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ガラスのコップを落とした。コップは割れた。私はそれを片付けた

作者: 音郷 右ネ

喉の渇きを覚え、目を覚ました。

「エアコン、つけたまま寝ちゃったからか...」


と、反省しながら私は冷蔵庫から水を取り出し、1つしかないガラスのコップに注ごうとしていた。


寝ぼけていたのか、2リットルの水の入ったペットボトルを持った手が滑り、ぶつかった勢いでコップは床へと落下した。


「カシャーン」という、あまりにもはっきりとした音が、静まり返ったキッチンに響き渡った。

割れたコップの破片が、まるで光のシャワーのようにキラキラと床に散らばる。


一瞬、時間が止まったかのような静けさが辺りを包み込む。


「あ~ぁ」


私は深く息を吐き、割れたコップの破片を見つめた。


そして、ほうきとちりとりを手に取り、慎重に破片を集め始めた。

静まり返った部屋の中で「カチャカチャ」と破片を一つ一つ拾い上げる音が、不思議と心を落ち着かせる効果をもたらした。

この地味で繊細な作業は、まるで心の断片を拾い上げるようで、私の心も徐々に落ち着いてきた。


「っっっ⁉」


ふいに指先に走った痛みに驚きながらも、わずかな明かりで指先をみたところうっすらと血がにじんできていた。


「買い置きなんてなかったよな...」


とぼやきながらもキッチンの棚を開け絆創膏を探したが見つからない。

地味にずきずきと痛み出した指先を気にしつつ、喉の渇きを思い出して仕方なく2リットルの大きいペットボトルに口をつけてゴクゴクと喉を鳴らして水を飲む。


「仕方ない、コンビニまで買いに行くかぁ」


絆創膏を買いに、近くのコンビニまで歩いて出かけようとドアを開けた瞬間外の冷えた空気が部屋に流れ込んでくる。


「寒っ⁉そういえば北海道では初雪が降ったってニュースでやってたな」


部屋着のスウェットとサンダルでは寒さを感じる夜の空気に、いよいよ面倒臭くなってきたが

「なんだかんだで小腹もすいてきたし、肉まんでも買ってこようかな」

と、無理やり理由をひねり出して外に出る。


「ガチャン」と閉まるドアの音がやけに鳴り響いたのを気にして、私はコンビニへと歩き始めた。


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