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12.オッサンの言う事には

GSPの画面の中では、某マ○オ似のヒゲオヤジが満面の笑顔でちゃっかり自分の分の椅子を持って来て、俺たちと同じテーブルについている。



「実はな。ここ最近、市場で牛肉や乳製品がどんどん品薄になって来てるんだよ。

飲食店組合の連中と「これは一体どういうこったろう?」って首を傾げていたんだが、どうもフェルデンティアから全くものが入って来なくなってきてるらしい。

かと言って、フェルデンティアからの他の荷は入って来ているから、パルノイエまでの街道の行き来には問題ないって事になる。」



「えーっと。フェルデンティアって、なんか聞き覚えがある…あ!初期のスタート地点の1箇所か!

確か農業とか紡績とか生産業が盛んなところ…ですよね?」



ミーアちゃんがコケティッシュに小首を傾げつつヒゲオヤジに確認する。

…可愛らしい。実に可愛らしい。…とは思う。 だが断っておくが、俺はロリには興味が無い。

べっ別に、彼女がいない負け惜しみなんかじゃないんだからねっ!



「スタート地点がどうとかってのは俺にはよくわからんが、そのフェルディンティアで合っとるよ。

あそこは、酪農も盛んなのさ。世界中に穀類や乳製品とかいろいろな食糧を売っとる商業国家だな。」


「…へぇ」


「ここパルノイエの牛肉や乳製品も8割がフェルディンティアから入って来とるもんだ。それがパッタリ入って来ないってんじゃあ、俺たち商売人は上がったりだ。

だから、飲食店組合の方からあっちの酪農ギルドに問い合わせの手紙を出したんだが…」



オヤジの話によると、あっちの酪農ギルドでもさっぱり原因がわからないのだと言う。

フェルディンティアの一地方都市、フォンヴェイユに酪農ギルドはあり、酪農家たちは今の季節、フォンヴェイユ郊外にあるそれぞれの牧場で放牧を行っているのだそうだ。

しかし、ギルドからそれらの酪農家に連絡を取る事が出来ず、仕方なしに直接ギルド関係者が何人か現地へ足を運んだのだが、結局誰1人としてそのまま戻って来なかったのだそうだ。

…おそらく何かが起こっているのは間違いない。

事態を重く見た酪農ギルドは、斡旋所を通してフェルディンティアの冒険者たちに調査の依頼を出した。

しかし、その者たちですら誰も帰って来なかったのだと言う。

そこで困った酪農ギルドは、事情を知るパルノイエの関係者達にも、見どころのありそうな熟練冒険者を見掛けたら是非声を掛けてもらいたい。と言って来たのだと。



「しかしなー。俺もこうやって店でそこそこ腕っ節の強そうな冒険者を見掛けちゃー声を掛けるようにはしてるんだが、未だにパルノイエには牛肉も乳製品も入って来る気配が無い。

ひょっとして、あいつらもフォンヴァイユの牧場で姿を消してしまったんだろうか?」



長船が神妙な顔で首を傾げる。


「…それは妙な話だな。酪農ギルドの関係者はともかくとして、フェルディンティアやパルノイエで依頼を受けた冒険者ってのは、プレイヤーの事だろう?

これが何らかのクエだとしても、全員が消えたままっていうのはおかしい。

失敗したんなら失敗したで報告が上がってくる筈だしな。…一体どういう事だ?」



「そこでだ。お前さんらをベテランの冒険者と見込んでここはひとつ頼みたい!

フェルディンティアへ行って、原因を調べて来ちゃーくれないか?」



…っておい。オッサン!

今さんざん冒険者が行方不明になってるって言った後で、満面の笑顔でそんな事言うなや!



「そう言われてもねぇ。パルノイエからフェルディンティアって結構遠いしねぇ。

多分日本とモンゴルくらいの距離はあるよね…時空魔法で飛べればいいんだけど、私フェルディンティアの座標はメモしてないからなー。そのお隣のライヒェンベルク公国の座標ならあるんだけど…。」



どうやらユキノさんは時空魔法持ちだったらしい。…座標持ってないなら意味ねえけど。



「へぇ。ライヒェンベルクってどんな国なの?」


「うーん。今はどう変わってるのかわからないけど、わたしがプレイしてた頃のライヒェンベルクはリゾート国だったわよ。

綺麗な海があって泳げて、スパがあって…オスタードの名産地だから、レースとかもやってたね。」


「おもしろそう!ちょっと行ってみたいかも!」



目を輝かせるミーアちゃんを見て、うんうんと頷きながら長船が答えた。



「なら、ライヒェンベルク経由でフェルディンティアを目指すっていうのもありだな。

この依頼受ける事にしよう。」



っておい! おまっ 何勝手に決めとんねん。

 《カタナ》を作れる伝説の刀鍛冶の話は一体どうなったんや?



ていうか、お前 …本当はミーアちゃんの水着姿が見たいだけやろ!と。

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