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39.お帰り、カズ-上手く行った……と聞くのは失礼か-

全44話です


以前にもどこかで書きましたが、レイドライバーシリーズは「全22巻」で完結となります

次作の第22巻で完結となります

もしよろしければ、是非最後まで読んでくださるととても嬉しいです


最後の最後だけ、一部「ヒューマン 3」の設定が出てきます。もちろん話としては終わりを迎えているので繋がりはするのですが、もしよろしければヒューマン3も読んでくださると嬉しいです!


※R-18ですが可能な限り性描写は少なくしたつもりです※


もしもレイドライバーシリーズの最後の結末にご興味をもってくださり、まだヒューマン3を未読のようでしたら、下記のアドレスからご覧になれます(R-18なので作者一覧には出ていません)▼

https://novel18.syosetu.com/n2786ia/


ヒューマンシリーズとともに読んでくださると嬉しいです!



曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 カズが研究所に到着した頃には既に施術は終わっていて、覚醒状態にあった。カズがいつも見慣れている脳を格納しておくためのケースに入れられている。躰の方は冷凍保存に回したという。


「お帰り、カズ」


[襟坂]が出迎える。そんな出迎えに[ただいま]と返してから、


「どう、上手く行った……と聞くのは失礼か」


 ふとカズは周りを見渡す。ここは研究室の中でも中央室と呼ばれる区画だ。文字通り中央を担う機関である。非人道実験などもここで行う決まりになっている。もちろんそう指示したのはカズだ。そしてこの部屋には入る事の出来る権限というものがある。例えば、人体実験をする為に入る事は出来てもそれ以外の、ここで行われている別のセクションの研究まで手を出すのは出来ない人間がいたり、それこそカズやアイザックのようにすべての研究、実験に参加できる立場の人間もいたり。


 ただ以前に行った[人員整理]の関係でだいぶその差は埋まったと思う。


 医師で言えばカズとアイザックを除いて四名、これが全実験にアクセスできる人間の数であるが、この研究所には医師は他には二名しかいない。その二名をしてももちろんそれなりの権限がある。手伝いくらいなら参加するのだってあるのだ。ただ、機密レベルや、以前にあったカズの意識消失からの手術のような、カズの身体に関係するような、いわゆるトップシークレットにはアクセスできないのだ。


 それだけ研究所自体が少数精鋭になったともいえるし、カズか率いてきたこの研究所はそれだけ洗練されたと言ってもいい。


「で、ここにあるサブプロセッサーがテミラデという訳か」


 そう言いながら改めてよく見れば、以前よりもずいぶん小型化したな、と思う。それこそ例の、帝国の生体コンピューターよりも小さくなったかもしれない。千歳を[襟坂]の躰に入れる際にもこの外殻は使用されている。そして今の[襟坂]は別に頭部が大きい訳でもなければ頭部を何か拡張したわけでもないい。そう、現在のサブプロセッサーの本体は脳核とほぼ同等の大きさにまで小型化できたのである。その脳核を収めている外殻の前方に少し出っ張りがある。これが生体コンピューターである。


 この時代のコンピューター技術の進歩は目覚ましいものがある。性能もそうであるが、特にここ最近は小型化という点が評価されるべきだろう。実際にゼロゼロの生体コンピューターは少し大きめである。それは彼女が初の自我のあるサブプロセッサーだからである。そしてつい最近ロールアウトしたサブプロセッサーたちに搭載されている生体コンピューターはその約六割程度の大きさしかないのだ。


 全体を見たその姿はまさに[脳みそをほぼそのまま模した模型です]と言っても通りそうである。しいて違いを言えばヒダが再現されていない、頭部に出っ張りがある、くらいというところか。


 だが、ひとたびこの姿になれば自分で何かをするのは絶対に不可能なのだ。それこそ一ミリたりとも動くことも出来なければ、自分から自然の空気を吸いに行ったりも、愛する人と抱き合ったりも出来ないのである。


 ――さて、話をしてみようか。


 カズはサブプロセッサーとの情報のやり取りをするための機器、つまりはスピーカーとマイクを接続して、


「目は覚めているみたいだね。こちらで全部コントロールしているから……分かるのは当たり前か」


 と問うてみると、


「どうしてこんな酷いことを」


 と返ってくる。その声は悲しみに暮れる人のそれである。実際に涙声になっている。


「どうして、と聞かれれば研究の為、と答えるしかないんだよなぁ。何もきみの事が憎くてこんな姿にした訳じゃあないんだ。今までの躰にはおさらばしてもらったけど、それはそうする必要があっての事なんだ」


 そう話しながらログを見る。生体コンピューターが埋設されているから相手の思考はすべてモニターに映し出されている。それによれば[憎い]という感情に代表される、ネガティブな思考の中でも反抗に属するものはまったくと言っていいほどなかった。テミラデは今置かれた自分の状況を純粋に悲しんでいるのである。人間、こうも予想外の事をされると思考が追い付かないのかも知れない。


「私はこれからどうすれば……」


 悲観に暮れているテミラデに、


「きみは近いうちに別の身体を用意してあげると言ったら、どうする? まぁ、今までの躰を返せ、と言われてもちょっと応じられないけど、オレたちの研究の手伝いをしてくれるのであれば、その命までは取らないと約束してもいいんだけど」


 約束しよう、と言わないのにはちゃんと理由がある。自発行動を求めているのである。


「別、の身体?」


 当然だろう、そういう反応になる。そこで、


「きみには機械の身体をあげようと思うんだ。制限されているとはいえ、今までとほぼ変わらない生活が出来て、風を感じられるような、そんな身体を」


 ――どう出るか。これだけのものを提示すれば。


 ログを見る。ネガティブなものが依然として多い中に[自由な身体が手に入る?]とか[機械の身体?]といった希望とも疑問ともとれるような内容が含まれ始める。


 それを見て、


「大丈夫、きみの身体を汚させるような実験はしないと思うから。当然痛がっているのを横目で楽しむようなこともない。身体が実際に動いて、期待値通りの性能を発揮するかをテストする。そのあとは……オレたちの手伝いをしてくれると嬉しいかな」


 そこまでくればテミラデにしてみれば、


「ハイ……分かりました」


 と言う事くらいしか残されていないのである。


全44話です


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