやってもらおうと思いまして」


「護衛?」


「誰の護衛だよ」


 二人の質問にちらり、と壁に設置されている時計を確認してから安倍は口を開く。


「エレネさん、テレビをつけても構いませんか?」


「えぇ」


 置かれているリモコンを手にとって安倍はテレビをつけてチャンネルをかえながらやがて目的のチャンネルを見つけたのか動きを止める。


 相馬とエイレーネがテレビを見ているとキャスターのお姉さんが次の話題をだして画面に「有名歌手日本に来る」という文字が表示されたと思うと綺麗な女の人が映っていた。


「誰だこの人」


「おや相馬ナイト、貴方はユーリン・ノーランの事を知らないのですか?」


「・・・・いきなり現れないでくれませんか メイドさん」


 心臓に悪いからと近くに現れたメイドにいうが彼女はそ知らぬ顔をしてエイレーネの斜め後ろに座る。


「その様子では知らないようですね。私が説明しましょう。ユーリン・ノーランとはウィーンを中心に活動しているソロ歌手です。

 最初は小さい劇場などで活動していたのですが有名音楽家にその才能を認められ世界で活躍するようになりました」


 へぇーと声を漏らした。周りを見るとそういう顔をしているのは自分だけのようだから有名人というのに間違いないのだろう。


「本当に知らないのですね。ユーリンの歌は天使の歌声に匹敵するといわれているのに・・しかし、彼女の歌声がまさか極東の地できけることになるとは夢にも思いませんでした。お嬢様すぐにチケットを予約しましょう」


 そういってこちらを見てきたのは無知めとあざ笑っているのだろう。


 勘違いしないでもらいたいテレビくらい見ている!相馬が憤慨しているとエイレーネがおそるおそる口を開いた。


「そろそろ・・本題に戻ってよろしいでしょうか?」


「えぇ、申し訳ありません」


「いえいえいえいえいえ!エレネさんは気にしないで下さい」


「早く続き話せよ」


 遜っている安倍に続きを促すとぎろりと睨まれる。


 見た目ヤンキーににらまれるが性格を知っているためおそろしさは微塵も感じない。


「お前はうるせぇよ!っと・・俺まで話をそらすところだった。学会に所属している一人からユーリン・ノーランを狙っている魔術師情報が届いてな。俺のほかにもう一人だせって言われて魔法使いを呼ぶことにしたんだ」


「・・・本当か?」


 相馬は安倍の言葉を信じられなかった。


 安倍彦馬という男は優秀な陰陽師だが守銭奴と学会嫌いと公言して憚らない。


 そんなヤツが学会からの命令で大人しく従うなんておかしい。何か裏があるんじゃないか?と相馬は疑いの目を向ける。


 言われると思っていたのか安倍は珍しく真顔で返す。


「今回は裏はなしだ。魔法使い」


「信じて良いんだな?」


「あぁ」


 真顔で喋る赤髪陰陽師になんともいえない表情で見る。


 はっきりいうと安倍は信頼できない。相馬はの何度も酷い目にあっているために安倍彦馬に関しては信頼も信用もない。


「あの、狙っている魔術師というのはわかっているのですか?」


「学会は素性とかは判明していないが二つ名だけはわかったらしい」


「二つ名って・・・なんだったか」


 首をかしげている相馬にメイドさんが呆れた表情を向ける。


「また忘れたのですか。魔術師は基本的に裏家業で生計を立てるものがほとんどです。その中で上位に君臨する者達は畏怖の意味をこめて二つ名をつけます」


「あぁー」


「爆散魔」


「あ?」


 ぽつりと安倍がいった言葉を聞き逃して首をかしげる。なんといった?


「ユーリン・ノーランを狙っているという魔術師の二つ名だ」


「もしそれが本当だとするととんでもない事態ですね」


「え、どゆこと?」


 顔をしかめている三人の中で唯一ついていけていない相馬は戸惑う。


 本当に彼がなにもわかっていないということに安倍が舌打ちをして。


「いいか、爆散魔っていう魔術師はな。性別年齢全てが不明といわれている。一説では711にも関わっていたかもしれない炎系統の使い手といわれている。

 怪盗みたいに爆破予告をだして警備が厳重になっているところを潜り抜けて目的物を必ず爆破する」


「爆弾魔みたいなものか?」


 尋ねると首を横に振られる。


「それより性質が悪いです。爆弾魔の爆弾は早期発見されれば専門家によって解体することができます。ですが爆散魔の爆弾はどうやっても解体することができません。話によると術式がとても複雑すぎて並の術師では解除できないそうです」


「それほどまでに強力な力を宿しているという事だ。そいつに対抗する為には魔術師よりも世界に十二人しかいない魔法使いの力・・つまりてめぇだ相馬ナイト」


 顔を上げて真っ直ぐに安倍は彼の顔を見る。


「恥を承知で頼む。俺と一緒にユーリン・ノーランの護衛を手伝ってくれ」


 この日から相馬ナイトと安倍彦馬は海外からやってくるアイドルをゴールデンウィークの期間、護衛することになった。


 しかし、彼らは予想してなかった。


 ゴールデンウィークでとんでもない事件に巻き込まれてしまうことになるとは。





今回、短いですけど次からは話が長かったり短かったり?

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