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お庭に根付いた雑草どもは今日も元気に咲き誇る 〜ヒーラー、サモナー、ガーディアン、頼れる仲間は問題児〜  作者: 仔田貫再造


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覚醒!!最強パワーの問題児 17

 無事戦闘が終わり、サツキは小さく微笑んだ。活躍した弟分を見て満足そうに頷いている。


「うむ、流石だ。私が援護するまでもなかったな」

「す、すごい……あっ! マーガレット、芋虫さんの手当をお願い! 血が出てるの!」

「オッケー、任せて!」


 ルピナスは傷ついた芋虫の背中を支え、マーガレットは急いでステッキを振った。


「ヒール!」


 マーガレットの癒やしの魔法の力により、芋虫の傷はあっという間に塞がった。痛みも引いたらしく、元気に飛び跳ねている。芋虫はマーガレットに向かって感謝の気持ちを込めて、頭を下げた。

 その隣ではサツキがほっとした顔で、ヤグルマソウを鞘に戻している。


「とにかく芋虫も無事で良かった。名誉の負傷だが、あまり無理をしないようにな」


 サツキの慈愛のこもった表情を見て、芋虫が頷く。無理はしないつもりだが、彼女にとってルピナスの命は何よりも優先しなければならないものである。契約したという理由以上に、かけがえのない存在なのだから。

 マーガレットはワンピースに付いたホコリを手で払いながら、アセビに問いかけた。


「助けに来てくれてありがと。あの壁、押しても体当たりしても動かなかったのよね。アセビさん、どうやってアレを動かしたの?」

「こっち側に壁を動かす仕掛けがあると思っていたんだけど、見当たらなかったよぅ! アセビたちのいた部屋にあったの?」


 アセビは肩をすくめた。


「んなもんどこにもなかったさ。だがオレとサツキと触覚はどうやってそっちに行けばいいか、すぐに答えを見つけ出すことができた」


 マーガレットとルピナスの疑問に、アセビはニヤリと笑った。

 サツキは気まずそうに頬をかき、触覚は楽しそうに体をゆらゆらと揺らしている。

 マーガレットとルピナスは、どんな仕掛けがあったのか、どうやってここまで来たのか、期待を込めてアセビの回答を待った。


「で? どうやってこっちに来たわけ?」

「決まってんだろ? 押してダメならぶっ壊すだ」

「う?」


 アセビがグータラソードの鞘を手のひらで叩いた。


「グータラソードで壁ごとぶっ壊した! ガハハ!」


 予想外の答えに、マーガレットとルピナスは目を丸くしている。彼女たちはスータラソードをじっと見つめながら、口を開いた。


「えぇ……グータラソードって壁も斬れるの……?」

「なんでもアリなんだなぁ……」

「どこかに仕掛けがあると思ったんだけどさ。お前たちが心配だったんだ。だから早く合流するために壁をぶっ壊したってわけ!」


 マーガレットとルピナスを見つめるアセビの目は、誰よりも何よりも優しかった。一見すると仲間思いの頼れるリーダーに見える。

 マーガレットは訝しむようにアセビを見つめ返す。


「……でも本当は?」

「途中から仕掛け探すの面倒になってよ。どうせ廃墟だし壊していいかって思ってさ。壁をグータラソードで斬っちゃった」


 アセビは素直に小声で自白すると、気まずそうに視線を逸した。

 サツキは吹き出さないように口を押さえている。


「面倒って……いやまぁ助けてもらったのは感謝しているのだけれど……」

「う、うん……オレも壊していいのかなとは一瞬思ったんだよね。思っただけなんだけど」


 マーガレットは複雑な思いだったが、アセビが壁を破壊しなかったら、巨大マミーによって命を奪われていた可能性が高い。破壊行為はファインプレーだろう。

 マーガレットは素直にアセビに向かって頭を下げた。


「でも……うん。ありがと」

「アセビもサツキも触覚ちゃんもありがとう」

「そ、それにしてもこの部屋は宝物庫っぽいな!」


 アセビは己の破壊行動をごまかすように大声を出しながら、部屋をぐるりと見回す。半分冗談で隠し部屋の先に宝物庫があるかもしれないと発言したが、現実となったのである。

 アセビはマーガレットに向かって微笑んだ。


「それにしてもマーガレット。助かったぜ」

「えっ……?」

「その腕。あのでかい包帯マンとの戦闘で怪我したんじゃないか?」


 突然アセビに褒められ、マーガレットは硬直する。彼は見逃さなかった。マーガレットが腕を押さえていることを。ルピナスを守るために負った傷に違いないと、確信しているのである。


「ヒ、ヒール!」


 マーガレットは急いでヒールを唱え、腕をブンブンと振り回して見せた。


「はい、完治! 包帯ぐるぐるおじさんとか? あたしが本気出せば? 楽勝だったんですけど?」

「マーガレット」

「あたし最強だから? どんな敵も? 余裕で一撃なんですけど?」

「ルピナスと芋虫を守ってくれてありがとうな」


 アセビの感謝の気持ちのこもった言葉。マーガレットは強がるのをやめた。仲間なのだから、本音で語っても良いのだ。

 マーガレットは顔をくしゃくしゃにして、目から大粒の涙を流すと、声の限り泣き叫んだ。


「アセビぃ! 怖かったぁぁ! 痛かったぁぁ! あたし……あたし!」

「うん。うん。よくがんばったな」

「うわぁぁぁん!!!」


 アセビが両手を広げると、マーガレットは勢いよく飛び込んだ。彼女の頭を撫でながら、その華奢な背中をそっと優しく抱きしめる。

 アセビの温もりが、マーガレットの傷ついた心を少しずつ癒やしていく。彼女は声の限り泣き叫び続ける。


「うわぁぁぁん!!!」

「よしよし」


 泣き叫ぶマーガレット。その光景を見て、ルピナスは先程の巨大マミーとの戦いを思い出す。


「マーガレット……ぼくと芋虫さんを守るために、すごく無理をして……腕まで犠牲にして……」

「マーガレットは、お前たちのこと本当に大切に想っているからな。本当に優しい子だよ」


 ルピナスとサツキは、アセビとマーガレットを優しく見守りつつ、部屋に罠がないか調べ始めた。今彼女たちが優先すべきことはそれだけだ。心身ともに傷ついたマーガレットの笑顔を取り戻せるのは、アセビしかいないのだから。


「うぅ……アセビ……おでこ痛いわ……ぐすっ……」

「よしよし、いい子いい子」


 アセビはマーガレットの額を優しく撫でる。彼女はロックを使っていたが、しっかりと頭部にダメージが残っていた。

 アセビに撫でられ、泣き叫ぶなくなったが、それでもまだマーガレットの目からは涙が流れ続けている。恐怖による精神的なダメージも残っているのだろう。

 

「そうだな……よいしょっと」


 アセビは腰を下ろしてあぐらをかいた。自身の膝をぴしゃりと叩く。


「ほら。ちょっとだけ頭ゴロンしな」

「あ、ありがとう……」


 マーガレットはアセビの膝に頭を乗せる。普段はなかなか見せてくれない優しさに、素直に甘えることにしたのだ。しかし恥ずかしいのだろう。頬を赤くしてもじもじとしている。


「それにしても男の子に膝枕してもらうなんて……」

「気にするな。今は男もやる時代なんだよ」


 アセビは再度マーガレットの額を優しく撫でる。彼女は痛みが和らぐのを感じていた。頭部を動かし、アセビを見上げる。その目は、優しさに満ちていた。


「ん? どうした?」


 互いの視線が交差する。マーガレットは照れくさそうに頬を赤くし、ようやく純粋な笑みを浮かべた。


「えへへ! アセビの膝枕……悪くないわね!」

「それはよかった」

「でもちょっとだけ硬いわねぇ。寝心地はまぁまぁって感じ?」

「鍛えてますから」


 アセビは元気を取り戻しつつあるマーガレットの瞳と頬をハンカチで拭いた。膝枕のおかげで、傷ついた心は癒えたらしい。つい先ほどまで大声で泣いていたとは思えないほど、マーガレットの表情は穏やかだ。

 アセビはうやうやしく頭を下げた。


「お姫様? もう膝枕いいかな? 言いにくいんだけどさ。ちょっと痺れてきたんだけど」

「もうちょっとだけ! もうちょっとだけ、このままでいさせて! そうすればきっと……!」

「しょうがねえなぁ」


 アセビは甘えるマーガレットを見て、しばらく膝枕を続けることにした。彼女は嬉しそうに、温もりを求めるように手を握る。


「アセビさんの手……大きくて……あったかいわね」

「そうかい? 気が済むまで握ってくれや」

「そのつもりよ! えへへ! もっとぎゅ〜ってしちゃうんだから!」

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