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34.さてさて、と。どんな塩梅かなぁ-ちょっちょっちょっと待って-

全44話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 カズはエルミダス基地にいた。


 頻繁に電波を扱う作業は研究所からでは出来ない。いや、正確に言えばやらない方がいいと言うべきだろう。それに折角軍港まで備えている、現在は前線ではないこの基地を有効活用しない手はない。


 現にレイドライバーの数量も増えたことだし、研究所は研究所で本来の役目を果たすべきなのだろう。


「さてさて、と。どんな塩梅かなぁ」


 そんな独り言を言いながらエルミダス基地の一角に陣取っている。


 カズはその立場上、アルカテイルにもエルミダスにも自室を持っている。しかも完全防音のホットライン付きというたいそうなシロモノである。もちろん各部屋はカズ以外の人間は立ち入ることはできない。それがたとえ基地司令という最高責任者であっても、である。そして現在はこのエルミダスの自室を使用している、という訳だ。


 カズが目当てにしているもの。それは例の[虫]からの信号である。


 ソフィアを供出して一週間。そろそろ成果が出てもおかしくない頃合いだからだ。もしもこれくらいの時間で成果が出なければ、もちろんソフィアが返ってくるまで成果を待つつもりではいるが、彼女に託した情報収集というのは非常に厳しいものになると予想される。その見極めがつくのが大体一週間、といったところだろう。


 カズの手元には無線機と暗号を複合する機械と、乱数処理をリアッセンブルする装置が置かれている。ついでに言えば交換で余った、自我のないタイプの生体コンピューターまで持ち込んでいる。それに映像をモニタリングするディスプレイも一緒に。


 今回[虫]を手配したのはカズである。その本人なのだから当然、どの周波数域を調べればいいか、どんな電波の種類か、は当然分かっている。なのでその周波数にアタリを付けて解析する。


 現在では混同を防ぐためにその名を封じられている、自我のないタイプの脳核。三五FDIに搭載されていた、生体コンピューターと呼ばれていたものであるが、これの良い点としてはコンピューターとして見た場合は非常に優秀である、というところだろう。何と言っても自我が失われているとはいえ人間の脳みそであるに変わりはない。自発思考は出来ないにせよ、取り付けられている、本当の意味での生体コンピューターから指示を送り、思考をさせる。そしてひとたび命じた命令はどんな状態になっても実行し続けるのである。たとえそれが何日、何十日という動作であってもだ。そう設定さえしてしまえば、いくら疲れようが、具合が悪くなろうが関係ない。文字通り[死ぬまで不眠不休]で処理に当たるのである。


 そんなものをしばらく前からこの部屋に設置してあるのだ。


 この一週間、ずっと解析にかけてきたのだから。


「どれどれ」


 解析のログを遡る。しばらくするとノイズとは明らかに違う信号が現れた。


 ――そうね、一秒間で数十バイトだもんなぁ。そりゃあ音声通話でもビットレートを最低まで落としてもギリ、たよなぁ。


 そんなことを思いながら聞き耳を立てる。


 どうやら相手は大陸の国と、ソフィアのいる場所と推定できた。状況から言って、そこはほぼ間違いなくジュケーだろう。そんな回線を拾えたらしい。


「どう……連合は最新かどうか……してとてもいい……寄越してく……うだな」


 シュワシュワというピットレートの低い独特の音が耳を不快にさせるが、この際そんな贅沢なぞいってはいられない。カズはそのまま無線機から流れるその音声を聞き続けた。


「では調べたら……まま返すつも……で?」


「そうだ、……でいい。自我のある……ぞ、まだ我々……早いからな」


「では会談終了後……に戦闘を?」


「……だ、旧トルコは流石に……してしまったか……、今度はギリシャだ」


 ――旧ギリシャがターゲット、と。なるほど。


「分かり……ではこちらの……動かします、クロイ……ル閣下」


「大統領がいなく……ってからずいぶ……経つが、その辺りは?」


「問題ありません。この国には貴方が……るのですから」


 ――ちょっちょっちょっと待って。これはとんでもないものを拾っちまったぞ。録音しておいて正解だったな。そうか、大統領はもう不在なのか。


 確かに相手の出方を知る、これも大きな目標の一つだ。だが、本当を言えば[そこまで期待していないから、レイドライバーの制作過程でも少し覗ければ]くらいに考えて送り出した秘策、というやつである。それがこんな重要な情報まで手に入れてしまうとは。


「さてと、こりゃあ面白くなってきたぞ。旧トルコの次は旧ギリシャか、まぁでも大陸からのパイプを、大動脈をこのアフリカ大陸までどうしても通したいんだろうな。それくらいは考える話ではある、か」


 カズはそんな独り言を言いつつも引き続き監視モードを設定してある場所へと連絡を取る。

 回線が何回か切り替わる音がして呼びたし音が数回なったところで、


「きみか」


 目的の相手に繋がった訳だ。


全44話予定です


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