19.ようこそ、ここジュケーへ-[模擬戦でもしたらどうか]という話があった-
全44話予定です
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)
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「オーライ、オーライ」
テスト会場にトレーラーが搬入される。そこでシートが外され、
「私たちの声が聞こえるかね」
というクロイツェルの問いに、
「はい、よく聞こえております、参謀殿」
とソフィアが外部スピーカーで答える。一度トレーラーが停止してデッキアップの為に車体をジャッキアップして固定さえしてしまえば、あとはレイドライバーだけで自力で降りられるのだ。
ソフィアは機体を起こしてトレーラーから降り、片膝をついてその場になおる。
「では改めて。ようこそ、ここジュケーへ」
という言葉に、
「こちらこそ、よろしくお願いします」
と答える。
「早速だが、カズ大佐の話の中で[模擬戦でもしたらどうか]という話があった。その準備はいいかね?」
と聞かれるので、
「ええ、そのつもりで来ております。どのような布陣がお望みでしょうか」
と返せば、
「対多数戦闘というのはしても意味のないことだろう。例えばそちらが一、こちらが三と言った布陣では明らかに撃破が見えている。もちろんそんなシチュエーションに立たされる場面もあるかもしれない。それよりもまずは単品での性能を見せてもらおうではないか」
クロイツェルはそう言うと[準備はいいかな]とクラウディアに声をかける。クラウディアはインカムを付けている。それはイーハンとイリーナに繋がっているのだから、
「準備は完了しております」
というイーハンとイリーナのそろった声が聞こえる。
「では初めにイリーナ中尉からやってもらおうか」
クロイツェルはそういうとクラウディアに指示を出す。
「彼女に武装を」
というクラウディアの言葉とともにイリーナが乗った機体が二丁、マシンガンを持ってソフィアに近づいてくる。見れば、相手への敬意なのか銃口を上にした状態で本体を掴んでやってきている。一丁は自分用、もう一つが相手用なのだろう、
「ど、どちらを使われても構いませんが」
とイリーナがスピーカーで話しかけてくる。
「これは、実弾ですか?」
というソフィアの問いに、
「まさか。模擬戦で実弾など使わんよ。ペイント弾が装てんされている。弾数は十五発、それがすべてだ。撃ち切った時点での損傷具合か、致命弾が当たった時点で終了とする。それでいいかな?」
と返ってくるので、
「もちろんです。上官からその旨が伺っております」
そう言って左手から差し出されたマシンガンを手に取る。なんとなくそうした。それは彼女が右利きだからかもしれない。
――これは……重量といい質感といい、同盟連合で使われているものとそん色はないようですね。しかも。
ソフィアは受け取ったマシンガンのマガジンを外して確認する。
「なるほど十五発、八分目と言ったところでしょうか」
と敢えてスピーカーから声に出してみる。そんなソフィアに[流石によく見ているな]とクロイツェルは苦笑したあと、
「それが現在の帝国におけるレイドライバーの標準武装だ。なに、そちらとてそれほど変わった兵装ではあるまい?」
そう言われてしまう。それはそうだ、マシンガンだって、グレネードだって、さらに言えばスナイパーライフルにしたって実際は人間用のものをそのまま大きくしたという形になっているのだ、必然的にどの国だって似通ってくるものだ。
クロイツェルの[何ならもう少し眺めていてもいいぞ]という言葉に、
「いえ、無駄なお時間を取らせてもなんですから」
と言ってマガジンを再装填し、コッキングハンドルを引く。これで初弾が装てんされたわけだ。クロイツェルは[そうかね?]と言ったあとに、
「それでは始めるとするかね」
そんなクロイツェルの言葉と共に二体のレイドライバーが布陣を敷いた。市街地戦、相手が指定した場所はそれを模した作りになっている。
――なるほど、ここならどんなテストだって出来そうですね。それにしても広い。
ソフィアからそんな感想が漏れるくらいには、このテスト会場というのは広大なのである。
「位置についたかね? では始めよう」
そう言って、その模擬戦は始まったのである。
全44話予定です




