覚醒!!最強パワーの問題児 26
「で……できたわ……はぁ……はぁ……」
マーガレットは言葉を絞り出し、膝をついた。肩で息をしている。閃光を放つ魔法はかなりのエネルギーを消費するようだ。
アセビが心配し、マーガレットの肩を掴む。
「おい、マーガレット!? 大丈夫か!?」
「えぇ……なんとかね……えへへ」
マーガレットが笑みを浮かべた。エネルギーを消耗したが、笑う余裕はあるらしい。アセビはほっと胸を撫で下ろした。彼はマーガレットの肩を揉みながら、嬉しそうに口を開く。
「お疲れさん! お前ならここぞというときに強力な魔法を使えるって信じてたぜ! ありがとうな! ところでさっきの魔法はいったい……?」
マーガレットはアセビを見つめ、指を差した。
「聞きたいようね! マーガレットウルトラスーパーシャインアタックよ!」
マーガレットはドヤ顔で技名を宣言した。
しかしアセビが知りたいのは魔法の効果だ。技名ではない。アセビは手と首を横に振った。
「あの、すんません。オレ技名が聞きたいんじゃないんスよ。どんな効果の魔法なのかを聞きたいんスよ」
「相手を幸せに逝かせる魔法だけれど」
「悪魔かな」
「天使よ!」
屋上にアセビ一行の笑い声が響く。マーガレットの壊滅的なネーミングセンスはともかく、強敵コカトリスを倒すことができたのだ。全員そのことが嬉しいのだ。
アセビはひとしきり笑うと、マーガレットの背中から生えた翼を見つめた。
「それはそうと……マーガレット! お前の背中のそれは……なんなんだよ!」
ルピナスは瞳を輝かせながら、マーガレットの翼を見つめている。
「かっこいいよぅ!」
「いやまぁカッコいいけどさ! その翼はいったいどういうことなんだ!?」
アセビがマーガレットの背中から生えた、大きな白い翼を指差す。天使を思わせるそれは非常に美しいが、人間ではないことの証明でもある。
マーガレットが、首を鳴らして肩を回す。翼はゆっくりと小さくなっていく。しばらくすると、何ごともなかったかのようにマーガレットの背中に収まった。
「翼が背中に戻っちゃったね。かっこよかったのに」
「やはり自由に収納できるのか……」
マーガレットの背中を撫で回すアセビ。彼女はさっと離れると両手で胸を押さえた。
「いやん! アセビのエッチ!」
「いやんじゃありません! それにしても……マーガレット、お前はいったい……?」
「マーガレット? あの翼はなんなの?」
「マーガレット、私たちにお前のことを詳しく教えてほしい」
仲間たちに矢継早に質問を浴び、構ってちゃんのマーガレットは大喜びである。満面の笑みを浮かべている。
マーガレットは両手でアセビの背中を押した。
「えっと……とりあえず! 帰りましょ!」
「わかった。でもあとからちゃんとお前のこと聞かせてもらうからな」
「えぇ。体重以外ならなんでも教えるわよ」
アセビたちは豪邸を出ることにした。それぞれマーガレットに聞きたいことはあるだろうが、今は仲間全員の体力を回復させることを優先すべきだ。体力とエネルギーを激しく消耗しているのだから。
ひとつの謎が生まれてしまったが、最強四天王のコカトリスを倒した。これで旅人や旅商人が襲われることはなくなり、クレマチスに平和が訪れることになったのである。
「あたし思ったのだけれど、コッコ倒したから特別報酬とかあるんじゃないかしら!」
「お前しっかりしてるなぁ」
「コカトリスのしっぽは薬屋さんに売れそうだね」
「じゃあまずは薬屋さんに行きましょ! その帰りに冒険者ギルドで宴会よ!」
キャッキャと喜ぶマーガレットを見て、アセビは苦笑いしながら肩をすくめた。
「やれやれ。さっきまで疲れ切った顔してたのにこいつもう元気になりやがった。スタミナお化けかよ」
「フフフッそれがマーガレットの良いところだ」
サツキがいつものように優しく微笑んでいる。彼女は戦闘で毒を注入されたが、歩ける程度には体力が回復していた。流石は一流の守護人である。
マーガレットはコカトリスの尾を振り回しながら、ゲラゲラと元気よく笑っていた。いつものように自由気ままに楽しそうにしている。
コカトリスとの戦いは終わった。誰ひとり命を落とすこともなく。完璧な勝利である。
しかしサツキは完全に安心しきってはいなかった。なぜならまだ『敵』が残っているからだ。
「最強四天王との戦いは終わっていない……大将格がまだ残っている……」
残された敵は、たったひとり。最強四天王のリーダー、最強ちゃんだ。
サツキは謎の人物への警戒心を強めつつ、元気に笑うマーガレットの頭を優しく撫でるのだった。
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