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9.時のキャンディ

「144年後の世界…」


…と言われても、元の世界を知ってる訳でも無いので、あたしには別に何の感情も湧いて来ない。



「ふーん。そう言われても旧MLO時代のエピソード関連、内容まったく覚えてないしなぁ。なんか色々クエもあったって記憶はあるけど、あの頃はみんな基本的に好き勝手にダンジョンに篭ってたり、もくもくと生産やってたり仲間内でダベってたりして、さほど世界観とか気にしてなかった気がする。」



どうやら母の方もさほど気にしていないらしい。



「あ、でもこれだけリアルで自由度が高いと細かい設定とかシナリオが色々隠されてそうだよね。クエストをこなして行けば140年でどう変わったのか分かっておもしろいかも。その辺はおいおい見ていけばいっかな?」


「それもあるけど、さっき俺が驚いてたのはミーアちゃんが正真正銘の未成年だったからだよ。言っただろ?この世界はあれから140年以上経ってるんだって。 …当然キャラ達も歳をとってる。」


「あー、なるほど!そういう事ね。」



うぅ… 母と長船さんだけが分かってて、ヴォイドさんとあたしはすっかり置き去り状態ですよ!ちゃんと説明してくださーい。

ヴォイドさんの周りなんて、頭の上から落ちたクエスチョンマークが既にゴロゴロと地面に転がっちゃってるし。



―――すると突然「ボワン!」と大きな音がして、長船さんの姿が白い煙に包まれた。



  ◇◆◇



突然の出来事に呆気に取られていると、しばらくして煙はゆっくりと消えて行き、中から白髪頭のヨボヨボしたお爺さんが現れた。

長い髪を後ろで束ね、皮のエプロンを身に着けている。


「えっ!…ひょっとして、長…船…さん? えええっ!?」


えっえっ?何コレ?浦島太郎っ??



「あぁクソっ!時間切れだ。 つまりこういう事なんだよ。旧MLOからデータを引き継いでいるキャラは、みんな最低でも140歳以上だって事だ。 …わりぃ。ユキノさん、時のキャンディ持ってたらくれねーか?」


「…私が持ってる必要あると思う?」


「それもそうか。ちっ!しょうがねぇな。自分のヤツ使うか」



と長船さんは、まるで手品のように中空から取り出した小瓶の蓋を開け、手の平にころんっと一粒赤いキャンディを載せた。



「っておい!自分でちゃんと持ってんじゃないかーーー!!」


いつの間にやら手にしていたハリセンでスパコーン!と勢いよく母が長船さんの後ろ頭をどつく。


いいツッコミだ!とでも言うように、ヴォイドさんが親指を突き出しグッジョブポーズを取っている。


「ひでぇっ!お年寄りは労わろうぜ。」


そう言いながら、キャンディを口に放り込み長船さんは舐め始めた。



「あの…何ですか?それ」


「これか?これは「時のキャンディ」だ。この瓶の中に入っている赤いキャンディを舐めると、体がどんどん若返っていく。青いキャンディを舐めると逆にどんどん歳をとって行くんだ」



そう話している間にもどんどん長船さんの姿は若返って行く。



「自分が望む姿まで若返ったら、こうやって(ゴクリと飴を飲み込んだのが分かった)飲み込むんだ。効果は現実時間で1日。ログインしていようがいまいが時間がくれば元の姿に戻るようになってる。」


「へぇ。そんなん食ってたんか。ちょっと1個くれ!」



物珍しそうにヴォイドさんが伸ばした手をぺシっと叩くと、長船さんは言い切った。



「やらねーよ!いや。でも自分の孫にならやってもいいかな。

今では、私がおじいちゃん。なぜなら、彼もまた、特別な存在だからです。」


…何故にヴェ○ルターズオリジナル…というか、ネタが古いです。長船さんの中の人の年齢が忍ばれます!



「これは時空魔法と調剤師のスキルがかなり高いヤツしか作れねぇんだ。新規ユーザーでこれが作れるヤツが育つのにはもうちょい時間が掛かる。カムバックユーザーに該当するスキル持ちがいるかどうかわかんねぇし、貴重品なんだよ。」


「ヤクが切れたらジジィ街道まっしぐらだもんねー」



おもしろそうに茶化す母を見て、ヴォイドさんが呟いた。



「…なんでユキノさんとミーアちゃんは歳をとってへんのや?」

あ~かいキャンディ♪

あ~おいキャンディ♪ しってるっかい?

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