イジメにて転生
ゼリーのようにつるりと読める
二口女に転生した主人公が悪に対して制裁を行い、最終的に復讐を果たす作品です。
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プロローグ
時刻は夜の8時50分。
天気は予報通りに雨で冷たい雨粒が身体に染みる。
今、私の目の前ではかつて暴君だった女性が怯えた表情で震えている。
「お願い、殺さないで・・」
そんな願いも私には届かない
「だめ、バイバイ◯◯」
震える女性を無視して私は雨に濡れたナイフを振りかざしたー
***
クラスに必ず1人はいる、地味で大人しい読書好きな女の子。私に対する世間の評価は概ねそんな感じだと思う。だが、私の通う学校の同級生の不良グループからの評価は違うようで、数カ月前からイジメを受けていた。この学校には新校舎と旧校舎があり、この日、私は不良グループのリーダー格の女子生徒に人気のない旧校舎へ呼び出されていた。
待ち合わせ場所に着くと、リーダー格の女子生徒は取り巻きの2人の間に仁王立ちで立ち、睨んでいた。
「何か用事?」
「お前、本当にムカつくんだよね。クラスの隅で優等生ぶってさ」
「優等生ぶってなんて無いよ」
「嘘つけ。それに、私の想い人を奪おうとしているくせに」
「なんの事?」
「とぼけるなよ。同じクラスの佐藤健と仲良くしているだろ?あいつは私の想い人なんだよ」
「そんな、言いがかりだよ。ただ、席が隣だから話しているだけでーー」
「志穂、もうこいつ黙らせなよ。埒あかないよ」
「うちも賛成」
取り巻きの2人に促されて志穂と呼ばれたリーダーが頷く。
「そうだね、やっちゃおうか」
私は恐怖で足が震えた
「何をする気?」
「簡単さ。ナイフで死んでもらうんだよ」
私は手に持っている巾着から取り出されたナイフを見て血の気が引いた
「えっ、志穂!?」
「話がーー」
「嫌、やめて・・・!」
「うるさいんだよ」
恐怖に怯えて動けないまま無慈悲に突き刺さったナイフに死を実感した。
「まじ!?本当に刺しちゃった・・」
「志穂、ナイフで脅すだけのはずだったのに・・・ヤバくない?」
「ーー志穂、後処理どうする?」
「このままで良いだろ。この校舎は立ち入り禁止で誰も来ないから」
「そうね・・」
私は遠のく意識の中で遠ざかる足音を聞いていた
「ーーる?」
「ねえ、聞こえる?」
後頭部から響く声に戸惑いつつ私は目を開けた
「ーーあれ、私、生きている?なんで」
「良かった。気がついたね」
「誰?」
「僕は二口女。女だけど僕って言っているのは気にしないでね」
「二口女?あの、妖怪の?」
「あっ、知っている?」
「確か、頭の後ろにもう一つの口がある妖怪だよね」
「そう。その二口女」
「その二口女がなんで私にしゃべりかけているの?なんか、後頭部から声がするし」
「そうだね、まずは状況を整理しよう。まず、君は女子生徒に刺されて死んでしまった。で、偶然にも妖怪の世界に二口女として転生した。そして僕は頭の後ろの口として今、君にしゃべりかけている」
「転生?架空の話だと思っていた。しかも二口女に転生するなんて」
「驚くのも無理はない。ぬらりひょん様が行った死者を妖怪として生き返らせる儀式の力を偶然君が受けたんだ。本当は他の人だったんだけどね」
「そんなことってーー」
「信じられないのも分かるけどね。あっ、ちなみに二口女としての名前もあって、君は近藤詩音っていう名前ね」
「人間みたい」
「まあ、妖怪の世界はSFのような異世界じゃなくて半分は人間の世界だからね」
「そうなんだ」
「ーーさて、本題に入ろう。詩音は自分を殺した女子生徒に復讐する気はないかい?」
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