18.どう見るね-敵の性能でしょうか?-
全44話予定です
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「どう見るね」
ここはジュケーのとある一角、そこに二人の人間が立っている。クロイツェル参謀とクラウディア中佐である。二人は一足先にグランピア経由で帰ってきていた。グランピア経由で、というのは隊の中の何名かをその機体とともに連れて来るためである。
[この部隊で一番強いと思われるものと、平均だと思われるものの二名を選抜せよ]
グランビアに到着したクロイツェルがクラウディアに対して言い放った言葉である。その言葉とともに、
「では」
という言葉とともに選出されたのが、副隊長であるイーハン・チャン少佐とイリーナ・グリゴリエヴナ・コズロフ中尉である。イリーナを、という話はやはり実戦経験も多分に積んできたというのが大きい。それに、こうやって隊の中でイベント事に参加していれば、少しは[腫れ物]ではなくなるだろうというのが本音なのだろう。
そして二名のパイロットとその機体を、トレーラーでジュケーの研究所敷設のテスト会場まで連れてきた、という訳である。
パイロットたちはそれぞれまだ時間があったので模擬戦をして待っていた。この研究所敷設のテスト会場というのは、いわゆる[兵器のテスト]が出来る場所である。実戦に即したように、遮蔽物もあれば砂地も水たまりも泥だまりも存在している、ちょっと……いやかなり広い土地である。そしてそのテスト会場のすぐそばには研究所のハンガーがあり、武装や部品などをすぐに変更できるように出来ている。そして、そのハンガーの奥が帝国の最重要施設である研究所、という訳だ。
ここでは様々な研究、試験が行われている。それこそ、人体実験や生きた脳の研究もこのセクションである。つまりはレイドライバーの全般、さらに言えば最新鋭機であるM三一DIの製造元、と呼んでもいいだろう。一大工業都市であるジュケーの、それも最も大切な場所であるといえるだろう。
そんな重要な施設に敵の兵士を入れてもいいものか、と思うかもしれない。だが、それだけクロイツェルの研究意識が強いという表れであろう。確かにここならどんなテストでも出来るし、その結果を解析することもできる。
逆を返して言えば、ここで分からないことは帝国のどこを探しても分からないのである。
「どう、と言いますと、敵の性能でしょうか?」
クロイツェルの傍らで一緒に立っているクラウディアが先ほどのクロイツェルの質問にそう聞き返す。彼女の姿を見れば、クラウディアはパイロットスーツではない。
今のクラウディアはクロイツェルの付き人、と言っても過言ではないだろう。常に軍人女性が着るカーキ色のスカート姿の軍服を身に着けて、前側で両手の平を揃えている。今日だってそんな格好である。それを言えば、ここ最近で最後にパイロットスーツを着たのは一体いつぶりだろうか。多分、グランピア戦以降は着た記憶がない。その前になると、とんと記憶に出てこないのである。
――本当にあの男は使える人材を送り込んできたのか。
そんなクラウディアの考えが読めたのか、
「カズ大佐、と言ったな? 彼は中々にして誠実な人物だと思うがね」
と返される。その言わんとするところはつまり[信用してもいいのではないか]というところなのだろう。
「確かに、新人を寄越しはしないでしょうが、第一線の人材を供出したとは……」
「思えないかね? 私なら逆に一線の人材の供出を考えるがな」
とクロイツェル。
[それは何故ですか]というクラウディアの問いに、
「ここジュケーは文字通りネズミ一匹入れないようにしてある、いわば最後の砦だ。そんなところに捕虜とはいえ入ることが出来る。これは相手にとって相当に大きな意味があるのではないか」
と来た。
――確かに、ここで情報収集が行えるのであれば、それは大きな意義だろう。参謀殿はそこまで考えておられるのか。
「では、妙な動きがあったら」
という言葉に、
「その時はちゃんと考えるよ」
そう言って締めくくられる。
そう、同盟連合から供出された機体を乗せた車両が、今まさに到着したのである。
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