表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/31

妖怪世界からの刺客

 「よし、油揚げゲット!」


私は今日、人間界のスーパーに来ていた。理由は遡ること1時間前、妖怪世界のギルドを訪れたことが関係している。私はいつも通りに報酬をもらおうとギルドを訪れた


「すみませ〜ん、ろくろ首のお姉さん、報酬下さ〜い」

「あら、詩音ちゃん。丁度良かったわ」

「丁度良かったとは?」

「実はね、今回の報酬はきつねうどんなんだよ」

「きつねうどん!?良いですね!」

「だけど油揚げを切らしていてねぇ。悪いんだけど、人間界のスーパーに買いに行ってくれないかねぇ」

「油揚げなら、妖怪世界の問屋にもありますよ?」


妖怪世界では、墓守はかもりのきつねの霊に供えるための油揚げが売られている。


「そうなんだけど、人間界のやつのほうが美味しいのよ」

「わかりました、買ってきます」

「お願いね」


 そんなわけでスーパーで買い物をしていたが無事に終了した。


「さあ、くっちゃん帰ろう」

「ーー待って、ヤバい奴がいる」

「ヤバい奴?」

染谷和樹そめやかずきだ」

「えっ!?染谷和樹って、殺し屋の?」


染谷和樹は志穂と繋がりがある殺し屋だ。

でも、制裁して今は服役しているはず・・・


「もう出てきたの?」

「う〜ん、それは無いと思うけど。幽体離脱して情報を集めないと正確なことが分からないな」

「どうしよう、見つからないようにしないとーー」


だが、私が隠れるよりも早く、染谷はこちらに気づいて向かってきた


「勘が良すぎない!?」

「詩音、妖怪の世界に逃げよう」

「うん!ドロロンパ」


あり得ないことが起こった。

染谷が追ってきたのだ


「えっ!?妖怪の世界に来れるの!?くっちゃん、どうなっているの」

「分からない。こんなことはありえないはずなんだけど」

「どうする?」

「お墓に逃げよう」

「分かった」


しかし、染谷は墓に先回りしてきた


「スピードが速すぎる」

「詩音、アパートへ」

「うん!」


だが、染谷はまたしても先回りした


「はぁ、はぁ、本当にどうなっているの・・・予知能力?」

「染谷は超能力なんてーー」


その時、買い物袋から油揚げが落ちた。

瞬間、染谷の体が霧に包まれて1匹の九尾の狐が現れた


「九尾の狐!?」

「染谷に化けていたんだ」


狐は油揚げのパックを食い破って1枚咥えると走って逃げていった。


「通りで野生の勘が働くわけだね」

「身体能力も高いわけだ」


その後、きた道を戻ると街の中央で染谷が待ち構えていた。染谷は頭を掻いた


「やれやれ、バレちまったみてぇだな」

「あなたが九尾の狐の親玉ね」

「親玉って言い方は不正解だな。俺は妖術で9人の分身を作り出すことができる。お前を先回りして待ち伏せたのは俺の分身達だ」


そう言うと九尾の狐は9人の分身を出現させた


「何で私を狙うんですか」

「お前ばかり報酬をもらっていて目障りだからだよ。そろそろ引退しろよ」

「私は人間界で自由に動けるようにするために戦っているだけだよ」

九尾の狐の本体はため息をついた

「ーー分からせるしかないってわけだな!」


"来る"


「詩音、気を付けて。九尾の狐は妖怪の中でも知能が高くて手ごわいよ」


地面を蹴り上げて疾走してくる九尾の狐の攻撃をかわ


「はは、身軽だな。だがーー」


本体が指パッチンを鳴らすと全員が一斉に飛びかかってきた。ジャンプして躱す


「10対1じゃ、が悪すぎるよ」


その後も一糸乱れない動きで襲いかかってくる。


「詩音、本体を狙うんだ」

「本体を?」

「これだけ統率がとれているのは本体が念で指示を出しているからだ。本体を倒せば分身は消える」

「そんなこと言ったって、もう誰が本体か分からないよ!」


ー考えるんだ。何か、何か見破る方法は・・本能に訴えかけるようなーそうだ!


「これでどうだ〜!」


私はビニール袋の中の油揚げをばらまいた。

次の瞬間、9人の分身は九尾の狐の姿に戻った


「しまった!」

「詩音!」

「うん、あいつが本体だ」


また念を送られれば作戦は失敗する。髪を伸ばす時間はない。私は染谷の姿の九尾の狐の腹にパンチを食らわせた


「うっぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっふ」


ストレートが決まって、ダウンした。

同時に、油揚げを食べている九尾の狐の分身も消えた


「やった!」


 数時間後。


「くっちゃん、あの九尾の狐はどうなったの?」

「この妖怪の世界には牢屋がないからね。ぬらりひょん様が念動力で地獄に送ったよ」

「そっか」

「さあ、ろくろ首のお姉さんに残った油揚げを渡しに行こう」

「ろくろ首のお姉さん、お待たせしました〜」

「おかえり詩音ちゃん。大変なお買い物だったね」

「はははっ」

「時間はあるかい?手作りのきつねうどんを食べていっておくれよ」

「ありがとうございます!頂きます!くっちゃんも

一緒に食べよう?」

「うん!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ