表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

10.これからどうしようか-ちょっくら訓練の成果でも見ますかね-

全44話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 カズは、といえばエルミダス基地へと帰ってきていた。そこで、引き続いて模擬戦を行っている新兵たちを見守っていた。配属されたからには一刻も早く使い物になってもらわなければ困る。だが、功を焦ってもロクなためしがないのもまだ事実。


 ――これからどうしようか。分隊は考えているけれど、あの参謀がすんなり返してくれるとも思えないんだよな。


 そんな事を考えながらエルミダス基地にいたのである。


 だが、流石に敵である相手に[何か考えてます?]と、面と向かっても聞けず、そのまま帰宅といったところなのである。


「よーし、ちょっくら訓練の成果でも見ますかね」


 そうは言っても、とりあえずは目の前の事を済まさないといけない、そのくらいの分別は持っているつもりだ。なんといってもカズはレイドライイバー部隊の隊長なのだから。

「どんな感じかな?」


 そう言ってとりあえずは整備士のところへ向かう。


 その整備士は[あ、しょ……中佐]と言うので[つい先日大佐になったよ]と少し笑いながら返して、


「で、どんな感じかな?」


 と改めて聞き返す。今、カズの話しかけた整備士というのは、もちろん研究所付きの人間である。エルミダス基地にももちろん新人兵士の教育係というものが存在するのだが、現在その教育係は実戦訓練中である。となれば必然的にその人間のところへ行って邪魔立てするよりは見知った顔に声をかける、というのがセオリーともいえるだろう。


「そうですね、ゼロファイブはやはり頭一つ出ていると思いいます。やはり少ないながらも実戦経験を積んだのが大きいのでしょう。パイロットを乗せていないながらもよくやっているほうだと思いますよ。ただ、新兵たちもよくやっているとは思うのですが、中には連携が取れていない個体もあって」


 そう言うととある機体を指で指し示す。そこには一体のレイドライバーがコックピットを開けて座っていた。


「何度言えばわかるんだよ、射撃タイミングはこっちでやるって言ってるんだから」


 聞けばそんな声がグラウンドに響く。


 ――ああ、そういえばそんなことが書いてあったな。


 ふと書類に目を通していた時のことを思い出す。


 名前をフィリスという、今回配属された四人のパイロットの一人である。資料によれば、単品としての性能は申し分ない。だが、いささか我が強いところがある、となっていた。昔の孤児院ならそんな性格は[矯正]されるか、そもそもパイロット選定段階で弾かれるところなのだが、現在のシステムでは少し違う。色々な人材を個性を尊重しつつ育てるという方針に変化していったのだ。そこにカズの意向がないか言われれば、多分に含まれるというところなのである。


 各所で出てくる話ではあるが、カズとしては何も[イエスマン]が欲しいわけではない。ある程度の筋立てを与えたあとは自分で考え、自分で行動する。もちろんその中には仲間との協調というものも含まれる。


 だから、


 ――ちょっとだけ話してこようか。


 カズはふとそう考えると、隣で話していた整備士に[ちょっと行ってくるよ]と告げてから言い合いをしている問題の機体に近づいていく。


「何を言い合ってるんだい?」


 そう尋ねながらパイロットに近づく。すると、


「あっ、マ、マスター。こ、これは」


 明らかに動揺が見られる。そのあたりは織り込み済みという訳だ。そんなフィリスに対して、


「別にこれからきみたちを叱ろうというわけじぁあないよ。いいから何があったか素直に話してごらん」


 というカズの言葉は、それこそが彼女たちにしてみれば[命令]に等しいのである。


「射撃の順番に対してフィリス准尉は不満があるようです」


 そんな声がスピーカーからそんな声が聞こえる。この機体のサブプロセッサーであるゼロエイトの声だ。


「ふんふん、それで?」


 そう促す。


「私は近接する敵機から片付けると指示を出したのですが、彼女はその後ろで控えている敵機から倒そうとしたのです」


 とフィリスから返ってくる。どうやら集団戦を行っていたようである。


「ちょっと詳しく聞こうか。いいかな?」


 指導している教官を立てる。その辺りはカズとしても順番を心得ているというべきか。教官が[もちろんです]というのを確認してから、


「じゃあ、もう一度初めからだ」


全44話予定です


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ