蠱毒会
「それでは皆様お集まりのようですので始めさせて頂きます」
人間界の都内某所。ここでは今、蠱毒会の集会が開かれていた。
「まず初めに新しく幹部になった方々の紹介です。陣内四霊様」
片目に眼帯をした男性が立ち上がりお辞儀をすると拍手が起きた
「川端血献様」
ロングヘアーの着物の女性が立ち上がりお辞儀をすると拍手が起きた
「以上になります。次に、経過報告です。何か進展のある方はいらっしゃいますかーー」
スーツを着た短髪の男性が手を挙げる
「報告良いですか?直近で複数の部下を失いました。それも、同じ人物にやられました」
司会者が頷く
「そのことについてはこちらでも把握しています。では、最初の議題はその人物についてですーー」
質問席から声が飛ぶ
「高梨琴音、ですか?」
「そうです。今は改名して近藤詩音と名乗っていますが。この1人の少女により私達は複数の実行役を失いました」
「彼女は何者なのですか?」
「はいーー信じがたいことに彼女は人間では無いのです」
会場がざわめく
「彼女の正体は妖怪ーー髪を伸ばす攻撃手段から二口女だと思われます」
「二口女とは、また珍しい妖怪ですね」
「希少性はともかく我々、蠱毒会のメンバーを倒す戦闘力は看過出来ません。警戒すべき相手です」
「何か対策は無いのですか?」
「調査によると、彼女は髪の毛で首を絞めることが必殺技のようです。そこで、鎌を使って髪の毛を切断します」
会場から「おーっ!!」という声が湧く中で、1人の人物が手を挙げた
「ちょっと良いですか?」
「あなたは!!ーーどうぞ!」
「彼女は確かに髪の毛で絞め落とすのが必殺技ですが、身体能力も妖怪であるせいか高いです。鎌を使ったとしても油断はできませんよ」
会場の男性が声を上げる
「では、どうすれば良いと言うのです?」
「2対1の状況に持ち込みましょう。準備は出来ています」
「ーーふん、例の女子高生達か。ど素人でどうにかなる相手なのか?」
「ど素人が相手だからこそ油断が生まれる。なに、心配しなくても保険はあります」
司会の女性が口を開く
「あなたが得意とする式神召喚術ですね?」
「はい。私の術なら冥府より異界の者を召喚出来ます。目には目をーー妖怪の相手は異界の者に任せましょう。首無しの騎士、デュラハンを召喚すれば完封勝利を収めることも可能かと」
ふっ、と零れた笑みに会場が凍りつく
「分かりました。この件はあなたに任せましょう」
「では、次の議題に移りますーー」
こうして蠱毒会の集会は終了していった。
一方で詩音も妖怪ギルドの依頼の中に志穂の取り巻きの1人による犯罪報告を見て、いよいよ対峙する時だと覚悟を決めた。
こうして詩音と志穂、蠱毒会の三つ巴の戦いは本格的な戦闘へと進むのであった。