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お庭に根付いた雑草どもは今日も元気に咲き誇る 〜ヒーラー、サモナー、ガーディアン、頼れる仲間は問題児〜  作者: 仔田貫再造


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覚醒!!最強パワーの問題児 15

 アセビ一行は廊下に並んだ扉を見つめていた。まだ調べていない部屋がいくつか残っているが、白い鳥と宝物庫は見つかっていない。後者はともかく、前者は確実にどこかにいる。必ず探し出さなければならない。

 マーガレットは天井を指差した。


「やっぱアホウドリ屋上じゃない? バカは高いところが好きって言ったでしょ?」


 ルピナスも同意見らしい。うんうんと何度も頷いている。


「ぼくもそんな気がしてきたよ。すぐ屋上に行く?」

「うむ。それもそうだな」

「まー、まだ調べてない部屋あるから? 一応? 確認しましょ?」


 目的の酒の保管庫を見つけたアル中どもとは違い、マーガレットは宝物庫を見つけていない。宝石は手に入れたが、それだけではまだ満足していないようだ。

 どこかに貴族の残した大いなる遺産があると確信しているのである。

 当然アセビにはその考えを見抜かれていた。


「宝石だの金目のものだのは置いておくととして! 一応全ての部屋調べてからが良いかもな。屋上に行くのは最後だ」


 サツキはアセビの言葉に同意しているらしく、黙って頷いていた。仮に白い鳥が調査していない部屋に潜んでいたら、アセビ一行は逃げ場のない屋上で、背後から攻撃されることになるのである。もしそうなったら圧倒的に不利だ。


「四天王は不意打ち上等な連中だ。調べてない部屋に隠れてて、屋上に行った瞬間襲撃されるっていう可能性もあるぜ」

「ああ。仮に屋上で戦うとしてだ。騒ぎが大きくなったら、まだどこかに隠れてるマミーが多勢で来る可能性もある。連中を前もって潰しておくのも大切なことなのかもしれない」

「ひゃっ……」


 ルピナスはアセビたちの言葉に怯え、周囲を見回して警戒し始めた。現在のアセビ一行の状況なら、よほどのことが無い限り不意をつかれることはないだろう。

 サツキは慣れた調子で調査していない部屋の扉に耳を当てて、中の様子を伺った。


「次はこの部屋なのだが……音がする……? いや、気のせいか……?」

「あらら? 珍しくはっきりしないわね」

「とりあえずだ。警戒しながら入ろう」


 アセビ一向に緊張感が漂う。目の前の部屋に、白い鳥が待ち構えているかもしれないのだ。

 サツキの聞いた音は気のせいだと祈りつつ、アセビはゆっくりと扉を開く。


「……どうだ?」

「何も、ないわね」


 扉を開けると、豪華な装飾の大きなベッド。傷1つないクローゼット。大理石で作られた机が、アセビたちの目に映った。かつてこれらを使用していた持ち主は、もうこの世には存在しないのだろう。大切に使われていたであろう家具は、すっかりホコリと蜘蛛の巣で覆われている。

 アセビ一行は罠に気をつけながら、部屋に白い鳥が隠れていないか調べ始めた。


「罠はなさそう。床にもスイッチはないし、天井にタライもないよ」

「罠チェック助かる。ここはこれまで調べてきた部屋より広いし、置いてる家具は高級品だな」


 アセビの言う通りだった。これまで調べてきた部屋とは確実に置かれている家具の品質が違う。召使いが使っていたものではないだろう。


「もしかしてだけど、この豪邸を建てた貴族さんのお部屋なんじゃない?」

「召使いの部屋って感じじゃないしな」

「ほら、あそこに絵があるわよ」


 アセビが部屋の奥を見ると、壁には絵画がかけられていた。口ひげを整えた男が描かれている。彼は金の刺繍の入った服を着ており、宝石の埋め込まれた指輪をはめていた。マーガレットの予想通り、この豪邸を建てた貴族で間違いないだろう。


「このおっさんが召使いと引きこもって、孤独のまま死んだのかぁ。寂しくなかったのかね」

「案外幸せだったかもしれないわよ? 信じられる人だけで暮らしたんでしょ?」

「……だといいけどな」


 アセビは名も知らぬ貴族の絵画から離れ、再度部屋の調査を行った。白い鳥が隠れている気配はない。

 宝石に目がないマーガレットは、気合を入れて調べているのだが、金目のものはなかったらしく、不機嫌そうな表情を浮かべていた。


「ぶーっ! ぜっっったい、この部屋に何かお宝があると思ったのに!」

「簡単に金持ちにはなれねえってことだな」

「夢がないわね」

「それがリアルってもんだ」


 ぷんぷんと部屋の出口向かうマーガレットを見て、ルピナスも後に続く。彼女は置いていかれないように、小走りで近づこうとするが、それが災いし、足が絡まってしまった。


「ひゃっ!」


 ルピナスは転ばないよう、片足だけで移動し、壁に向かって勢いよく手を伸ばした。


「おっとっと!」


 アセビとサツキの耳にルピナスの声が届く。


「ん? ルピナス片足で何やってるんだ?」

「転びそうになったと見える」

「よいしょっと!」


 ルピナスは無様に転ぶことなく壁に手をつくことに成功した。床とキスせずにすんだのである。

 ルピナスはアセビたちの視線に気づくと、照れくさそうに頬を赤くした。


「見てたよね……あはは……足が絡まって転びそうになっちゃって……」

「良い動きしてたぜ! 片足であれだけ素早く移動できれば十分だ!」

「もう1回ケンケンしてみる?」


 マーガレットはニヤニヤとした笑みを浮かべ、壁に手をついたままのルピナスに近づいた。普段見られない彼女の動きが面白かったらしい。少しからかいたくなったのだろう。


「あたしといっしょに踊ってみる?」

「ダンスは苦手なんだなぁ」


 マーガレットがにししと笑って手を伸ばす。彼女の胸に飛び込もうと、ルピナスは壁についた手に思いっきり力を入れた。

 そのときである。ルピナスが手をついていた壁が、回転した。


「ひゃあっ!!」


 ルピナスが悲鳴を上げる。壁が回転したことで、新しい空間が発見された。ルピナスはそこに向かって、そのまま倒れるように入っていく。


「なっ!? 壁が回転した!? 罠か!?」

「ルピナス!?」

「ここはあたしが! 間に合って!!」


 マーガレットは壁の奥へと倒れ込むルピナスに向かって、迷わず飛び込んだ。

 アセビとサツキも続こうとするが、距離が離れていたため、間に合わなかった。回転した壁はぴったりと閉じてしまっている。アセビ一行は、再び分断されてしまったのであった。


「クソっ! またこのパターンかよ!」

「おい! そっちは大丈夫か!? マーガレット、ルピナス! 返事をするんだ!」


 サツキが壁を叩くが、マーガレットたちの声は聞こえない。返事は返ってこなかった。

 触覚が壁に向かって必死に何度も体をぶつけるが、びくともしない。彼女は大きな目玉を潤ませ、助けを求めるようにアセビとサツキを見上げた。


「この壁の奥に、もしマミーが大勢いたら……! マーガレットだけなら耐えられるが、ルピナスは補助魔法が使えない! 私はどうすればいいんだ!?」


 サツキは最悪の事態を想像し呼吸を荒くする。

 アセビが落ち着けと言わんばかりに背中を叩く。内心ではサツキと同じ気持ちなのだが、リーダーは周りが焦っているときこそ、余裕を見せなければならないと考えていた。


「落ち着けって。どこかに壁を回転させる仕掛けがあるかもしれないぜ。それをいっしょに探そう」

「アセビ、お前よく落ち着いていられるな!? ふたりがこの奥に入ってしまったんだぞ!?」


 アセビは慌てるサツキの両肩をそっと掴み、瞳をじっと見つめた。


「ここはもともと貴族サンの部屋だ。寝ぼけて死にたくないだろうし、さっきの落とし穴みたいな命に関わる罠じゃないはず」

「だが……」

「マーガレットもルピナスも絶対に大丈夫さ」


 アセビはそれだけ言うと、壁に背中を向け、クローゼットの中を調べ始めた。


「むぅ……」


 サツキは、自分よりも年下のアセビが落ち着いている姿を見て、取り乱した自身のことを恥じる。慌てていても状況は良くならない。冷静に素早く対処する。今アセビとサツキにできることはそれだけだ。


「すぅ〜……はぁ〜……」


 サツキは深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、ベッドを乱暴に調べ始めた。


「すまない! 焦ってもしょうがないというのに!」

「気にするなって。さっきのことを思うと焦ってしまうのは仕方ないさ」

「くっ……! 私はまだまだ戦闘面、精神面ともに未熟な女ということだな……」

「いや十分どっちもすごいけど」


 アセビは落ち込むサツキをフォローしながら、机を調べ始めた。ガラクタしか入っていない。壁を動かすような仕掛けはなさそうだ。


「ここが怪しいと思ったんだが……」


 アセビはマーガレットとルピナスに怪我がないことを祈りつつ、再び壁に目を向ける。


「壁を回転させる仕掛けはどこにもない。触覚が体当たりしてもダメだった。もしかしたら壁の裏側に仕掛けがあって、それを作動させないとダメなのかも……」

「なにっ!? つまり私たちだけでは、どうすることもできないということか!?」


 不安な気持ちに押しつぶされないよう、アセビは脳内に浮かんだ希望的観測を口にする。


「貴族サンなんだけどさ。大切なものは近くに置いておくタイプだったりしてな」

「む? それはどういう……?」

「隠し扉の先は、マーガレットの求めていた宝物庫なんじゃないかと思ってね。もしそうだったとしたら、ある意味ラッキーだったんじゃないか?」

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