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10.ロリコンは病気です

「あぁ、それは「時空の砂時計」のせいよ。」


VRバイザー付きのカムバックキャンペーンの応募条件には、該当する2キャラの両方に「時空の砂時計」というアイテムを適用していること。とあった。

実はそれがどういうアイテムなのか自分達のキャラに実際に適用されてるのかどうかも知らないままにキャンペーンに応募してしまったのだけれど、当選したという事はつまりそういう事なのだろう。



「時空の砂時計っていうのは、見た目を変化させるキャンディと違ってキャラの時そのものを止めてしまうアイテムなの」



母の説明にヴォイドさんがボソリと呟く。


「…それなんてチート…」


「ま、滅多に持ってるヤツはいないようなレアアイテムって事だけは確かだろうな」


「にしても、よくミーアが本物の未成年だってわかったわね?」


「あぁ。…野生の勘ってやつ? ところで、ミーアちゃん」

「えっ?はっはい!」


「βテスト終わって、正式オープンしたら俺と結婚しようゼ ぉぅっぐふっ」



言い終わるか終わらないうちに、母のボディアッパーが長船さんの鳩尾に綺麗に入った。



「「……」」



…にしても、なんでいきなり結婚っ!? 話の展開が突然すぎてサッパリついていけないよ!

長船さんってやっぱり変な人だ。





「はいっ!センセイー」


「……なんですか?ユキノくん」



ヴォイドさんが高々と手を挙げた母を指す。



「ロリコンは死刑にすべきだと思いますっ!」



  ◇◆◇



「あ。でも、よく考えてみたら時空の砂時計を適用してるって事はこのままだとミーアは永遠に未成年で成人出来ないって事になるわね。」


「……成人出来ないと何か問題があるんですか?」


ボソボソとヴォイドさんが聞く。何だろう?はっきり口を開けて話してるのに、ヴォイドさんの声って時々妙に聞き取りにくいんだよね。



「まず一番の問題はお酒が飲めない!」


「……あぁ。酒にはいろんな補正効果ありますしね。そういや、さっきからユキノさんも長船もガブガブ飲んでましたけど、そんな美味いんすか?」


「うん。ここのお酒はすっごく美味しいよー! てか、ヴォイドくん殆ど飲んで無かったね。下戸なの?」



リアルで下戸かどうかなんてのも、ゲーム内に影響してくるもんなんだろうか?



「…いや。そういう訳じゃないんすけど、俺、VRバイザー持ってないんで、味とかわかんないんですよ。」



あぁっ!ヴォイドさんって、GSPとイヤホンマイクを使って3Dモードで接続してる人だったんだ!

道理でなんかちょっと違和感あるなって思った。

あのオーバーなリアクションもエモーション機能を多用してたからなのね。



「なるほど。そういう事かー。本当のとこはお酒は好みの問題かも。別にお酒の補正が無くても大抵なんとかなると思うし。後は、未成年のままだと子供を得る事が出来ないから転生が出来ないわね。未成年だと当然結婚も出来ない訳だし。」



と言いながらも母は、まだ地面に這いつくばったままの長船さんを踵でグリグリと踏みつけている。




「どっちにしろβ期間中は転生出来ないみたいなんで、それはあんまり気にしなくていいんじゃないすかね?」


「そうね。後は未成年だと、オスタードやハウスなんかの高額商品の購入が出来ないわ。」


「…あぁ。それは確かに困りますね。」



?? よくわからない。



「オスタードって?」


「騎乗用の生物のことよ。この世界には馬がいないから、足の速い小型恐竜みたいなやつを使ってるの。この世界、旧MLOの頃から縮尺の設定とかきっちりしてるから、街と街との間とかかなり距離があるのよ。時空魔法無しに外国なんか行こうと思ったら、それこそ何ヶ月も旅をしなくちゃならなくなるわ。

だから目的地への移動にはオスタードが必須なの。」


「へぇ?じゃあハウスって言うのは?」


「その名の通り、自宅の事よ。住宅地に自分用の家を持つ事が出来るんだけど、アイテムを仕舞っておく為のチェストを置いたり、内装をカスタマイズして生産用の工房を組み込んだり、庭に花や農作物を植えたり、敷地内に池や川が含まれていれば釣りをしたりも出来るわよ?」



…それはちょっと魅力的かも。



「そう言えば我が家はどうなってんのかなー?後でちょっと様子を見に行ってみよっか。」


「あ…俺も行ってもいいですか?まだ全然金足りないんすけど、やっぱマイホームは憧れなんで。」



地面に突っ伏していた長船さんも、ムクリっと起き上がって乗って来る。



「はいはいはいっ!俺も俺もー!」



「「……」」




  ◇◆◇



そんな話をしていると、目の前にいきなりドカン!と大きなマグが4つ置かれた。



「俺の奢りだ。飲んでくれ! あ、嬢ちゃんの分はオレンジジュースな。」



振り返ると、さっきから何度もおかわりを持って来てくれていたオバさんではなく、某赤い服の配管工みたいな髭を生やした恰幅のいい親爺さんが相好を崩している。



「悪いがちょっくら話を聞かせてもらったよ。あんた達、熟練の冒険者さんなんだろう?ちぃとばっかし頼みがあるんだけど聞いてもらえないかねぇ?」





…おっ? ひょっとしてこれは何かクエストのフラグが立ちましたか?


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