mission1-1 unknown≠noster
新暦 122年 【イグニスター前線基地】
15:43:25:36
自分の部屋から窓から空の様子を見る。目の前には有刺鉄線が張り巡らされ、『Danger!!Do not touch!!』と書かれたボロい看板が幾つも見える。その上からは雪が降り、ただその風景を覗いていた。
ここイグニスター前線基地もとい、第623特殊前線基地は標高2000~3000mある山の上に存在する。そして有刺鉄線の奥に今や俺達が抑えた最古の最前線地区【R13】、その跡地である遺跡と化したとある実験施設が見える。
俺たちが産まれ、ただここを護るべくして命を落とした少年少女達。その姿が俺の頭に過ぎる。操作がひとつも分からず蹂躙された者やただアーティストの生体ユニットとして命を終えた者……それはアースティア連邦の闇が詰まった場所だった事を今でも脳に焼き付いている。転生して間も無い頃だった。あの時がフラッシュバックする。
「あー!隊長!また窓見て考え事してるのです!」
そんな事を思っていると部屋の入口から元気の良い声が聞こえた。
振り向くと、そこにはオレンジ色のショートカット、左眼に眼帯をつけ、パイロットスーツの上に緑のコートを羽織った少女が立っていた。
「……なんだフェム?俺が考え事するのは何時もの事だろ?」
Unknown V、もとい【アルシュ・C・フェムト】。Unknown小隊最年少にして、みんなの末っ子みたいな子だ。元気よくていい子なんだけど…ちょっと触れずらい所がある。それは彼女の生い立ちだ。
「んー、でも今日はいつもより深く考えてたからいつもと違うな〜って思ったのです!」
その左目に彼女の全てがあると言ってもいい。『ウィディーレ』、そう呼ばれた目を彼女は持っている。
人の思考、行動、ありとあらゆる"生物が行う事"を予知する事が出来る擬似的な未来視を可能とした機械の目。彼女はその目を取り付けられる為に産まれてきたような存在であり、その目で見なくてもある程度の人の行動を予測したすることが可能になってしまった少女だ。故に、俺の行動を詳しく聞いてくることも珍しくないのだ。それも善意で聞いてくるからどうしようにもなかった……
「……昔の事を思い出していた。あの日、あの研究所を守る為に抗った、あの時の記憶が」
故にNPCの会話ループするように"はい"と言う言葉を、"事実"を語るまで聞いてくる少女に俺はいつも口を開いている。離す事もできない俺はどうしようもない奴なんだろう。そうわかっていながら口に出した。
「……」
「守れなかった。手に伸ばした友人たちが、苦しんでいたけど……それでも必死に生きようと。必死に生きようと、してた奴らが……目の前で砕け散って行った、あの夜を。ただ、それだけだ」
自分の罪を少女にぶつけてしまった。"重たい話をする時は聞き手もその重さをぶつける事"を重々承知した上で俺は口から吐いた。
「……そのごめんなさいなのです」
「何を謝る必要がある。別に気にしてないさ……それにもう過ぎたことを引きづってしまっている俺も俺だな」
もう一度、窓に視線を、顔を向けた。
まだ雪は降っている。寒い窓際で思うが、相変わらず、ここで雪が降らないことはあんまり無い。
「さて、薄暗い話をしてしまったけど、ここに来たんだから何か聞きに来たんだろ?」
俯いている彼女の元に向い、その頬をそっと触れ、優しく微笑んだ。ただ、彼女の罪悪感がないようにそっと。心に触れた。
「……あっ!そうなのです!アルにぃとメカニックさんが第3格納庫に来てくれって!」
ただ無邪気であり、罪悪感の区別が分からない若い心を持った少女に。それだけで俺は少し苦しく思うが、今は、今は___。
「それと……フェムは強いです!だから隊長もそんなに気にしないで欲しいのです!」
ハッと、目が覚めた。まただ、俺はまた、今辞めたことを繰り返す様に自問自答してしまった。そうだ、そうだろ、ジョシュア。お前はこの世界で抗うと決めたはずだ。そうだろ、そうだ、お前はそう決めたのにまた窓を見て、少女に慰められるのか?違うだろ。
「……ああ、そうだな。お前は強い。だけど、無理はしないでくれよ。俺達の可愛い妹なんだ、もし、何かあれば他の奴らに相談するんだぞ?わかったか?」
「はいなのです!」
「いい子だ……そうだ、フェムも行こう。何か面白いのが見れるかもしれない」
頭を撫でて、フェムに語りかける。
「いいのです?」
「よいのです」
「ならついて行くのです!」
「ああ、行こう」
フェムの手を握り、緑の綺麗に舗装された床に少し傷がついた後が見える廊下を歩く。よく思えば俺がこんなに情緒不安定になる事が多くなったのも"あのシステム"が影響しているんだろうな。
ああクッソ。思い返すだけで胸糞悪い。ああ、思うだけで腹が立つ。情けない俺に……。
だが、仕方ない事なのだろう……俺たちUnknown小隊はフェムと同じように身体に埋め込まれた"機械"により正常な人間と違って精神的な疾患、肉体的欠損を持っている。俺も例外じゃない。超人的な力を得た代償……というのだろうか。ちなみに俺の場合は"脊椎"、フェムは"目"、他の奴らなら"腕"、"脳"、"足"……まぁ色々と付け加えられてる。例外を除けばな……
「あ!兄さん!!フェムも居るじゃん!!やっほー!」
暗いことを考えながら歩いて格納庫に向かって行くと左の方から元気良い声が聞こえた。手を振りながらその特徴的なオレンジ色のショートヘアと豊満な胸を揺らs……ゲフンゲフン、走って来る少女の姿が見えた。
「あ!レイお姉ちゃん!!」
Unknown I 、【レイ・L・ファウスト】
Unknown小隊の中でも天才と言えるほどにアーティストの扱いが上手い。何となくで何かを完璧に動かす天性の才能を持った少女だ。
「隊長って言えと言ってるだろ」
「まぁまぁ!別にフェムと兄さんだけだし!それに作戦中はちゃんとコードネームで呼んでるでしょ?」
「はぁ……まぁいいや、レイも格納庫に行くのか?」
「うん!なんか新しいフレームを搭載するよ〜って話されてね!!ん〜、ワクワクするね!」
俺の前をくるくるとまるでフィギュアスケートのように回った後、元気な笑みでこちらを覗いてくる。
絵のように微笑む彼女の笑みはとても眩しい。
「だが、お前のフレームに対応した物だといいな」
「あぁ〜……そう言えばそうだよね〜……兄さんはノーマルフレームだから今までの試作アーマー付けれてたけど、私のはゴーストフレームだからなぁ……」
頬をポリポリと掻き、少し不安な顔をしている。
「フェムも新しいの欲しいです!」
「そうだよね〜フェムも欲しいよね〜!」
そう言いながら歩き、着いた先に見えたのは大きな門があった。その横にある人が通る様のドアを開いて、中に入る。
そこには格納された6機の黒いアーティストの姿が見えた。
0からVまで番号振りされた機体達は偽装用のアーマーを外され、その赤黒いフレームと特殊なアーマーが丸出しになっており、その足元には数多くのメカニック達が換装の為に歩き回っていた。
「第4班!!0の機体は完了した!!出撃準備できるようにコードをさっさと取っ払うぞ!!」
「こちらIVの第5ブースターの整備は完了しました!!」「次はメインアーマー下部だ!!急げ!!」
「おい急げ!!急げ!!緊急発進が起きるかもしれねぇんだぞ!!」「了解っ!!」
「拡張兵器【Ignister】搭載急いでくれ!!」「オーライ!オーラーイ!!」
「俺たちが手を抜いたらガキ共が死ぬんだぞ!!丁寧に!!素早くやれ!!」「な無茶なァ……」「いいからやるんだよォ!!」
第3格納庫の中ではメカニックたちの怒号と熱気が溢れ、素早く新たなアーマーが貼られていく……
俺たちのメインカラーである黒とは真反対、白色のアーマー……これは……
「お!来たか!!ジョシュア!!それにフェムとレイの嬢ちゃんも!!」
入ってきて早々に、俺達の方に駆け寄る白髪の男性。グレーのオーバーオールを身にまとい、同じ色のキャップをかけ直しながらこちらに寄ってきた。
「ヒイラギじいちゃん!」
フェムも走って近寄るとそのまま抱き抱えられ、抱っこすると両者、笑みを浮かべた。
ここイグニスター前線基地の整備責任者、整備長と呼ばれる人物、「ヒイラギ・ジュウイチロウ」と呼ばれる人物だった。
「整備長、またアーマーの換装ですか?」
「ああ、お前たちまだ聞いてないのか?」
「はい、アーマーの換装については今さっきレイに聞いたのですが……それ以外は何も。アルドに呼ばれたのでそれで知れると思ったんですが……」
「なら詳しい事はアルドに聞いてみろ、そこのIIIのフレームの下に居るはずだ。今さっき、IVのフレームの調整が終わってな。近々、新しく隠密行動用の外装織物と新型のスナイパーライフル用の調整もしてた所だから一緒にIVも居るはずだ」
フェムを下ろして、被っている帽子を整え直しながら、俺の目をまっすぐ、何かを語り掛けるように彼は声を出した。
「ああ、ありがとうヒイラギさん」
「おうってことよ。それにお前達、若けぇ奴を死なす訳には行かねぇからな。俺たちの戦場はここだ。ここで死なさねぇようにするのが老兵の役割なんでな!ハハハッ!!じゃあ後でな!!」
そのまま笑いながらVの機体の元へと行ったのを見送ると言われた通り、IIIの機体の下へと向かう。
そこには確かにフォーと呼ばれた眠たそうにコックピット内から顔を出し、ぐうたらしている少女とその下に同じ白髪の身長の高い少女、金髪にオッドアイズが特徴的な少女、そしてベレー帽を被った青髪の少女とその横にいるソックリな顔立ちをした白髪の少女、それぞれ5人居た。
「噂をしてたら……兄さん、随分と遅かっ……って……」
「あはは!!なんだ、フェムもレイも居るじゃねぇか」
「おや、Unknown小隊フルメンバーで揃いましたね。ちょうど良かったです」
「ええ、そうみたいですね」
「ん……やっほ…兄さん…」
全員、パイロットスーツを着た状態で、いつでも緊急発進に備えれる状態で集まっていたようだ。
「ああ、それで話し………ってのはコレのことだろうな」
格納されている白いアーマーが付けられたアーティスト、今までと違い見るからに勇ましく、ツインアイが特徴的だ。武装の方も中々に変わっており、スラスターの数も一新されている。この機体は腐るほどゲームで見た事あるあのアーマーなんだろうな。
「……はい、そうです。あの博士が『頑張る君達へのプレゼントだ』との事らしいです……えぇ、全くあの人は」
ベレー帽を被った青髪の女の子、このunknown小隊のオペレーターを務める【レンフィールド=アリウス】基、【アリウス・Xll・ベータ】が何処か青筋を立てながらその詳細を語ってくれる。
内容としてはこうだ。あの博士、タチバナ・シグレ博士が開発したEurostar 0の改造機である第四世代アーティストアーマー、【Eurostar】を送ってくれたらしい。
結構バランス良いそのアーマーは、ユースティア連邦の上層部に目が止まり、このユーロスターを量産型アーマーとして採用が決まったとの事。それにより、普及が始まったらしい。それで、一般N.C.A.W乗りに紛れる為に俺達が付けているアーマーの上に付けれる特殊なユーロスターの形をした偽装アーマーを渡したから後はよろしくー……と。
まぁ、だいたい知ってる……こんなもん送る事ができるのってあの人しか居ないもんねぇ……。無茶言って送り付けてきたんだろうな、あの人。
「アリウスっち、落ち着いて。リラーックス、リラーックス 」
「……うん、深呼吸……大事」
レイと、フォー、【グレイ・IV・ファントム】がアリウスを宥める。
「すーっ……はぁ……、はい、大丈夫です……ありがとうございます。お姉様方」
だいぶ落ち着いたのか、青筋は消え去り、何時もの仏顔に戻った。あの博士はアリウスに厄介な事を置いて行くのはいつもの事だとは思っていたが……そろそろ殴られるんじゃないかなあの人。
「しっかし、こんなもん送られたとしても俺達の相手じゃねぇよ」
そう豪語する金髪に黒と赤のオッドアイズが特徴的な少女、【アルドレア・III・アイゼン】が腕を組みながら機体を見る。
その様子を見る限りだと、何処か苦服そうだ。
「にぃさんも思わねぇか?俺達にはあのシステムが積んである。それなのに、解放出来るのは第2解放機能だけ……あれを解放しちまえば、すぐさま戦争なんざ綺麗さっぱり消え去るのによ」
「流石にそうは行きませんよアルドレアお姉様」
「まぁそうだよな。はぁ、力で黙らす事ができるならなぁ」
「そんなこと出来たら世界が暴力で包まれてるわよ。それに、あんな物を解放したら今まで隠してきたこの偽装用のアーマーも意味が無くなってしまうわ」
隣でアリウスにそっくりな少女、【アリウス・II・アルファ】が冷静なツッコミを差し込んだ。鋭い正論にアルドレアはポリポリと頭をかいた。
「……ホントの所を言うとさっさとこの戦争が終わってくれねぇかなとは俺も思うよ」
実際、この戦争は旧暦を含めると3桁を超える年数戦ってきたんだ。核爆弾なんぞボコスカ撃ちまくって結局、地球爆破しそうな感じになってる。そんな世界なんか見たくない。なんなら、さっさと終わってスローライフを送りたい……あぁ……温泉いきてぇ……。
「兄様は【緊急申請!!緊急申請!!】っ!!」
そんなところに唐突にレッドサイレンが光り出す。スピーカーからは出撃準備の警報音。その音に全員顔をスピーカーへと向ける。
『unknown小隊!!最前線地区【S6O】より救護申請!!換装が終わった機体から第2格納庫前に移動!!運送用ヘリ【HF-02 windflower】で移動を開始する!!シーブルー、ファルコン小隊は各員、着替え次第、第1格納庫、【HF-04 seapent】に搭乗せよ!!繰り返す!!unknown……』
鳴り響くサイレンに各メカニック達が大急ぎで出撃の為に、アーティストに繋げられたコードを抜いていく。プシュプシュと抜けていく音は、ここではよく聞くが何度も聞いても耳が幸せになる。
「やれやれ……アリウス、予定ポイントに到着前をブリーフィングを」
「分かりました、ですがまだ換装が終わってない機体がありますが……」
「……とりあえず整備が終わってる機体は?」
「フェムはまだだ。フォーの方は機体に関しては終わっているらしいが……武装の換装がまだらしい。オレ、アルファ、兄貴とレイ姐さんの機体は既に換装済みだ」
「わかった。なら第1次陣として俺達が救護対象まで移動、その後、救護を開始。第2陣、シーブルーと共に保護対象を確保、その後撤退を開始する。今回はボーナスタイムもありと行こう。何せ久しぶりの【S6O】だ、しかも新武装もついている慣らすついでにド派手に行こう」
全員が頷く、そこには兵士としての心遣いしか残っていない。
「了解なのです!」「わかった……」
「よし、行動開始だ。作戦を全部隊に通達を頼む……行くぞ!!」
『了解!!』
全員頷くと、各機体のコックピットへと走り出す。前の少し荒く乗り回した傷ついた黒いアーマーもいいが、綺麗な純白のアーマーもいい。
色というのは「象徴」だと、整備長も言ってた。だが……個人的には、隠されたアーマーを解放したいってのが本心だ。愛機であり、この先も乗り続ける機体だ。そんな機体の全てを引き出してあげないと可哀想だろ?……え?俺だけ?まぁいいや。
だが、この先に出てくる奴の切り札になる。
……だが何か俺の機体は少し変わりまくってるな。前までアサルトライフルとレーザーブレイド、腰に付けられたマイクロミサイルが主な武装だったが、今や左肩には巨大な砲身が付けられている。右肩のミサイルポットとアサルトライフルは変わりないがレーザーブレイドの形も少し変わっていた。まるで盾のような形をしている。
そんなことを考えながらコックピットに入ろうとすると、待っていたメカニックの1人に声をかけられた。
「ジョシュア、出撃前に1つ。武装についてだ」
「新しいのが追加されたのは見たらわかるが……」
話を聞きながらコックピットに入り、シートに置かれたヘルメットを被る。真っ暗な画面からいくつ物ウィンドウが現れた後、パイロットスーツと接続され、視界がクリアになった。基本的な3つのペダルと、左右にあるアーティストの腕部を動かすスティック、中央には機体情報とレーダー等の情報が流れ映し出されるディスプレイ、そして、今まで無かった新たなスイッチが追加されていた。
「ああ、構成はほぼ変わりないが…直にシステムの力を引き出す為に少し細工をしてある。その新しいスイッチが発射ボタンだ。新しいアーマーは第三封印機能を使用しても耐えれる設計になっている。その為に肩に試作兵器を装備させてもらった。名を……まぁ仮名だけど、【グラビティバスター】、そう呼んでくれ。博士がデータを獲るついでにつけて欲しいって言ってたから、まだ正式な型番は決まっていない。この機体に積まれたシステムで発生する特異的なエネルギーを使い、この砲身で発射する。ただし、発射までにタイムラグが多く発生する。そこだけ注意だ。上手く使ってくれ」
開けたコックピットからでも上を向けば見える【グラビティバスター】、いや、ゲームならこう言うだろうか。
【DZ_01_O PrototypeGravityBuster】
略してP.G.B。
このゲーム、【AoA】の拡張DLCにて追加された強力無慈悲なキャノン兵装だ。元々は【重力兵器計画】によって産まれた兵器。まさかその原型を俺が背負う事になるとは……。
この兵器は反重力弾と呼ばれる弾を射出する武装だ。エンゲージによって生み出されたエネルギーを圧縮した弾を打ち出し、周囲に重力磁場を展開する。その磁場内では、スロウ効果とスリップダメージ、そして吸い込みとか言う害悪三段活用……恐ろしいもんだ。ただし、直撃したらキャノン特有の高火力な面、弾数が少なく、チャージが遅っそい。ロマンの塊のような兵器だ。
「このキャノンを使う時があるのか?」
「分からない。だが、申し使うようならば周りの味方に気をつけてくれ。まだ戦闘データがゼロの状態での配備だ……どうなる事やら」
は?これまだ試験もしてないの?まって、プロトタイプと言えども流石に試験したよね?実験したよね?大丈夫?
「……これ、チャージ中に暴発しないとかないよな?」
そう恐る恐る聞いたら、エンジニアは一言。
「それに関しては安心してくれ、発射実験は完了しているらしい……まぁその後事故が起きたらしいが」
いやめっちゃ不安なこと言わなかったこの人?
「そろそろ行かないと不味そうだな。幸運を祈る!」
いや俺はそっちの方がすごく気になるんだけど!?幸運を祈るって死ねって事!?
そんな事を心の中で、叫びながらも、胸部に収まるようにスライドして、閉まっていくコックピット。
えぇい……そんな事を思っても仕方ない!!
目の前の橋台が動き出し、身動きができるようになった俺の愛機を動かし、第3格納庫の外へと移動する。
整備していた人達は俺に敬礼をしてくれる。それに返すように軽くコックピット内で敬礼する。
『こちら管制塔、unknown ZERO。遅刻なんて珍しいじゃないか』
開けられた扉をくぐると、管制塔から通信が聞こえた。何がぺちゃくちゃと飯食を食う音がちょくちょく耳に触るがいつもの事だなと思いつつふっかけてくる管制塔に返答を開始した。
「すまない、新しい武装の説明を受けていた所だ」
いつも俺が最初に格納庫から機体を出すからか、からかっているのだろう。
コックピットの全面式のディスプレイモニターから横に視点を向けると、unknown小隊各機が待機している。こう見るとやっぱり違和感だな。白いアーマーってのは。
『あっはは!!冗談だ。出る順番が違うくてもお前が一番だよ。さて、その肩のか……うちのエースの新しい切り札って奴か?』
「……そう思いたいな。まだ試作機らしい、本当に切り札になるかはこれから試させてもらう」
実際は使いたくない。発射はできたけど事故ってる様な試作兵器を使わないといけない状況になるのは絶対にやだ。まぁ死にかけたら解放するか……
『こちらvalkyrie、アンカーをチェックせよ。』
指定の場所へ移動を完了し、第3格納庫裏から飛び上がったヘリのような機甲兵器【windflower】。
俺の機体の上に張り付くように低空飛行し、俺は連結する用のアンカーを開く。
「OK、セーフティ……ロック。」
モニターに表示された【Consolidation complete】。ガチャンツ!!と言う音と共に少し揺れた機体。これから戦地へ向かう準備が完了した。
『ロック、確認した。これより移動を開始する。到着は4時間後、いつもの事だが心地いい空の旅へようこそだ』
『こちら管制塔、Goodlack。そいつの成果と言い、何かしらのお土産話をまっとくよ』ボリボリ
「了解、楽しみに待っててくれ」
次はポテチ食ってる音が聞こえた。この管制塔の人どんだけ食えばいいんだろうか……?、そんな事を考えていると揺れ、空へ飛ぶ。まぁ長旅だ、少し眠りふけることにしよう……。
俺は翔く鋼鉄の箱の中で、眠りこける事にした……。




