2.これを完全体と言わずして何とすべきか-予定通りだな-
全44話予定です
読んでくださって、本当にありがとうございます!
もしレイドライバー 1 から 20 まだお読みになっていない方は、お手数ですがまずはそちらをお読みになってから今作をお読みくださいませ(今作は、前作からの続きものになります)
▼過去作はすべて、下記の作者ページからご覧になれます▼
https://mypage.syosetu.com/mypage/novellist/userid/2478453/
実は、レイドライバーシリーズの前日譚の話として、ヒューマンシリーズを寄稿しています(全て完結済みです)
ヒューマンシリーズ全3作を経て、事件が解決して時間が戻ったあとの世界で主人公が成長し、研究に手を染めてのレイドライバーシリーズへと繋がります
※◆もちろん、レイドライバーシリーズから読んで頂いても話は繋がりますのでご安心を◆※
もしよければ、お時間のある時にでもこちらも読んで頂けるととても嬉しいです!
ヒューマン 1 -繰り返される事件と繰り返す時間遡行-
https://ncode.syosetu.com/n2996hx/
ヒューマン 2 -再び繰り返される事件と再び繰り返す時間遡行-
https://ncode.syosetu.com/n8320hy/
【R-18】ヒューマン 3 -時間遡行によってもたらされたものは-(これだけR-18なので作者ページに載っていません。行為等の激しい描写などは極力なくしたつもりですので、読みやすいと思います)
https://novel18.syosetu.com/n2786ia/
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曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップする予定です(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
1話が大体1500文字前後ですので、読み慣れている方には少々読み足りないかもしれませんが、スキマ時間にでも読んでくださるととても嬉しいです!
もちろん、毎日のご愛読は大歓迎ですし、何より創作の励みになります!
(^^♪)
「で、具体的にはいつまでを予定しているのだね?」
クロイツェルがひとしきり眺めたのを確認して[話の続きをしませんか]とカズが会談場所へ誘導して席に着いてからの彼の一言である。
カズは、
「残念ながらあまり長い期間は活動できません。第一、栄養と電力が持ちませんから。それでも休み休みで四週間、いかがでしょうか?」
電力のほうはあながち間違いではない。休み休みバッテリーを使用すれば四週間くらいはもつだろう。今回は標準バッテリーを搭載してきている。だが、脳髄液への栄養パックは現在では標準でも六週間分はゆうにもつ設計がなされている。もしかしたら、それは詳しく調べれば判る内容かも知れない。しかし、今回栄養パックにも[仕込み]がなされている。要は容量が小さいものを使用しているのだ。だからカズの言う[四週間]というのは本当の話である。もっとも、実際にそれくらいで返還してもらわないと、色々とそこらかしこを嗅ぎまわられても困るのだ。
「了解だ。ああ、そういえばこちらの機体も持って来てもらっているのだったな」
クロイツェルがそう尋ねる。
この会談に合わせて同盟連合が鹵獲した機体を同じ会場に搬入しているのだ。
何故か。
理由は至って簡単、先の栄養パックの話である。同盟連合の話ばかりが目立っていたが、帝国の機体にだって生きた脳みそが生体コンピューターとして搭載されているのだ。必然的に栄養パックの補充、交換が必要になってくる。イリーナ中尉から鹵獲機体を引き継ぐとき[一か月半くらいで]とあらかじめ言われていたのだ。そしてそのタイミングに合わせて会談を行ったという流れである。
「ほう、四週間とは。こちらの生体コンピューターは一か月半はゆうに持つというのに、それはちょっと短いのだな、驚きだ」
当然、そう尋ねられるだろう。だが、カズはその返答を用意していた。
「恐れながら、大尉には自我があります。生命活動も身体があった時と遜色ないレベルにあるのですよ。必然的に消費カロリーというものも変わってきます。それに、お恥ずかしながら栄養バックの中身についてはまだ研究中でして。これ、というものがまだ見つかっていないのです。幸いな事に作戦行動もそんな長期間を強いられるものもまだないですから」
チラっとクロイツェルに視線を向ける。彼は顎をしきりに撫でながら、
「確かに、生命活動としてはこちらのほうが低い、か。しかし、羨ましい限りだよ。これはもはやレイドライバーという兵器の一つの究極の形ではないか。皮膚感覚もある、自我もある。これを完全体と言わずして何とすべきか」
しきりに感心している。
――もちろん、そうなるように研究を続けてきたからね。
カズはふとそう思うがおくびにも出さない。
その代わり、
「もちろん、生身の人間が乗っている機体もあります。しかし今回、彼女を連れてきたほうが良いと判断したのです。性能、という意味では折り紙つきです。何なら模擬戦などもご要望であれば受けますが」
と振ってみる。その振りに、
「おぉ、そうだな。そちらがそう言ってくれるならお言葉に甘えようではないか。どれほどの戦力差があるのか、それも知れるようならな」
笑みを向けてくる。多分その笑みは[かかったな]の笑みなのだろう。
だがここまでは、
――予定通りだな。上手くかかってくれたよ。さて、ゼロフォーには頑張って情報収集をしてもらわないと。
カズはその為にゼロフォー、つまりソフィアを供出すると判断したのだから。
もちろん、連れていかれる帝国の施設は隔離された場所なのだろうと判断できる。だが、その中でもわずかな収穫でもあれば。それほど互いの国のレイドライバー関連施設は[モグラ]の入る余地を与えていないのである。
「では、四週間でよろしいでしょうか? 場所はまたこの地で?」
とカズが尋ねれば、
「ああ、もちろんだとも。命を失っては元も子もないからな。場所についても了解だ、ここでまたきっかり四週間後に。ところで、きみは来るのかね?」
クロイツェルのその問いに、
「閣下はいかがなさいますか?」
と返す。クロイツェルが[きみが来るのであれば、無論だ]と答えると、
「それでは私も参上したいと思います、閣下」
そうして、話はほぼまとまったのである。
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