とびっきりの問題児ども対ほねおじさん 5
「ようやく半分ってところか……?」
「ちょっと……苦しいかな……」
フジが汗を拭い、隣でファイヤーボールを撃ち続けるフクシアも肩で息をしている。流石のふたりにも疲労が見えていた。
怪我をした者はいるが幸いまだ死者は出ていない。
しかし新人冒険者たちまでも戦場に駆り出されている状況だ。全ての戦力を投入している。つまり、もうあとがないのだ。
「くそったれめ! お前たち、下がれ!」
大男が前線の冒険者たちを下がらせ、持っている火炎瓶を全てスケルトンの集団に向かって投げ込んだ。炎の壁が生まれ、スケルトンたちは歩みを止めた。彼らは素直に消えるのを待っている。
時間稼ぎにはなりそうだ。しかし数が減るわけではない。根本的解決にはならないだろう。
「みんな、今のうちに少しでも休憩しておけ! 体力を少しでも回復させるんだ!」
「それにしても数が多すぎるぜ……! 何体ぶっ潰せば終わるんだ!!」
「こいつらただのスケルトンじゃねえ! 明らかにその辺の奴らより強い!」
「不死王直属の精鋭ってところかい!? やっかいな連中だねぇ!」
「誰か! 回復魔法使える奴いないか!?」
あちこちから冒険者たちの弱音や悲鳴が聞こえる。この状況では、いつまでも高い士気を保ち続けることは難しいだろう。絶望は焦りを生み、希望を奪う。
「やれやれ……ファイヤーストーム!!」
フジが前髪をかき上げ、ファイヤーストームを何度も唱えた。スケルトンたちは次々と灰になっていく。
冒険者たちの瞳に僅かだが、希望の光が灯る。絶望感漂う空気が薄れつつあった。
「もう少しだけ俺が楽させてやるよ。あんたたち疲れてるんだろ?」
「だがそれはフジも同じ……」
「俺はまだ『本気』を出してないぜ? いいから休んでなよ」
フジの言う『本気』とは黒魔法のことだ。当然人前で使う気はない。そういう意味では『本気』を出すことはないだろう。
しかし冒険者たちは、フジがまだまだ余力を残していると思っている。助っ人の見せる余裕の態度に、希望を見いだしていた。
「あんただけに良い格好させるかよ!」
「援護は任せな!」
冒険者たちに再び熱い闘志が燃え上がった。火炎瓶により発生した炎の壁が無くなり次第、スケルトンに攻撃を仕掛けることだろう。
フクシアが肘でフジをつつき、ニヤニヤと笑う。
「言い方次第……かな?」
「ククッ、嘘はついてないからな」
フジもフクシアに視線を移し、ニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「冒険者ギルドには優秀な奴が多い。敵の数はまだ多いが……まー、なんとかなるだろ」
「素直に応援できないのかな?」
「できんな」
「もうっ……じゃあ、そろそろ行きますか?」
「気は進まんが……行くかっ!」
ふたりの赤い魔法使いは、スケルトンに向かって駆け出した。




