表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お庭に根付いた雑草どもは今日も元気に咲き誇る 〜ヒーラー、サモナー、ガーディアン、頼れる仲間は問題児〜  作者: 仔田貫再造


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/229

夢見る乙女は眠れない 10

「それにしても……」


 広い。キサヌキ家の屋敷は迷路のようだった。ひとりだと迷ってしまうかもしれない。

 アセビは緊張しているが、マーガレットとルピナスは滅多に入れない大きな屋敷に興味津々だ。瞳をキラキラと輝かせている。


「3人とも、ちょっと見ててな」

「おばさん?」

「えいっ!」


 カエデが廊下の壁を押すと、勢いよく回転した。アセビたちがそっと中を覗く。目に小部屋が映った。壁には刀と槍が立て掛けてある。敵襲に対応するための部屋なのだろう。

 マーガレットは驚き、目を見開いていた。


「おばさんなにこれ!? どういうこと!?」

「すごいやろ? このお家には、こういう仕掛けが結構あるんよ」


 キサヌキ家の屋敷には、隠し部屋以外にも様々な仕掛けがあった。床を強く押すと地下に進むための通路が現れ、天井を棒で叩くと屋根裏へ進むための階段が下りてくる。その姿はまさにカラクリ屋敷だ。

 刺激的な仕掛けに、ルピナスは頬を赤くして興奮していた。


「すごいなぁ! 憧れちゃうなぁ!」

「せやろ? オバさんも始めて見たとき驚いたわ。そうそう、まだまだ見せたいところがあるんよ」

「おばさん! あたしお庭のお花畑が見たい!」

「ええよ! あそこはウチの努力の結晶やしな!」


 マーガレットの提案をカエデは快く受け入れ、全員で庭を見に行くこととなった。

 爽やかな風が吹き、花々が元気に揺れ動く。まるで踊っているように見える。マーガレットは花畑の前でうっとりとした表情になっていた。

 カエデは誇らしげに胸を張っている。


「どや? 素敵なお庭さんやろ?」

「素敵……」

「みんなのお家の庭じゃ、こういう広くて綺麗な花畑は作れねえなぁ……」

「綺麗よね。あたし、こんなお花畑に囲まれて生きていたいわ!」

「綺麗やろ? オバさんみたいで! アハハ!」


 マーガレットとカエデは顔を見合わせて、いっしょにゲラゲラと笑った。

 明るく和やかな空気になったからだろう。ルピナスもつられてくすりと笑っている。


「ルピナスちゃんただでさえ可愛いのに、笑うともっともっと可愛いくなるわぁ! ええよええよ!」

「そんなこと……」

「まー、1番可愛いのはオバさんなんやけどな!」


 カエデの冗談を聞いて、マーガレットとルピナスは口を大きく開けて笑った。出会ってまだ数時間だ。しかし女性陣はすっかり打ち解け、仲良くなっていた。

 コミュ障のルピナスの笑顔を引き出す、カエデのコミュニケーション能力の高さに、アセビはただただ感服していた。

 明るく遠慮がなく、おしゃべりでお節介焼き。しかしどこか憎めない最強の生命体。それがオバハンなのである。


「よっしゃ! ついでにお野菜さんも見にいこか! オバさん結構お野菜さん作りも得意なんやで!」

「行きましょ! あれ? あそこにいるの芋虫くんたちよね? 何やってるのかしら?」

「えっ」


 ルピナスは芋虫たちに、玄関の前で待機するように指示を出していた。しかし彼女たちはいつのまにか移動していたのである。

 アセビたちだけでなく、芋虫たちにとってもキサヌキ家の屋敷と庭は刺激的だったのだ。彼女たちは興味津々に周囲を見回し、その結果、宝の山を見つけた。

 芋虫たちはヨダレをたらしながら、野菜畑に向かって前進している。


「もしかして芋虫くんたち……お野菜さん食べようとしてるんじゃない!?」

「ひゃー! 芋虫さんたち待って! お野菜食べだらダメだよぅ!」

「あら~! 芋ちゃんたち食いしん坊さんやねぇ」


 マーガレットとルピナスは、急いで芋虫たちに向かった。必死に背中にしがみつき、野菜畑に向かうのを阻止している。カエデは笑いながら小走りでマーガレットたちの後を追った。


「ちょっ!? みんな落ち着きなさいって! おばさんのお野菜さんなのよ!?」

「触覚ちゃん、お芋食べないでぇ! 傷くんも人参食べたらダメだよぅ!」

「ええよええよ! ええ食べっぷりやないの! ウチのお野菜さんが美味しかった証拠やね!」


 野菜を食べられてしまったが、特にカエデは気にしてなさそうだ。むしろ喜んでいるように見える。

 アセビはそんな芋虫たちの暴走を見て、堪えきれず吹き出してしまった。マーガレットたちの援護に行こうと足に力を入れるが、瞳に道場が映る。

 アセビは興味を覚えたのだろう。道場をじっと見つめている。


「……行ってみるか」


 アセビは芋虫たちのことをマーガレットに任せ、道場に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ