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お庭に根付いた雑草どもは今日も元気に咲き誇る 〜ヒーラー、サモナー、ガーディアン、頼れる仲間は問題児〜  作者: 仔田貫再造


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覚醒!!最強パワーの問題児 22

 アセビ一行はしっかりと休憩を取り、隠し部屋を出て廊下へと進んだ。

 問題児どもの表情は明るい。アセビに思う存分癒やされた結果、妙に張り切ってさえ見える。全員でテンポよく調べていない部屋を確認し、罠に気をつけながら、マミーを灰にしていく。


「お疲れ。これでほぼ調べ終わったかな?」

「もうマミー見ても驚かなくなったわね。お友だちみたいな感じ? ほとんど灰にしたんじゃない?」

「お友だち灰にしたらダメでしょ」

「はい」

「何か言ったかルピナス」


 白い鳥は発見できなかったが、アセビは慌てること無く冷静に状況を判断する。まだ調査していない場所は屋上だけ。確実に敵はそこにいる。

 あとは全員で目標に向かって進むのみだ。


「まさかマーガレットの予想が当たるとはな。白い鳥はきっと屋上にいるはずだぜ。じゃあみんな! あとはどうすればいいか……わかってるよなぁ!!?」

「帰りましょっか!」

「賛成!」

「異議なし!」


 アセビは気合を入れる意味を込めて、女子たちに声をかけたが、まさか全員帰ろうとしているとは思っていなかった。白い鳥を倒すために来たのだが、目的を忘れているのかもしれない。

 アセビは思わずその場でずっこけてしまい、頭を強く打ってしまった。


「あら? アセビどうしたのかしら」

「なんか変な音がしたけど頭大丈夫かな」

「まー、アセビなら大丈夫であろう」


 マーガレットは、両手で金貨の詰まった袋を抱えている。

 ルピナスは小脇に大量の酒瓶を抱えていた。芋虫と触覚の背中にも大量に乗せられている。持ちだせるだけ持ち出すつもりなのだろう。

 欲のままに行動する問題児どもである。

 アセビは頭を抱えてしまった。


「お、お前たち……」

「アセビ、まだ若いんだからコロコロコロリンしたら駄目じゃない」

「コロコロコロリンどころか、アセビくんショックでゴロンゴロンバッタンっスよ」

「あらやだ」

「どうしたんだろう」

「うむ」


 アセビは頭部の痛みを堪え、よろよろと立ち上がって問題児どもを見回す。彼女たちは、やるべきことはやったと言わんばかりの表情だ。まだ本来の目的は、何もなしとげられていないのだが。どうやら白い鳥を倒すために来たことを本当に忘れてしまったらしい。


「フフフッ私が支えてやってもいいのだぞ?」


 サツキがアセビの肩を揉み始めた。先ほど甘えさせてもらった分、今度は支えたいと思っているのだろう。

 アセビは大きく咳払いをし、問題児どもに向かって犬のように吠える。


「お前たち! 忘れたわけじゃねえよなぁ!!?」

「ん?」

「う?」

「む?」

「ん? う? む? じゃねえよ! オレたちは白い鳥を倒すためにここに来たんだろ!?」


 問題児どもはしばらく口をぽかんと開け、それぞれの顔を見つめ合っていた。


「…………?」


 マーガレットは思い出したと言わんばかりに手のひらを叩いた。腕を組んで得意げに宣言する。


「はぁ? 忘れて? ないんですけど?」

「……本当にそうか?」

「ハピコ倒すため? ここに? 来たんですけど?」

「やっぱお前忘れてるじゃねえかよハーピーはこの間倒したじゃねえかよ白い鳥だよ白い鳥」

「……えへへ」

「えへへじゃねえよブン殴られてえのか」


 マーガレットは、いつものように都合の悪いことを笑ってごまかす。アセビは大きくため息をついた。

 一方ルピナスとサツキはしゅんとしている。ふたりは頭を下げて、素直に謝罪の言葉を口にした。


「ごめんね。気合い入れ直すね……」

「すまない……本来はお姉ちゃんがもっとしっかりしないといけないのだが……」


 マーガレットがルピナスとサツキを指差した。


「そうよ! あなたたち、もっとちゃんとしっかりしなさい!」

「マーガレット! お前は今日からジャムパン1週間禁止だ! わかったか!」

「ごめんなさぁぁぁい!!」


 マーガレットが涙を撒き散らしながら、アセビの足にしがみつく。彼は愚かな問題児のことは気にせず、屋上へと続く階段を鋭い目つきで見つめた。

 白い鳥がいると思うと、緊張感を覚える。それをごまかすように、アセビは無言のまま大股で歩き始めた。


「あたしたちも行きましょ」

「うん」


 女子たちもアセビに続くが、サツキが口を開く。


「アセビ、私が先頭になろう。白い鳥は奇襲を得意とするモンスターだ。何をしてくるかわからない」

「いや、だからこそオレが先頭だ。白い鳥のスピードに対応できるのはサツキしかいねえしな」

「……わかった。ただし私が危ないと感じた場合は」

「そのときはお願いしますわ」


 アセビ一行は用心しながら、階段を上がった。遠い回り道の長い旅も、ついに終わりの時がきたのだ。

 アセビは屋上へと続く扉をゆっくりと開けた。


「……よぉ、会いたかったぜ」


 アセビの視線に白い鳥がはっきりと映っていた。どこを探してもいなかった、憎いアイツが。

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