21.どう見るね-パイロットもそうですが同盟連合の機体がこれほどとは-
全44話予定です
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「そこまで」
そんなスピーカーの声で戦闘は終結した。
「どう見るね」
クロイツェルである。隣にいるクラウディアは、
「是非とも我が部隊に欲しい人材ですね。しかし、パイロットもそうですが同盟連合の機体がこれほどとは」
二人してしきりに褒めている。敵の陣地の中にあって、これほど柔軟に動けるのは何故か、そんなところだろう。
「次戦の前にパイロットと話をしたいのだが」
クロイツェルのそんな願いはすぐに無線という形で実現した。
「まずは見事、と言わせてもらおう。よくそんな戦い方が出来るな、感心したよ」
と感想を述べてくる。純粋にそう思っているのだろう。
――これは既に駆け引きが始まっている。
ソフィアはそう思っていた。だから敢えて弾丸をバラまくような[らしくない]戦い方を選んだのだから。ここは敵地のど真ん中、頼れるのは自分だけである。そんな状況で常に最適解を導き出してそれを実行に移す。それがソフィアの強みであり[彼女らしさ]なのであろう。そうやって繋いだ先に、
――マスターの本意があるのですよね。
そんな事を考えながら、
「ありがとうございます。確かに味方陣地ではないので多少緊張はしますが、いつも使い慣れている機体ですからさほど苦ではないです。幸いにもそちらのパイロットの意表を付けたようですし」
と敢えてぼかした言い方をする。本題はそう、この機体はいつも自分が使い慣れているものだ、そう言い聞かせて今に至っているのである。もしも仮に帝国が脳を直接弄ってうそ発見器のようなものを取り付けたとしたら、流石に今の発言が嘘、とバレてしまう。
しかし、ソフィアは感情の起伏が非常に少ない。それは、今でこそ心に彩が付き始めたとは言えど、やはり彼女は彼女なのである。常に冷静に、的確に判断して状況を切り抜ける。その算段の中に対多数の考えがないのか、と問われればそれもきっちり持っているのである。つまるところ、もし一人を犠牲にして数名の人間が助かるのだとしたら、その一人を切って捨てる覚悟があるし、自らがその切り捨てらる立場に置かれても文句は言わすに指示に従うという話である。
それだけ冷静に感情に流されない、というのはつまるところ判断が最適解であると信じるからである。それはまるでコンピューターがゲームをしているように、常に最善の道をしっかりと自分のものとして行動に移す、それだけの戦績も実際に残して今この場所に立っているのだから。
「同盟連合の諸氏はみな同じような動きをするのか?」
そうクロイツェルに問われても、
「もちろん人間ですから多少のバラツキはあります。しかし、一般的な戦闘では大差ないか、と」
それは本当であり、嘘である。ソフィアは自分が優れている、といったプライドのようなものは一切持ち合わせてはいない。何故ならそんな非合理的な考えは彼女の思考にはそもそも上らないからである。常に最適解を導き出す、その一点に絞られているのだ。他人がどうの、とかは彼女にしてみれば[どうぞご自由に]と言ったところなのだろう。使えるものは何でも使い、常に一番適切だと思われる思考、行動をする。それが身上と言ってもいいだろう。
そんなソフィアに、
「なるほど、隠し事をしているという訳ではないのだな。察するにとても理知的な人物のように思える。うん、非常にいいね。私は好きだよ、そういう理知的で打算を一切挟まないその姿勢は。本当ならこちらの軍に引き入れたいところではあるが」
とまで出た言葉に、
「申し訳ありません、閣下。私はカズ大佐に対して全幅の信頼を置いております。彼もまた全幅の信頼を置いてくださるからこそ今回の供出に私が選ばれたのだと思います」
と言って返す。
「一パイロットであるきみにそこまで言わせるとは。同盟連合の、いや彼の采配というのはとてもしっかりとしたものなのだな。そうだったな、今は大佐か……」
クロイツェルは独り言ともとれるような言葉を発して、
「それでは次戦を、願おうか」
と告げたのだ。
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