VS取り巻きの友人
「景子、あんたがカギなんだからね、分かっている?」
景子と呼ばれた志穂の取り巻きの友人はコクンと頷く。
「分かっているよ、しっかりやるから」
津香沙こと志穂の取り巻きはけだるそうに出ていく姿を見て今回の作戦に思いを馳せる。
「志穂の環境をぶち壊すとどうなるか、思い知らせてやるんだから」
私は今日、妖怪ギルドを訪れていた。ここ最近は他の転生者達が復讐代行を積極的に行っているためとくにやることがなく退屈していた。制裁には神経を使うため気分転換というわけには行かないが、それでも時間を無駄にするよりは良いと考えたのだ。
「ろくろ首のお姉さん、復讐代行はどんな感じですか?」
「詩音ちゃん、それが、妙な依頼があって・・」
「妙な依頼?」
「これなんだけど・・」
それを見て先に驚いたのはくっちゃんだった。
「なんでいきなり!?」
依頼には、佐野景子という名前の人物が公園に集まる子どもたち暴力を振るっていて、それが柊津香沙という人物の指示だと公言しているらしい。
「くっちゃん、この人たちはーー」
「柊津香沙は志穂の取り巻きの1人だよ」
「えっ!?じゃあ、佐野景子っていう人は」
「おそらくは柊の仲間ーー友達だろうね」
「そんなことって・・今まで息を潜めていた志穂の取り巻きが急に動き出したってこと?」
「そういうことだね」
「どうして急に・・」
ろくろ首のお姉さんが煙管を吸った
「おそらくは、罠だろうね」
「罠?」
「詩音ちゃんをおびき出すつもりなんだよ。確実に殺害するために」
「詩音ーー」
「くっちゃん、この挑戦、受ける!」
「流石に危ないんじゃあ・・」
「危険なのは承知の上。罪のない子どもたちに暴力を振るうのを黙って見過ごせないよ」
「ーー分かった、僕も協力する」
「詩音ちゃん、頑張ってね。まずは墓地にいる子どもたちに話を聞くと良いよ」
「ありがとうございます!」
墓地に行くと幸いにも死亡した子はいないことが判明した。とはいえ、皆、入院が必要な重症を負っている。そうして生死の境を彷徨っている人も精神が抜け出してこの墓地に来るらしい。
「わざと殺さないようにしているんだよ」
「佐野景子はいつも同じ公園に現れるんだ」
「子どもたちに人気な公園だったんだよ」
「どんな格好で来るか、とかは分かる?」
「うん、ええっとねーー」
話によると、佐野は上下ジャージのラフな格好で怪しまれないようにギターケースに鉄パイプを入れているらしい。よく現れる時間帯を教えてもらった
「皆ありがとう。必ず敵を取ってくるからね!」
子どもたちに別れを告げて制裁の準備をする。
「詩音、作戦通りに」
「うん、分かった!」
話によると佐野は1人で公園に現れるらしい。公園は人の目があるので、路地に誘い出す作戦だ。
はたして佐野は公園に現れた
けだるそうに歩き、両手をポケットに入れている
「ジャージにギターケース」
「佐野だね」
佐野はこちらを見つけるとニヤリと笑った
「み〜つけた」
私は路地に向かって走り出した
「おい、逃げんなよ」
作戦通りに佐野は路地にやってきた
「へぇ・・ここでやろうっての?度胸あんじゃん」
「どうしてーー」
「ん?」
「どうして、罪のない子供たちを・・」
「知らねぇよ。津香沙の考えたこと出し。おおかた、子供に手を出せばあんたが来ると思ったんじゃねぇの。警察に捕まる前にあんたに会えて良かったよ。津香沙も名前を出しているから、時間ないし」
「許さない」
「言ってろーーぶっ飛ばす」
佐野はギターケースから鉄パイプを取り出すと殴りかかってきた
「詩音、避けて」
鉄パイプを躱してパンチをするがこちらの攻撃も躱される
「ちょっとはやるじゃん」
動きが素早く、パンチが当たらない
「殴られて気絶しろ!!」
次の鉄パイプを躱し避けたところでバンダナを取り、髪を伸ばす
"さあ、復讐の時間だよ"
「話に聞いた通りの化け物だね、おもしれぇ」
鉄パイプを躱し、髪を佐野の首に巻きつける
「くっ、こ、このあたしがーーこんな、やつに・・・くっ・・」
佐野は気絶した
「詩音」
「うん、通報しよう」
その後、佐野は連行された
「ドロロンパ」
妖怪の世界。墓地に行くと子どもたちは笑顔を見せた
「詩音ちゃん、ありがとう!」
「へへっ、どういたしまして」
「退院したら一緒に遊ぼうよ」
「うん、楽しみにしている!」
所変わって人間界のとあるアパート。
柊津香沙は詩音の写真を鬼の形相で見ていた
「よくも景子を・・絶対に、許さない。この仕返しは必ず・・!!」
柊は詩音の写真にナイフを突き立てた